シリーズA・B、ミドル期の人事責任者・経営者が直面する課題と解決策:急成長企業における「人と組織」の人事戦略

「優秀な人材を採用し、組織を強くする」成長企業の経営者や人事責任者なら誰もが意識するテーマです。しかし、シリーズA・B期、そしてミドル期の組織において、人事が直面する課題は非常に多岐にわたります。

✔「採用が追いつかない」

✔「組織の成長スピードについていけない」

✔「評価制度が形骸化し始めた」

✔「カルチャーがブレ始めた」

このような悩みを抱えながらも、目の前の事業成長に追われる日々。特にこのフェーズの経営者や人事は「とにかく人を採らないと回らない」と焦りがちです。しかし、採用の「数」だけに注力してしまうと、組織にミスマッチな人材が増え、結果的に「すぐ辞める」や「組織の一体感がなくなる」といった別の問題に直面することになります。

本記事では、シリーズA・B期の人事・経営者が「絶対に押さえておくべき人事のポイント」を、事例を交えながら解説していきます。

【このシリーズを読んでほしい人!】
・人事が採用できないと悩んでいる経営者の方
・自分1人では仕事がやりきれないけど誰も頼れなくて困っている人事の方
・人事の業務委託導入を検討している経営者、人事担当の方

【このシリーズを読むことでのベネフィット】
・人事の業務委託を利用するメリット・デメリットがわかる
・自社にマッチする人事の業務委託の選び方がわかる
・人事の業務委託導入の情報収集に役立つ

目次

シリーズA・B期の人事が直面する主要課題

課題①:スピードと質のバランスをとった採用が求められる

よくある状況

・事業成長が急速に進み、1年で2倍・3倍の組織規模に拡大

・採用目標が急増(例:前年5人だったのに今年は50人必要)

・採用チャネルが限られ、リファラル採用やエージェント頼みになる

・採用基準が曖昧になり、入社後のミスマッチが発生

事例:シリーズB期のSaaS企業(社員数30→100人)

とあるSaaS企業では、シリーズB期に入り急激な採用拡大を進めました。しかし、入社6か月以内の離職率が20%を超えるという問題が発生。

原因を分析したところ、「とにかく人を採る」ことを優先し、以下の問題が起きていました。

・採用要件がブレており、事業やカルチャーに合わない人が入社

・オンボーディングが不十分で、早期に不安を感じて離職

・マネジメント層が育っておらず、新入社員の受け入れが機能しない

解決策

・採用要件を明確化する(スコアリング導入

→技術スキルだけでなく、カルチャーフィットや成長ポテンシャルも評価

・オンボーディングプログラムの強化

→初月にメンター制度を導入し、離職防止

・採用チャネルの多様化

→エージェント頼みを脱し、ダイレクトリクルーティングを強化

課題②:ミドルマネジメントの不在による組織の混乱

よくある状況

・30→100人規模になると、CEOや創業メンバーが全員を直接マネジメントできない

・中間管理職の層が薄く、現場の混乱が増大

・人が増えたことで「意思決定スピードが遅くなる」「責任の所在が不明確になる」

事例:HRテック企業(社員数50→120人)

この企業では、シリーズB調達後に急速な組織拡大を進めた結果、現場が疲弊し、エース社員の退職が相次ぐという状況に。

原因は、マネジメント層が不在のまま組織を拡大したため、現場の混乱が増大したことでした。

解決策

・「マネージャー候補」を内部育成

→若手リーダーを早期に登用し、1on1ミーティングを徹底

・組織図の明確化

→誰が誰をマネジメントするのかを明確にし、責任の所在を整理

・ミドルマネージャー向け研修を実施

→OJTに頼らず、リーダー育成の体系化を進める

課題③:評価制度と報酬設計の最適化

よくある状況

・創業初期の評価制度が通用しなくなる

・「評価が曖昧で納得感がない」との声が増える

・ストックオプション(SO)や給与設計がバラバラ

事例:フィンテック企業(社員数20→80人)

