
【2025年版】TikTokで採用活動の成功事例10選!事例解説つき
近年、Z世代を中心に絶大な人気を誇るショート動画プラットフォーム「TikTok」。その影響力はエンターテインメントの領域にとどまらず、企業の採用活動においても無視できない存在となりつつあります。若年層の価値観や情報収集の方法が多様化する中、従来の手法だけでは優秀な人材にアプローチすることが難しくなってきました。そこで注目されているのが、TikTokを活用した新しい採用戦略「TikTok採用」です。
本記事では、SNS採用を検討されている人事担当者や経営者の皆様に向けて、TikTok採用の基本から具体的な成功事例、そして導入する上でのメリット・デメリットまでを網羅的に解説します。この記事を読めば、TikTok採用の全体像を把握し、自社で導入を検討する際の具体的なヒントを得ることができるでしょう。
目次
- TikTok採用とは?基本知識を解説
- TikTok採用の成功事例10選
- TikTok採用のメリット
- TikTok採用のデメリットと注意点
- TikTok採用を成功させるポイント
- TikTok採用の導入を検討すべき企業
- まとめ
TikTok採用とは?基本知識を解説
TikTokの特徴と利用状況
TikTokは、15秒から数分程度の短い動画を作成・投稿・視聴できるソーシャルネットワーキングサービスです。BGMに合わせてダンスをしたり、面白いエフェクトを使ったりと、誰でも簡単にクリエイティブな動画を作成できる手軽さが、特に10代から20代の若年層から絶大な支持を集めています。2022年の調査では、日本の10代の約4割がTikTokを利用しており、その利用率は年々増加傾向にあります。また、ユーザー数は約1,700万人に達し、若年層へのリーチに非常に強いプラットフォームと言えるでしょう。
TikTok採用が注目される3つの理由
では、なぜ今、TikTokが採用活動のツールとして注目されているのでしょうか。その理由は大きく3つあります。
1.若年層への圧倒的なリーチ力:前述の通り、TikTokはZ世代と呼ばれる若年層に広く浸透しています。2023年卒の学生を対象とした調査では、81%がTikTokで企業の動画を視聴した経験があり、そのうちの66.2%が実際にエントリーに至ったというデータもあります[3]。これは、TikTokが単なる娯楽ツールではなく、就職活動における重要な情報源となっていることを示しています。
2.動画によるリアルな情報発信:テキストや写真だけでは伝わりにくい企業の雰囲気や文化、社員の人柄などを、動画を通して直感的かつリアルに伝えることができます。「楽しそうな会社」「風通しが良さそう」といったポジティブな印象を与え、求職者の共感を呼ぶことで、入社意欲を高める効果が期待できます。
3.高いエンゲージメントと拡散力:TikTokのアルゴリズムは、ユーザーの興味関心に合わせて動画を推薦するため、エンゲージメント(いいね、コメント、シェアなど)が高くなりやすい特徴があります。面白い、あるいは有益なコンテンツは、フォロワー以外にも爆発的に拡散される可能性を秘めており、低コストで高い認知度向上効果が見込めます。
他のSNSとの違いと優位性
採用活動で活用されるSNSには、Instagram、X(旧Twitter)、Facebookなど様々ありますが、TikTokには他にはない優位性があります。
SNS | 国内ユーザー数 | メインユーザー層 | 特徴 |
TikTok | 約1,700万人 | 10代~20代 | ショート動画、高い拡散力、若年層へのリーチ |
約3,300万人 | 10代~30代 | 画像・動画によるビジュアル訴求、女性人気が高い | |
X(旧Twitter) | 約4,500万人 | 10代~20代 | リアルタイム性、高い拡散力、情報収集 |
約2,600万人 | 20代~40代 | 実名登録、ビジネス利用、ターゲティング広告 |
Instagramがビジュアル重視、Xがリアルタイム性重視であるのに対し、TikTokは「動画によるエンターテインメント性」と「アルゴリズムによる高い拡散力」が最大の強みです。特に、まだ自社のことを知らない潜在的な候補者層に、楽しみながら企業文化に触れてもらう「認知獲得」のフェーズにおいて、TikTokは非常に効果的なツールと言えるでしょう。
TikTok採用の成功事例10選
それでは、実際にTikTokを採用活動に活用し、成功を収めている企業の事例を10社ご紹介します。各社がどのような工夫を凝らし、求職者の心を掴んでいるのか、そのポイントを見ていきましょう。
事例1:三和交通株式会社
