変化し続けるエンジニア採用市場:最新動向と企業が取るべき戦略

「希望するITエンジニアを、なかなか採用できない」このような悩みをお持ちの採用担当者様も、多いのではないでしょうか?多くの企業が、高いスキルを持つITエンジニアを求めています。欲しい人材を採用するためには、採用方法の工夫と積極的な取り組み、自社の価値向上と積極的なアピールが求められます。

この記事では欲しい人材を採用するためにどのように取り組めば良いか、どのような戦略や方法が有効か、最新情報も含めて解説します。貴社の採用活動に活かしてください。

【このシリーズを読んでほしい人!】

・エンジニア採用に困っており、困難に直面している採用担当の方

・優秀な人材が集まる採用の仕組みをつくりたい経営者、人事担当の方

・エンジニア採用をしやすい方法を探している人事担当の方

【このシリーズを読むことでのベネフィット】

・優秀な人材を採用できる

・入社後のミスマッチを防ぎ、採用した方が社業に貢献できる

・優秀な人材の採用は難しくないという認識を持ってもらえる

目次

エンジニア採用の難しさは多くの企業が持つ悩み

出典:情報処理推進機構 「DX動向2024-深刻化するDXを推進する人材不足と課題」

多くのIT企業は、エンジニアの不足を実感しています。情報処理推進機構は「DX 動向 2024 – 深刻化する DX を推進する人材不足と課題」において、企業に対して、DXに関するエンジニアの充足状況をたずねた結果を公表しました。ITエンジニアの代表的な職種である「ソフトウェアエンジニア」は、全体の64.4%の企業が「不足している」と回答しています。内訳は「大幅に不足している」が32.1%、「やや不足している」が32.3%です。

採用市場では限られたITエンジニアを多くの企業で取り合う状況となっているため、理想の人材はなかなか採用できません。多くの企業で、エンジニア採用の難しさを感じていることでしょう。選考の対象を経験の浅いエンジニアや未経験者にも広げる、採用方法の多角化を進めるといった工夫を行っている企業も、多いのではないでしょうか。

エンジニア採用市場の現状と変化の背景

年々ITエンジニアを採用しにくくなっているという実感は、データにも現れています。厚生労働省では「一般職業紹介状況」を毎月公表しており、ITエンジニアは「情報処理・通信技術者」に区分されています。

2020年以降の有効求人倍率(有効求人数÷有効求職者数)の推移を、表とグラフでご確認ください。本記事では年度始めの4月と、年末の12月の数字を年ごとにまとめました。

2020年2021年2022年2023年2024年
4月1.87倍1.29倍1.52倍1.64倍1.68倍
12月1.29倍1.57倍1.76倍1.71倍1.74倍

新型コロナウイルスの蔓延に伴い、いったん有効求人倍率は低下しました。その後は上昇に転じ、2023年以降は1.6倍~1.8倍の間で推移しています。

この有効求人倍率は、3名の求人を出しても2人採用できるかどうかという値です。多くの企業が採用したいと考える「経験者」に限ると、求人倍率はさらに上がるでしょう。希望する人材を簡単に採用できない、厳しい現実がうかがえます。

エンジニア採用が難しい理由

ITエンジニアの採用が難しい理由には、社会環境と企業の内部的な要因もあります。どのような理由があるか、詳しく確認していきましょう。

エンジニア採用が難しい社会的な理由

まず社会的な観点から、4つの理由を取り上げ解説します。

職種が多く、技術も細かく分かれている

ITエンジニアは、さまざまな職種に分かれています。代表的な職種を紹介します。

  • ・ソフトウェアエンジニア
  • ・ネットワークエンジニア
  • ・インフラエンジニア
  • ・データベースエンジニア
  • ・組み込みエンジニア

またシステム開発で使われる言語や技術も、多種多様です。C++やPython、Java、JavaScriptなどは代表的な言語です。

求職者が多い状況でも、貴社が募集する職種に合致し必要なスキルを持つエンジニアは、意外と少ないものです。このことは、エンジニア採用が難しくなる一つの要因に挙げられます。

働き方の多様化が進んでいる

働き方改革の推進に伴い、ITエンジニアも働き方の多様化が進んでいます。正社員や契約社員、派遣社員といった働き方に加えて、近年ではフリーランスや副業という働き方も見られるようになりました。

また企業には、「働きながら育児をする」「働きながら介護をする」など、ライフスタイルに合った働き方への対応も求められています。在宅勤務は、その対応方法の一例です。

いくら優秀で自社にマッチした人材でも、働き方に関する条件が合わないと採用には至りません。企業は、多様化する働き方への対応も求められています。

応募者が求める年収と企業が払える賃金とのギャップが大きい

パーソル総合研究所は2021年2月に公表した「ITエンジニアの人的資源管理に関する定量調査」において、ITエンジニアが求める年収と企業が支払う賃金にギャップがあることを公表しています。

企業の事業内容希望年収額現在の年収額希望年収との相違
ITエンジニア全体763万7,000円613万6,000円150万1,000円
組み込みソフトウェア開発766万1,000円554万1,000円212万円
パッケージソフトウェア開発・提供801万6,000円620万9,000円180万7,000円
出典:パーソル総合研究所「ITエンジニアの人的資源管理に関する定量調査」 pp.22-23.

