【人事担当者必見】内定式の企画・運営完全ガイド|準備から当日まで徹底解説

最終更新日:2025年6月27日

内定を出した後に初めて行われる大きな行事として「内定式」があります。内定式を実施することによって、企業側も新入社員を本格的に受け入れる意識が高まり、内定者側も入社への意欲を持つきっかけになります。

本記事では、企業人事担当者の視点から、内定式の基本的な概要から詳細な準備手順、当日の運営方法、効果的な企画のアイデアまで、内定式の企画・運営に関するあらゆる情報を徹底的に解説します。

目次

内定式とは?企業が知っておくべき基本知識

内定式の定義と法的位置づけ

内定式とは、企業が内々定を出した内定者に対して、正式に内定を出すための式典のことです。これまで口頭やメールで伝えられていた「内々定」から、書面による正式な「内定」へと切り替わる重要な瞬間でもあります。

法的な観点から見ると、内定式は単なる儀式ではありません。企業から学生に「採用通知書」を交付し、学生から企業に「入社承諾書」を提出することで、相互に意思確認を行い労働契約を成立させる重要な手続きとなります。

経団連の「採用選考に関する指針」では、「正式な内定日は、卒業・修了年度の10月1日以降とする」と規定されているため、多くの企業が10月1日に内定式を実施しています。

内定式と入社式の違い

内定式と入社式は、しばしば混同されがちですが、その目的と時期は明確に異なります。

内定式は、学生に内定通知を渡すための式典で、一般的に10月1日に開催されます。この時点では、内定者はまだ学生であり、卒業までの期間があります。内定式の主な目的は、内定者の入社意思を確認し、企業への帰属意識を高めることです。

一方、入社式は、内定を受けて正式に入社する日に開催される式典で、年度始めとなる4月1日に行われるのが一般的です。入社式は企業トップの訓示などを行い、実際に業務を始めるにあたってのモチベーションを高める目的で行われます。

内定式実施の現状と傾向

近年の内定式実施状況を見ると、いくつかの傾向が見られます。

オンライン開催の増加
新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、内定式をオンラインで行う企業が増加しています。オンライン開催により、遠方の内定者も参加しやすくなり、コスト削減も可能になっています。

内容の多様化
従来の形式的な内定式から脱却し、内定者の印象に残るユニークな企画を取り入れる企業が増えています。企業の特色を活かした独自の内定式を実施することで、内定者のエンゲージメント向上を図っています。

内定者フォローとの連携
内定式を単独のイベントとして捉えるのではなく、入社までの一連の内定者フォロー施策の一環として位置づける企業が増えています。

内定式の目的と企業にとっての意義

内定者の入社意思確認と意識向上

内定式の最も重要な目的の一つは、内定者の入社意思を最終確認することです。内定式は、内定者が「本当にこの企業で働きたい」という意思を持っているかを確認する場でもあります。

内定式では、内定者一人ひとりが企業の代表者と直接顔を合わせることで、入社への意識が高まります。社長や役員などの企業の顔となる人物が出席する内定式で、内定者は社会人としての自覚を持つきっかけを得ることができます。

企業理解の促進と魅力付け

内定式は、内定者の企業理解を深める絶好の機会です。社長や役員からの挨拶や講話を通じて、企業の理念、ビジョン、事業内容について詳しく説明することができます。

特に以下の要素を伝えることで、内定者の企業理解を促進できます。

企業の経営理念と価値観
企業が大切にしている価値観や目指している方向性を直接伝えることで、内定者の共感を得ることができます。

事業の現状と将来展望
企業の現在の事業状況や今後の成長戦略について説明することで、内定者に将来への期待感を持たせることができます。

企業文化と働き方
実際の職場の雰囲気や働き方について紹介することで、内定者の不安を解消し、入社への期待を高めることができます。

内定辞退防止と囲い込み効果

内定式には、内定辞退を防止する重要な役割があります。内定者は内定を得た後も「本当にこの企業で良かったのか」という不安を抱くことがあり、この状態を「内定ブルー」と呼ぶことがあります。

