代行だけで終わらない!コンサルティング型採用代行(RPO)で“本質的な”採用課題を解決する

少子高齢化やテクノロジーの進展による高度人材の不足、スタートアップの増加による人材競争の激化など、日本の採用市場を取り巻く状況は厳しさを増しています。そんな中、自社だけで人材確保を完結させるのは難しいという認識が広がり、必要なプロセスを外部に委託する「RPO(採用代行)」へのニーズが高まっています。

とはいえ、「RPOならどこでもいいわけではない」「コストがかかりそうで不安」という声も多いはず。実際、私自身も人事を担当する中で「外部パートナーを活用するのは意義があるけど、どう選べばいい?」「ちゃんと成果につながるの?」と迷う時期が長くありました。だからこそ、読者の皆さまが本当に知りたいのは、具体的にどう導入して、どんな成果が得られるかという実践的な情報なのではないでしょうか。

この記事では、人事責任者・経営者のリアルな悩みに寄り添いつつ、RPOの本質と活用法を深掘りしていきます。

【このシリーズを読んでほしい人!】

  • 自社でRPO導入を検討中の人事責任者・経営者
  • 採用現場の責任者として、具体的な課題解決策を模索している人事責任者
  • 採用ノウハウやリソースが限られている中で、効果的な採用戦略を求めている人事責任者・経営者

【このシリーズを読むことで得られるメリット】

  • RPOのメリット・デメリット、費用対効果、導入事例などを知ることで、自社にRPOが必要かどうかを判断できる
  • サービス内容、実績、などを比較検討することで、自社に最適なRPOサービスを選べる
  • 導入の流れ、注意点、成功事例などを知ることで、RPO導入後の具体的な行動計画を立て、成功に近づける

目次

採用は“経営課題”そのもの

「人が足りない」「採用がうまく進まない」という声は、企業規模や業界を問わず、あらゆる組織で耳にする悩みです。少子高齢化やテクノロジー化の急進により、優秀な人材に対する需要は高まる一方です。しかし、それだけが採用難の理由ではありません。求める人物像が曖昧なまま募集をかけ、応募があっても内定を辞退される。せっかく入社しても、すぐに離職してしまう。こうした採用の失敗が続くと、現場は疲弊し、経営層との間に溝が生まれることすらあります。

実はこれらの問題を単なる「人事担当の苦労」で終わらせずに、組織の強みとして変えられる方法があります。採用そのものを経営戦略の一部に組み込み、本質的に改革していくアプローチです。そのために注目されているのが、採用プロセスを外部に委託する「RPO(採用代行)」という選択肢。一言でRPOといってもさまざまな形態がありますが、戦略からオペレーションまで深く踏み込む“コンサルティング型”のRPOは、従来の「とりあえず人を採る」採用活動を根本から変える力を持っています。

人事担当としての悩みとRPOへの期待・不安

私はこれまで、IT系スタートアップから老舗商社、そしてHRコンサルティング会社など、多様な立場で「採用」に携わってきました。その過程で何度もぶつかった壁は、「人事担当者が二人三脚どころか、ひとり奮闘しなければならない」という環境でした。

毎日のように求人票を作り、応募者を管理し、面接の日程を組む。何十人、何百人という候補者とやり取りをするうちに、気づいたら「作業」に追われて疲弊している。そんな経験をお持ちの人事担当者の方は多いのではないでしょうか。私もまさにその一人で、「本当にこのやり方でいいのだろうか」と疑問を抱きながら、日々メールと電話の対応に追われていました。

「もっと戦略的に人事を動かしたい」「採用そのものを経営に生かしたい」と思っていても、実際には大量の事務作業が障壁になり、なかなか手が回らない。しかも、一度に数十名以上の採用を短期でこなさなくてはならない時期には、精神的にも肉体的にも限界を迎える寸前でした。そんなときに知ったのがRPOというサービスです。初めは「応募者管理や面接調整だけでも外注できたら助かるかも」程度の軽い気持ちでした。

しかし、同時にこんな不安もありました。

  • 費用が高いんじゃないか?
  • 社内のカルチャーを外部の人が理解できるのか?
  • 外注してしまうことで、社内ノウハウが蓄積されないのでは?

結論としては、「適切なRPOパートナー」を選び、役割分担を明確にすれば、これらの不安は解消可能でした。むしろ、RPOと協働するなかで、採用のプロセスや基準が形式知化され、社内にノウハウが蓄積されるという効果も得られたのです。

RPOの導入は、なかなか経営陣に理解されないことも多いと思います。「その仕事をやるのが人事担当だろ」と言われがち。また、コンサルを入れるにしても、「それを考えるのが人事担当の仕事だろ」と言われて突っぱねられてしまうことも多くありました。
ただ、実際に導入してみると「コンサルティングまで含めたRPOが、組織全体を変えられる可能性を秘めている」という事実にも気づくことができ、結果的に組織は2年半で2倍の成長と遂げることができた体験をもとに、長編となりますが記事の執筆を進めていきたいと思います。

RPO(採用代行)の基本と導入メリット・デメリット

RPOとは何か?