優秀な応募者は、企業を選べます。より良い就業条件を提示する企業があれば、他社に就職してしまうでしょう。応募者が求める年収の希望にこたえにくいことも、採用の難しさにつながる一因です。

そもそも優秀な人材は、企業が手放しにくい

採用を難しくする要因には、優秀な人材が転職市場になかなか現れないという点も挙げられます。そもそも優秀な人材は、企業が手放さないものです。一度失ったら代わりの人材を採用することがどれだけ困難かという点も、企業は認識しています。自社に在籍し続けられるよう、多少は無理してでも優秀な人材の希望にこたえるはずです。

このため応募を待つという方法だけではなかなか優秀な人材に出会えず、採用もしにくいことが実情です。

エンジニア採用が難しい企業の内部的な理由

「他社は次々と採用できているのに、なぜか自社だけ採用がうまくいかない」このような悩みを感じた方も、いるのではないでしょうか?自社固有の理由で、エンジニア採用を難しくしているケースもあります。5つの項目に分けて、理由を確認していきましょう。

一人前のエンジニアに育てる教育体制が整っていない

「弊社はエンジニアを育成しない。すぐ業績向上に貢献してくれる、経験豊富なエンジニアだけ欲しい」という企業は、それだけで不利です。経験者の採用にこだわる企業は、少ない経験者を取り合う厳しい競争にさらされるためです。競合他社よりも良い条件を提示できなければ、貴社への入社はかないません。

一方でエンジニアを育てる体制を整えた企業は、より幅広い応募者から貴社に合った人材を選べます。ポテンシャルの高い応募者を選び、自社で教育して優秀なエンジニアに育てることも可能。経験豊富なエンジニアにこだわる企業と比べて、採用を実現しやすいでしょう。

求める人材のスペックを明確にしていない

貴社は、どのような人材をお求めでしょうか?この問いに答えられない企業は、エンジニア採用も苦戦するでしょう。漠然と「いい人がいたら採りたい」「担当してもらう仕事はいい人が見つかってから考える」といった姿勢は、応募者に見抜かれてしまいます。「この企業では自分に合った仕事を任されない」とみなされ、選考の途中で辞退されかねません。

そもそも求める人材のスペックが明確でないと、誰を次の選考に進めるか迷ってしまうでしょう。スキルの高い人材を見逃すかもしれません。このような取り組みの甘さは、貴社に貢献する人材を採用できないという結果につながります。

応募者にとって魅力的なアピールができていない

採用したいエンジニア像が明確でも、応募者にしっかりアピールできないと採用は難しくなります。応募者が「貴社にぜひ応募したい」「貴社の話を聞きたい」と思うよう、魅力的にアピールすることが重要です。

仕事において賃金ややりがいは重要ですが、それだけで採用につながるわけではありません。以下の点も重視して、貴社をあますことなくアピールしてください。

  • 希望するキャリアプランを実現できること
  • エンジニアの成長を後押しする環境
  • 風通しが良く人間関係が良好
  • 休日・休暇(仕事とプライベートの両立)
  • 福利厚生

求める人材に出会えるチャネルを使っていない

IT技術が発達した時代、採用のチャネルは多数あります。一方で選んだチャネルにより、採用できる人材は異なることに注意してください。

例えば求職サイトを使う場合は、応募したエンジニアのなかから採用者を選ぶ必要があります。また合同企業説明会の場合、選考の対象は会場に足を運んだエンジニアに限られます。

面接官が応募者のスキルやポテンシャルを正しく評価できていない

ITエンジニアは、専門性の高い技術職です。応募者を正しく評価するためには、面接官自身に高く幅広いスキルと豊富な経験が求められます。経験が浅い、または偏ったスキルしか持たない方が面接官になると、応募者のスキルやポテンシャルを見逃してしまうかもしれません。

エンジニア採用を成功させるために企業が取るべき採用戦略と方法

さまざまな困難や制約があるなかで、希望するエンジニアを採用できた企業はあります。エンジニア採用を成功させるためには、どのような戦略を取ればよいのでしょうか?成功へのヒントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

優秀なエンジニアが企業をチェックするポイントとは?