内定式を効果的に実施することで、以下の効果が期待できます。

不安の解消
企業の代表者や先輩社員と直接コミュニケーションを取ることで、内定者の不安や疑問を解消することができます。

帰属意識の向上
内定証書の授与や記念撮影などを通じて、内定者の企業への帰属意識を高めることができます。

競合他社との差別化
印象に残る内定式を実施することで、他社との差別化を図り、内定者の心を掴むことができます。

内定者同士のネットワーク構築

内定式は、内定者同士が初めて顔を合わせる機会となることが多く、同期のネットワーク構築に重要な役割を果たします。

内定者同士のつながりを作ることで、以下のメリットが生まれます。

入社への安心感
「どのような人が同期になるのか」という内定者の不安を解消し、入社への安心感を提供できます。

相互支援の関係構築
入社前から同期同士の関係を築くことで、入社後の研修や業務において相互に支援し合う関係を構築できます。

内定辞退の抑制
同期との関係ができることで、「この仲間と一緒に働きたい」という気持ちが生まれ、内定辞退の抑制効果が期待できます。

内定式の基本的な流れとプログラム構成

標準的な内定式のタイムスケジュール

内定式は通常、午前中から午後にかけて開催され、一般的には2〜4時間程度の所要時間となります。以下は、典型的な内定式のタイムスケジュール例です。

10:00-10:30受付・開場•内定者の受付確認
•配布資料の手渡し
•座席案内
10:30-11:00開式・社長挨拶•開式の辞
•社長からの歓迎の挨拶
•企業理念・ビジョンの説明
11:00-11:30内定証書授与式•内定者一人ひとりへの内定証書授与
•記念撮影
11:30-12:30内定者自己紹介•内定者による自己紹介
•入社への抱負発表
12:30-13:30昼食・休憩•懇親を兼ねた昼食会
•自由な交流時間
13:30-14:30事務手続き・今後のスケジュール説明•入社承諾書の提出
•入社までのスケジュール説明
•必要書類の案内
14:30-16:00懇親会・交流会•先輩社員との交流
•内定者同士の親睦
•質疑応答

社長・役員からの挨拶と講話

内定式の冒頭では、社長や役員からの挨拶や講話の時間が設けられることが一般的です。調査によると、70.0%の内定式で「社長や役員からのあいさつ」が行われています。

この挨拶では、以下の内容を含めることが効果的です。

歓迎のメッセージ
内定者を心から歓迎する気持ちを伝え、企業の一員として迎え入れることを明確に示します。

企業の理念と価値観
企業が大切にしている価値観や経営理念について、具体的なエピソードを交えながら説明します。

事業の現状と将来展望
企業の現在の事業状況や今後の成長戦略について、内定者にも理解しやすい形で説明します。

社会人としての心構え
社会人として必要な心構えや期待する姿勢について、経験に基づいたアドバイスを提供します。

内定証書授与式の実施方法

内定証書の授与式は、内定式のメインイベントといえます。調査では、44.5%の内定式で「内定証書授与」が行われています。

個別授与方式
内定者数が比較的少ない場合(50名以下程度)は、社長から内定者一人ひとりに内定証書を手渡しする方式が効果的です。この方式では、内定者一人ひとりと社長が直接言葉を交わすことができ、より個人的なつながりを感じてもらうことができます。

代表授与方式
内定者数が多い場合は、代表の内定者のみが壇上で内定証書を受け取り、他の内定者には座席で個別に配布する方式を採用します。

グループ授与方式
部門別や職種別にグループを作り、各グループの代表者が内定証書を受け取る方式もあります。

内定者自己紹介の進行方法

内定証書の授与式が終わると、内定者一人ひとりが自己紹介をする時間を設けることが一般的です。内定者の人数が多い場合は自己紹介の時間が1〜2分程度に制限されることが多いため、事前に時間配分を明確に伝えておくことが重要です。

自己紹介の構成要素

•基本情報(名前、出身大学、学部・学科)

•学生時代の経験(部活動、アルバイト、研究など)

•志望動機

•入社への意気込み

•卒業までの過ごし方

懇親会・交流会の企画

内定式の最後には、内定者懇親会や交流会が開催されることが多く、調査では39.4%の内定式で「先輩社員との交流」が行われています。

立食形式の懇親会
ホテルの宴会場などを利用した立食形式の懇親会では、内定者が自由に移動しながら様々な人と交流できます。

着席形式の交流会
少人数のテーブルに分かれて着席形式で行う交流会では、より深いコミュニケーションが可能になります。

アクティビティを取り入れた交流
単純な食事会ではなく、ゲームやワークショップなどのアクティビティを取り入れることで、内定者同士の距離を縮めることができます。

内定式の事前準備:12ステップの完全ガイド

効果的な内定式を実施するためには、綿密な事前準備が不可欠です。準備不足は当日のトラブルや内定者の印象悪化につながる可能性があるため、計画的に進めることが重要です。