「踊るタクシーおじさん」として一躍有名になった三和交通は、TikTok採用の先駆者と言える存在です。取締役部長をはじめとする社員たちが、真顔でキレキレのダンスを披露する動画は大きな話題を呼び、TikTokのトレンドにもノミネートされました。その結果、フォロワー数は21万人を超え、テレビ番組でも取り上げられるほどの人気アカウントとなっています。この取り組みにより、企業の知名度とイメージが大幅に向上し、中途採用の応募者が増加。採用コストの削減にも繋がったと言われています。
事例2:株式会社BEEM
「TikTokマーケティング日本一」を自称する株式会社BEEMは、その名の通りTikTok運用のプロフェッショナル集団です。社長と社員たちのコミカルな掛け合いが人気のエンターテインメント性の高い動画は、48万人以上のフォロワーを獲得しています。動画からは、社員同士の仲の良さや風通しの良い社風が伝わり、「こんな楽しそうな会社で働きたい!」というコメントが多数寄せられています。企業イメージを効果的に発信し、「ここで働きたい」という熱意の高い人材の獲得に成功している好例です。
事例3:ライソン株式会社
「一点突破家電メーカー」を掲げるライソン株式会社は、自社製品を使ったユニークな「職場クッキング」動画で人気を集めています。3時のおやつや定時後に、社員たちが楽しそうに調理し、試食する様子は、アットホームで和気あいあいとした職場の雰囲気を伝えています。動画に登場する社員たちの個性的なキャラクターも魅力の一つで、視聴者からの共感を呼び、多くの就職希望者を生み出しています。
事例4:ダイキン工業株式会社
大手空調メーカーのダイキン工業は、エアコンの豆知識や節電術といったお役立ち情報から、人気TikTokerとのコラボ動画まで、幅広いコンテンツを投稿しています。採用担当者が音楽に合わせて企業紹介を行う動画も人気で、「#会社紹介」「#新卒採用」といったハッシュタグを効果的に活用し、就職活動中の学生へのアプローチに成功しています。企業の真面目なイメージと、TikTokならではの遊び心を両立させた運用が特徴です。
事例5:大京警備保障株式会社
警備会社という堅いイメージを覆すユニークな動画で注目を集めているのが、大京警備保障です。部長が冷えピタに人気アニメのキャラクターを手描きし、社長の顔面に投げつけて貼るというシュールな動画シリーズは、その意外性とクオリティの高さから海外のユーザーからもコメントが殺到するほどの人気を博しています。プロフィール欄には求人情報へのリンクを設置し、TikTokで獲得した認知度を採用に繋げる導線もしっかりと設計されています。
事例6:株式会社NIDS
ITコンサルティングなどを手掛ける株式会社NIDSは、「遅刻/早退の理由が○○すぎる社員たち」というシリーズ動画が人気です。社員が繰り出すユニークな言い訳を、社長が真正面から受け止めるというやり取りからは、社長と社員の距離の近さや、ユーモアを大切にする企業文化が伝わってきます。「親しみやすい会社」というイメージを確立し、視聴者にポジティブな印象を与えることに成功しています。
事例7:株式会社リンクロノヴァ
仙台を拠点とする建設会社の株式会社リンクロノヴァは、「会社で○○(料理名)」シリーズで人気のアカウントです。社長の前で部下が様々な料理を振る舞うという内容で、調理風景はもちろん、完成を待つ社長のリアクションや食レポも見どころの一つです。建設業という業界イメージとはギャップのある、和やかな職場の雰囲気を伝えることで、多くの「いいね」とフォロワーを獲得しています。
事例8:全日本空輸株式会社(ANA)
日本を代表する航空会社であるANAも、TikTokを積極的に活用しています。パイロットやキャビンアテンダントだけでなく、整備士やグランドスタッフなど、空港で働く様々な職種の社員が登場し、ダンスを披露したり、仕事内容を紹介したりしています。普段は見ることのできない舞台裏を見せることで、視聴者の興味を引きつけ、企業ブランディングに繋げています。人気アイドルグループとのコラボなど、話題性の高い企画も積極的に行っています。
事例9:USEN-NEXT GROUP
USEN-NEXT GROUPは、新卒採用に特化したアカウントを運用しています。インターンシップや内定者の紹介、面接の形式や回数といった、就活生が本当に知りたい情報を発信しているのが特徴です。自己PR動画のポイントやAI面接の対策など、具体的な就活ノウハウを提供することで、就活生に寄り添う姿勢を示し、多くの学生から支持されています。
事例10:株式会社これから
ECサイトのコンサルティングなどを手掛ける株式会社これからは、「正直、微妙なダンス」と自虐しつつも、社員たちが楽しそうに踊る動画で企業の明るい雰囲気を伝えています。動画の最後には「この動画を見て受けたいと思う人がいるかと聞かれたら怪しいのですが、でもぜひ一度説明会へ!」とユーモアあふれるメッセージを添え、視聴者の笑いを誘います。飾らない自然体な姿を見せることで、親近感を醸成し、説明会への参加を促しています。