この企業では、シリーズA期に「OKR(Objectives and Key Results)」を導入。しかし、社員が増えるにつれ「評価基準が不明確」「給与テーブルが統一されていない」といった問題が発生し、社員のモチベーションが低下。

解決策

・評価制度の再設計

→「成果評価×バリュー評価」のハイブリッド型に変更

・給与テーブルの明確化

→役割ごとに給与レンジを設定し、透明性を確保

・ストックオプション(SO)制度の見直し

→貢献度の高い社員に適切に付与し、エンゲージメントを向上


スタートアップ・ベンチャーで必須の人事機能と、それを担う人材の選び方・育て方・外部サービスの活用方法

シリーズA・B、ミドル期の企業にとって、人事機能の強化は事業成長を支えるために不可欠です。しかし、多くのスタートアップやベンチャーでは、「人事部がまだない」「専任の人事が1人しかいない」といったケースも珍しくありません。このような状況では、限られたリソースでどのように人事機能を構築し、強化していくべきかを考える必要があります。

スタートアップ・ベンチャーで必須の人事機能

まず、シリーズA・B期において最低限必要な人事機能を整理すると、優先すべきは以下の3つに分けられます。

1. 採用(人材確保)

2. 組織・カルチャー設計

3. 評価・報酬設計

人事機能を担える人事人材の選び方

シリーズA・B期では、「ゼロから人事機能を作れる」人材が必要です。

大企業の人事経験者を採用するケースもありますが、「すでに整備された環境でしか働いたことがない人」は、スタートアップのスピード感に対応できない場合もあります。

そのため、以下の条件を満たす人材を採用するのが望ましいです。

求める人材の条件

・「事業と人」の両方に関心がある

→人事だけでなく、経営・事業目線で考えられる人

・ オペレーション構築が得意

→採用フローや評価制度をゼロから作れる人

・ プレイヤーとしても動ける

→採用広報、面接、オンボーディングまで幅広く対応できる

・ スピード感と柔軟性がある

→事業フェーズごとに人事施策をアップデートできる

人事人材の育て方

人事を内部で育成する場合、以下のアプローチが有効です。

・「事業×人事」の視点を持たせる

→採用や人事制度を「コスト」ではなく「投資」として捉えさせる

→経営者や事業責任者と密に連携する機会を増やす

・人事スキルの育成プログラムを活用

→採用スキル:面接技法、採用広報、ダイレクトリクルーティングのトレーニング

→労務スキル:基本的な労働法知識、社会保険手続き

→評価・報酬設計:評価フレームワークの導入事例学習

・フリーランス人事や外部の専門家と組み合わせる

→正社員人事+フリーランス人事のハイブリッド体制をとる

→一定期間、外部のプロ人事と並走しながら学ぶ

外部サービスの活用方法

スタートアップでは、全ての人事機能を社内で完結させるのは難しいため、外部サービスの活用が鍵となります。特に、フリーランス人事の活用はスタートアップにとって最適な選択肢です。

・採用拡大フェーズでは、採用専門のフリーランス人事を活用

・評価制度の整備では、人事制度設計の専門家を活用

・労務管理は、社内に人事がいなくても回せるようにクラウドツール+外部の専門家で構築


まとめ

最適な人事戦略を選び、成長フェーズに適応する

シリーズA・B、ミドル期のスタートアップ・ベンチャーにおいて、人事機能は「成長のボトルネック」にも「競争優位の源泉」にもなり得ます。

・適切な人事機能を定義し、優先順位をつける

・自社に最適な人事人材を見極め、柔軟にチームを構築する

・外部サービスやフリーランス人事を活用し、スピード感を持って組織を強化する

事業の成長とともに「人と組織」に関する悩みは尽きません。しかし、早期にこれらの課題に向き合い、適切な打ち手を講じることで、限られたリソースの中でも企業の成長を強固に支える組織を構築できます。

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