内定式の事前準備:12ステップ

ステップ1:日程・会場の確保

内定式の準備で最初に行うべきは、日程と会場の確保です。特に10月1日は多くの企業が内定式を実施するため、会場の競争が激しくなります。

会場選定のポイント

アクセスの良さ:主要駅からの徒歩圏内、または駅直結の会場を選ぶ

収容人数:内定者数の1.2〜1.5倍程度の余裕を持った会場を確保

設備の充実:音響設備、プロジェクター、マイクなどの必要設備が整っている

駐車場の有無:遠方からの参加者がいる場合は駐車場の確保も重要

予約のタイミング

人気の会場は1年前から予約可能になるため、早めの予約が必要

複数の候補会場をリストアップし、第一希望が取れない場合の代替案も準備

ステップ2:開催までのスケジュール作成

内定式当日から逆算して、詳細なスケジュールを作成します。外部発注が必要なものは特に余裕を持ったスケジュール設定が重要です。

3ヶ月前(7月)

・会場の最終確定

・基本的な企画・コンテンツの決定

・予算の確定と承認取得

2ヶ月前(8月)

・内定者への案内状送付

・記念品・配布物の発注

・司会者・登壇者の確定

1ヶ月前(9月)

・進行台本の作成

・会場レイアウトの確定

・リハーサルの実施

ステップ3:内定者へのアナウンス

内定者への早期アナウンスは、参加率向上と内定者の予定調整に重要です。内定後なるべく早く連絡することで、企業への信頼度向上にもつながります。

案内状の内容

・開催日時・会場の詳細

・当日のスケジュール概要

・服装の指定(スーツ着用など)

・持参物の案内

・交通費支給の有無

・緊急連絡先

ステップ4:テーマ・コンセプトの決定

内定式のテーマやコンセプトを決めることで、形骸化やマンネリ化の解消につながります。企業の特色や内定者の特徴を活かしたテーマ設定が効果的です。

テーマ設定の例

•「新たなスタートライン」

•「チーム○○(企業名)の仲間入り」

•「未来への第一歩」

•「共に歩む新しい仲間」

ステップ5:企画・コンテンツの検討

内定式の企画・コンテンツは、設定したテーマに合わせて検討します。定番プログラムに加えて、企業独自の企画を加えることで印象に残る内定式になります。

定番プログラム

・内定証書授与

・内定者挨拶・自己紹介

・会社代表挨拶

・記念撮影

・懇親会

独自企画の例

・事業体験ワークショップ

・先輩社員によるパネルディスカッション

・企業クイズ大会

・チームビルディングゲーム

ステップ6〜12:その他の重要な準備項目

ステップ6:プログラム・タイムスケジュールの作成
詳細なプログラムとタイムスケジュールを作成し、設営と撤収の時間も含めて余裕を持ったスケジュールにします。

ステップ7:会場のロケハン・レイアウト作成
事前のロケハンを実施し、会場の備品確認により搬入・搬出の手間を最小化します。

ステップ8:進行台本の作成
時間軸に合わせて司会のセリフや登壇者の動きを記載した詳細な進行台本を作成します。

ステップ9:内定証書など配布物の準備
内定証書や記念品など、内定者に渡すものを準備します。記念品は入社後も使える実用的なものを選びます。

ステップ10:当日の運営担当者の決定
受付、介添え、マイクの受け渡しなど、当日の役割分担を明確にします。

ステップ11:備品の準備と搬入計画
会場に持ち込む備品をリストアップし、持ち込みやすくまとめます。

ステップ12:リハーサルの実施
司会者や登壇者の動きの確認、演出のタイミング確認を行い、改善点を発見して修正します。

効果的な内定式にするための企画アイデア

企業の特色を活かしたユニークな企画

近年、従来の形式的な内定式から脱却し、企業の特色を活かしたユニークな企画を取り入れる企業が増えています。これらの企画は内定者の印象に強く残り、企業への愛着を深める効果があります。

◾️業界特性を活かした企画例

IT企業の場合

・内定者が自分のアバターを作成するデジタル内定式

・VRを活用したバーチャル会社見学

・プログラミング体験ワークショップ

旅行業界の場合

・お座敷列車での内定式

・観光地での内定式開催

・世界各国の文化体験プログラム

ブライダル業界の場合

・ウェディング形式の内定式(実際の事例)