TikTok採用のメリット
TikTokを採用活動に取り入れることで、企業は多くのメリットを享受できます。ここでは、主な5つのメリットについて詳しく解説します。
コスト効率の良さ
従来の求人広告や人材紹介サービスを利用する場合、数十万から数百万円の費用がかかることも珍しくありません。一方、TikTokは基本的に無料でアカウントを開設・運用できます。動画の撮影や編集も、スマートフォン一つあれば可能であり、特別な機材や専門知識がなくても始めることができます。もちろん、クオリティの高い動画を制作するために外部の専門家に依頼する方法もありますが、内製化すれば採用コストを大幅に削減できる可能性があります。
若年層への高いリーチ力
前述の通り、TikTokは10代から20代の若年層に絶大な人気を誇ります。新卒採用や若手人材の獲得を目指す企業にとって、これほど効率的にターゲット層にアプローチできるプラットフォームは他にありません。Z世代はテレビや新聞といった従来のメディアよりも、SNSから情報を得ることが主流となっています。彼らが日常的に利用するTikTokで情報発信を行うことは、企業の認知度向上に直結します。
企業文化の効果的な発信
「社風」や「職場の雰囲気」は、求職者が企業を選ぶ上で非常に重要な要素ですが、テキストや写真だけでは十分に伝えきることが難しいものです。TikTokのショート動画であれば、社員同士の何気ない会話や、オフィスでの日常風景、イベントの様子などを通して、企業のリアルな文化を直感的に伝えることができます。これにより、求職者は入社後の働き方を具体的にイメージしやすくなり、企業とのミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
高いエンゲージメント率
TikTokは、他のSNSと比較してエンゲージメント率(投稿に対するユーザーの反応率)が非常に高いという特徴があります。その理由は、ユーザーの興味関心に基づいて動画を推薦する独自のアルゴリズムにあります。たとえフォロワーが少なくても、コンテンツが魅力的であれば「おすすめ」に表示され、多くのユーザーに視聴されるチャンスがあります。「いいね」やコメント、シェアといった反応も得られやすく、ユーザーとの双方向のコミュニケーションを通して、企業への親近感や好意を醸成することができます。
潜在層へのアプローチ
TikTok採用は、今すぐ転職や就職を考えている「顕在層」だけでなく、まだ具体的な行動を起こしていない「潜在層」にもアプローチできるという大きなメリットがあります。面白いコンテンツや役立つ情報を発信し続けることで、まずは企業のファンになってもらう。そして、その企業で働くことに興味を持ってもらい、将来的な応募に繋げる。このような長期的な視点での母集団形成が可能になるのです。
TikTok採用のデメリットと注意点
多くのメリットがある一方で、TikTok採用にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。導入を検討する際には、これらのリスクも十分に理解しておく必要があります。
炎上リスクとブランド毀損の可能性
TikTokは拡散力が高い分、一度ネガティブな印象を与えてしまうと、瞬く間に情報が広がり「炎上」に繋がるリスクがあります。不適切な言動や差別的な表現、ステルスマーケティングなどを疑われるような投稿は、企業のブランドイメージを大きく損なう可能性があります。投稿内容は複数人でチェックするなど、慎重な運用が求められます。
継続的な運用工数の必要性
TikTokで成果を出すためには、定期的にコンテンツを投稿し続ける必要があります。動画の企画、撮影、編集、投稿、コメントへの返信など、運用には相応の時間と労力がかかります。担当者一人に負担が集中しないよう、チームで運用体制を構築したり、一部の業務を外部に委託したりするなど、継続可能な仕組み作りが重要です。
ターゲット層の限定性
TikTokの主なユーザー層は10代から20代の若年層です。そのため、管理職や専門職といったハイクラス人材の採用には不向きな場合があります。自社が求める人材像と、TikTokのユーザー層がマッチしているかを見極める必要があります。ただし、近年は30代以上のユーザーも増加傾向にあるため、今後の動向に注目です。
効果測定の難しさ
TikTokの投稿が、直接どの程度採用応募に繋がったのかを正確に測定することは容易ではありません。プロフィール欄に採用サイトへのリンクを設置したり、動画内で特定のキーワードを提示したりするなど、効果測定のための工夫が必要になります。フォロワー数や「いいね」の数といった指標だけでなく、採用サイトへの流入数や応募数など、最終的なゴールに繋がる指標を追っていくことが大切です。