優秀なITエンジニアは、給与の高さだけで企業を選んでいるわけではありません。さきに紹介したパーソル総合研究所「ITエンジニアの人的資源管理に関する定量調査」では、ITエンジニアの入社理由として以下の項目を挙げています。

入社理由割合
安定して働けそうな環境53.8%
成長できる環境40.4%
技術を伸ばせる環境38.3%
選考の中で応募者自身への期待を感じた35.6%
選考で自身のスキルをしっかり見てくれた30.3%
サービスや商品に魅力を感じた29.0%
プライベートな時間を確保できる29.0%
エンジニアに対する処遇が良かった28.7%
出典:パーソル総合研究所 「ITエンジニアの人的資源管理に関する定量調査」

上位8つの理由を見ると、以下の項目がポイントに挙げられています。

  • 安定して働ける環境
  • 技術を伸ばし、成長できる環境
  • 応募者自身への期待と、スキルの正確な評価
  • 適切な処遇とワーク・ライフ・バランスの実現

優秀なエンジニアを採用するためには、上記の項目に配慮することが重要です。

優秀なエンジニアを引き寄せる採用戦略

優秀なエンジニアからの応募は、待っていてもなかなか来ません。「そもそも優秀な人材は、企業が手放しにくい」で解説したとおり、在籍する企業はなかなか優秀なエンジニアを手放さないためです。

優秀なエンジニアを自社に引き寄せるためには、活躍中のエンジニアに対して積極的に働きかけを行う戦略が有効です。一例として、以下の方法が挙げられます。

  • ダイレクトリクルーティング(自社から直接エンジニアにアプローチする)
  • ヘッドハンティング
  • 人材紹介会社の活用
  • 取引先や知人の紹介

どのような人材が欲しいかという点を明らかにしたうえで、適切な方法を選ぶと成果を得やすくなります。

社内のエンジニアの協力を得る方法がおすすめ

もし貴社に優れた成果をあげている転職者がいる場合は、知り合いにエンジニアがいないかたずねてみるとよいでしょう。優秀なエンジニアとのつながりがある場合は、採用チームに紹介してもらえるよう協力を得る方法もおすすめです。これは「リファラル採用」と呼び、近年で注目されている採用方法です。

協力者は、ターゲットとなるエンジニアと面談したり、推薦したりする必要はありません。単に採用チームに対して、情報提供を行うだけで済みます。その後の選考や採用活動は採用チームが実施しますので、協力者の手を煩わせる手間は必要ありません。

リファラル採用については、「リファラル採用を促進するための完全ガイド」記事で詳しく解説しています。より良い採用を実現するためにも、ぜひご参照ください。

エンジニア採用に強い媒体やサービスを紹介

エンジニア採用に強い媒体やサービスは、いくつかあります。代表的な媒体やサービスを、以下にまとめました。

媒体の種類代表的な媒体やサービス
転職サイトtypepaiza転職GreendodaリクナビNEXT
転職エージェントマイナビITエージェントGeeklyリクルートエージェントレバテックキャリア

もちろん採用にあたって、上記のサービスを使わなければ不利になるとは限りません。自社の公式サイトで、採用を行う方法もあります。またリファラル採用を行うことで、スキルの高い人材を採用しやすくなるメリットも見逃せません。

エンジニア採用の成功に向けた「攻め」の姿勢とは

求職者がより良い企業を選べる時代、待っているだけではなかなか良い人材に巡り合えません。「転職サイトに求人を出した」「人材紹介会社に申し込んだ」というだけでは不十分です。

エンジニア採用を成功させるためには、企業が主導権を握り、率先して取り組む「攻め」の姿勢が欠かせません。採用したい人に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」やリファラル採用は、代表的な方法です。加えて、以下に挙げる方法もご検討ください。

  • ヘッドハンティングを活用する
  • 市場調査を定期的に行い、採用したい人材像をアップデートする
  • 継続的なブランディングを行う
  • 待遇を改善し、働きたくなる会社にする

エンジニアが思うように採用できない結果、最も困るのは貴社自身です。「良い採用の方法はよくわからないから、専門会社にお任せ」ではいけません。採用活動を自分ごととして捉え、積極的にアクションを起こすことが成功の秘訣です。

採用にお困りの企業は「すごい人事コンサルティング」サービスの活用を

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「リファラル採用の有効性はわかったが、自社だけで取り組むことには不安がある」このような企業のご担当者様も、心配はいりません。「すごい人事コンサルティング」では、リファラル採用の支援を行っております。

貴社の課題やご希望をお伺いしたうえで、リファラル採用をスムーズに進められるよう、人事コンサルタントの知識・経験を活かしてアドバイスいたします。はじめてのリファラル採用にも安心して取り組むことができ、貴社に必要な人材を確保しやすくなるでしょう。

「すごい人事コンサルティング」ではリファラル採用だけでなく、人事・採用全般の課題解決をお手伝いいたします。人事・採用にお困りの場合は、ぜひ弊社にご相談ください。

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe
Crepeでは、「人事が変われば、組織が変わる」というコンセプトのもと、

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