・結婚式場でのバージンロード入場

・ブライダルプランナー体験

製造業の場合

・工場見学と製品作り体験

・技術者による製品開発ストーリー紹介

・ものづくり体験ワークショップ

ユニークな内定式の実例

実際に企業が実施したユニークな内定式の事例をご紹介します。

凧あげ内定式
内定者と社長や役員、人事部長と一緒に凧あげを行う内定式。会社と内定者がぐんぐん上昇していくという気持ちを込めて、緊張を解く意味でも印象に残る試みです。

ウェディング内定式
ブライダル事業を展開している企業が結婚式場を使用し、バージンロードを内定者が歩いて入場する内定式。会社の製品やサービスビジョンとひっかけた内定式です。

プレゼン内定式
内定者による自己紹介をプレゼンテーション形式で行う内定式。事前に準備させたパワーポイントを使って、志望動機や入社後の目標などを発表してもらいます。

水中内定式
水族館で行われている「水中入社式」。内定者が館内の水槽に潜り、一般客にも見えるような形で入社式や内定式を行う、印象度抜群の企画です。

仮装内定式
個人向けインターネットサービス業でキャラクターに扮しての内定式。社長自ら仮装をして、面白いコンテンツを作るというサービス業種らしいユニークな内定式です。

オンライン内定式の工夫

新型コロナウイルスの影響により、オンラインでの内定式開催が増加しています。オンライン開催では、対面とは異なる工夫が必要です。

技術的な準備

・安定したインターネット環境の確保

・参加者全員が使いやすいWeb会議システムの選択

・音響・映像品質の事前テスト

・技術サポート担当者の配置

エンゲージメント向上の工夫

・チャット機能を活用した質疑応答

・ブレイクアウトルームを使った小グループ交流

・オンライン背景の統一による一体感の演出

・デジタル記念品の配布

内定式当日の運営ポイント

受付から開式までの流れ

内定式当日の受付は、内定者が最初に企業と接する重要な場面です。スムーズで温かい対応により、内定者に良い印象を与えることができます。

内定式当日の運営ポイント|受付から開式までの流れ

受付での対応ポイント

・受付開始30分前には準備を完了

・内定者の名前を確認し、笑顔で迎える

・配布物を整理して手渡し

・座席案内を丁寧に行う

・遅刻者への対応方法を事前に決めておく

司会進行のコツ

司会者の進行は内定式の成功を左右する重要な要素です。事前の準備と当日の臨機応変な対応が求められます。

内定式当日の運営ポイント|司会進行のコツ

司会者選定のポイント

・人事部門の中でも話し慣れた人材を選ぶ

・内定者と年齢が近い若手社員も効果的

・企業の顔として適切な人物を選ぶ

進行のテクニック

・明確で聞き取りやすい話し方

・適度な間の取り方

・内定者の緊張をほぐすユーモア

・時間管理の徹底

トラブル対応と緊急時の備え

内定式当日には予期しないトラブルが発生する可能性があります。事前に対応策を準備しておくことが重要です。

内定式当日の運営ポイント|トラブル対応と緊急時の備え

◾️よくあるトラブルと対応策

音響トラブル

・予備のマイクやスピーカーを準備

・音響担当者の配置

・声が届く範囲での代替進行方法

遅刻・欠席者への対応

・遅刻者用の別室案内

・欠席者への後日フォロー方法

・座席配置の調整

体調不良者への対応

・救急箱の準備

・近隣医療機関の情報把握

・休憩室の確保

内定式後のフォローアップ

参加者アンケートの実施

内定式終了後には、参加者アンケートを実施して次回の改善に活かすことが重要です。

アンケート項目例

・内定式全体の満足度

・各プログラムの評価

・印象に残った内容

・改善提案

・企業への理解度変化

・入社への意欲変化

欠席者へのフォロー

やむを得ず内定式を欠席した内定者には、適切なフォローを行うことが重要です。

フォロー方法

・内定式の録画映像の共有

・配布資料の郵送

・個別面談の実施

・次回イベントへの優先案内

入社までの継続的なコミュニケーション

内定式は入社までの一連のフォロー施策の一環として位置づけ、継続的なコミュニケーションを図ることが重要です。

継続フォローの例

・月1回の内定者懇親会

・内定者向けメルマガの配信

・先輩社員との交流機会の提供

・入社前研修の実施

・職場見学の機会提供

まとめ

内定式は、企業と内定者双方にとって重要な意味を持つ式典です。適切な準備と運営により、内定者の企業への理解と愛着を深め、入社への意欲を高めることができます。

内定式は一度きりのイベントですが、その影響は入社後まで続きます。内定者にとって忘れられない体験となるよう、人事担当者として心を込めて準備し、実施していただければと思います。

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