TikTok採用を成功させるポイント
TikTok採用を成功に導くためには、いくつかの重要なポイントがあります。やみくもに動画を投稿するだけでは、期待する成果は得られません。以下の4つのポイントを意識して、戦略的に運用しましょう。
継続的な投稿とPDCAサイクル
TikTokのアルゴリズムは、定期的に活動しているアカウントを評価する傾向があります。そのため、まずは継続して動画を投稿することが重要です。毎日投稿が理想ですが、難しければ週に2〜3回など、無理のない範囲で目標を設定しましょう。そして、投稿したら終わりではなく、必ず効果測定を行います。「いいね」やコメント、再生回数などのデータを分析し、「どのようなコンテンツがウケるのか」「投稿時間はいつが良いのか」といった仮説を立て、改善を繰り返す(PDCAサイクルを回す)ことが、成功への近道です。
企業らしさを活かしたコンテンツ作り
成功事例で紹介した企業に共通しているのは、自社の「らしさ」をうまくコンテンツに落とし込んでいる点です。タクシー会社の社員が踊ったり、家電メーカーが自社製品で料理をしたりと、事業内容や企業文化と関連付けた企画は、視聴者の記憶に残りやすく、共感を呼びます。無理に流行に乗ろうとするのではなく、「自社の強みは何か」「社員のどんな魅力を伝えたいか」を考え、オリジナリティのあるコンテンツ作りを心がけましょう。
トレンドを意識した動画制作
オリジナリティが重要である一方、TikTokのトレンドを意識することも欠かせません。流行りの音楽やエフェクト、ハッシュタグチャレンジなどを取り入れることで、より多くのユーザーに動画を見てもらえる可能性が高まります。常に「おすすめ」フィードをチェックし、どのようなコンテンツが流行っているのかをリサーチする習慣をつけましょう。ただし、トレンドをそのまま真似るのではなく、自社のコンテンツにうまく取り入れる「アレンジ力」が求められます。
適切な効果測定と改善
前述の通り、TikTok採用の効果を正確に測定することは簡単ではありませんが、工夫次第でその効果を可視化することは可能です。例えば、TikTok専用の採用エントリーフォームを用意したり、面接の際に「何を見て応募しましたか?」と質問したりする方法が考えられます。また、TikTokのインサイト機能を使えば、フォロワーの属性(年齢、性別、地域など)や、動画が最も視聴されている時間帯などを分析できます。これらのデータを活用し、コンテンツの改善や投稿戦略の見直しを行いましょう。
TikTok採用の導入を検討すべき企業
これまでの内容を踏まえ、どのような企業がTikTok採用の導入に適しているのでしょうか。また、逆に導入を慎重に検討すべき企業とはどのような企業でしょうか。
導入に適した企業の特徴
新卒採用や若手人材の獲得に注力している企業
TikTokのメインユーザー層と採用ターゲットが合致しているため、高い効果が期待できます。
BtoC向けのサービスや製品を提供している企業
自社のサービスや製品を動画で紹介しやすく、採用活動とマーケティング活動の相乗効果が見込めます。
ユニークな企業文化や面白い社員がいる企業
動画コンテンツのネタが豊富にあり、他社との差別化を図りやすいです。
採用ブランディングを強化したい企業
企業の認知度向上やイメージアップに繋がり、長期的な資産となります。
導入を避けるべき企業の特徴
管理職や高度な専門職の採用がメインの企業
TikTokのユーザー層とマッチしない可能性が高いです。
炎上リスクを極度に恐れる企業
SNSの特性上、炎上リスクをゼロにすることはできません。リスクを許容できない場合は、導入は慎重に検討すべきです。
継続的な運用リソースを確保できない企業
中途半端な運用はかえって逆効果になる可能性があります。十分な体制を整えられない場合は、他の手法を検討した方が良いでしょう。
まとめ
本記事では、TikTokを活用した採用活動について、その基本から成功事例、メリット・デメリット、そして成功のポイントまでを詳しく解説しました。TikTok採用は、若年層への強力なリーチ力と、動画によるリアルな魅力発信を武器に、従来の採用手法の限界を打ち破る可能性を秘めています。
もちろん、炎上リスクや運用工数といった課題もありますが、それらを理解し、戦略的に活用することで、採用活動における大きなアドバンテージとなることは間違いありません。SNS採用を検討されている人事担当者、経営者の皆様は、本記事を参考に、ぜひTikTok採用という新しい選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
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