RPOとは“Recruitment Process Outsourcing”の略称で、企業が行う採用プロセスの一部または全てを外部に委託する仕組みを指します。求人票の作成や広告運用はもちろん、応募者管理、スクリーニング、面接調整、内定後フォロー、オンボーディング支援など、担当領域は会社ごとに多種多様です。事務作業だけを任せるケースもあれば、採用戦略の立案から実務までを一手に任せるケースもあります。

RPOのメリットは、単なる工数削減にとどまりません。自社では得られない知見やノウハウを外部から導入でき、採用の質や効率を同時に高められる点が大きいと感じています。ただし、どのRPOでも同じ成果が得られるわけではありません。導入企業の目標や課題によって、選ぶべきRPOの“背景”や“強み”は大きく異なるのです。

業務範囲は以下の内容が一般的です。

  • 求人広告の運用管理
  • スクリーニングと応募者対応
  • 面接調整・日程管理
  • 内定後フォロー、オンボーディング
  • 採用計画策定や選考基準の設計(上流工程まで踏み込む場合も)

RPO導入のメリット

  1. 採用担当者の工数削減
    事務作業や応募対応から解放され、戦略設計や面接品質向上に時間を割けるようになります。
  2. 専門的ノウハウの獲得
    人材紹介、広告運用、コンサルなど、多様なバックグラウンドを持つRPO会社のノウハウが得られます。
  3. 採用スピード・効率の向上
    専門家のネットワークや仕組みを活用することで、より短期間で募集枠を埋めやすくなります。
  4. 客観的視点での改善
    「外部の目」が入ることで、従来のやり方に埋もれていた課題が可視化されるケースが多いです。

RPO導入のデメリット

  1. 費用面の負担
    上流工程から依頼すると高額になる場合も。成果報酬型・定額型など、料金体系を事前に確認する必要があります。
  2. 社内カルチャーの理解不足
    外部メンバーが実際に自社の現場で働くわけではないため、企業文化の共有に工夫が必要。
  3. パートナー選びの難しさ
    RPO企業ごとに得意領域や契約形態が異なるため、自社の課題に合った相手を見極めるのは容易ではありません。
Chat GPT より引用

なぜ採用課題が「根深い問題」に発展するのか?

ここで少し掘り下げたいのは、なぜ採用課題は常に解決が難しく、しかも会社に大きなインパクトを与えるのか? という点です。

忙殺される人事担当者のリアル

「採用が大変」と感じる現場の声は、たいていの場合、一朝一夕で解決できません。そこにはいくつかの理由があります。まず、人事が本来の“戦略構築”に時間を割けない状態にあることが多いという点です。候補者との連絡や書類対応が膨大で、次々と発生するタスクに忙殺されてしまう。肝心の採用ブランディングや面接官トレーニング、オンボーディング施策などの“採用の質”を高める取り組みに手が回らないまま、どんどん採用人数だけが増えていくのです。

先ほども触れましたが、人事担当者が採用に割ける時間には限りがあります。特に総務や労務管理も兼務している場合は、1日の大半を“作業”に取られ、戦略的思考や面接品質向上に手が回らないという状況に陥りがちです。

経営戦略との乖離と採用機会の損失

経営層との連携不足も見逃せません。「事業を拡大したいから人が欲しい」という依頼があっても、具体的にどんなスキルやマインドを持つ人材が必要なのか、明確な言語化がされていないケースは珍しくありません。採用のゴールが曖昧なまま動き始めると、大量応募を得ようと求人媒体に出稿を繰り返し、膨大なコストをかける結果にもなりかねない。さらに、内定承諾や入社後定着に向けたフォローが手薄だと、せっかく採用した人材もすぐに離職してしまい、また“採用コスト”が増えていく悪循環に陥ります。こうした構造的な問題を抜本的に変えるには、上流工程である経営課題や組織戦略から採用を再定義することが不可欠ですが、そのためには“専門家の力”を借りるのが最も効果的です。

経営者は「人材が足りない」「優秀人材を雇いたい」と言う一方で、具体的にどんな人材が経営戦略にとって必要なのかまで言語化しきれていないことも多いです。これが採用目標と事業目標のミスマッチを生み、結果的に「とりあえず数を揃える」採用に陥ってしまう。要件定義が曖昧なまま採用活動を進めることで、ミスマッチや内定辞退が頻発し、時間とコストを浪費する悪循環に陥ります。

内定承諾率・定着率の低迷がもたらすダメージ

採用にコストをかけ、内定を出しても、承諾されなければ水の泡。承諾されても定着しなければ投資が回収できません。ここにメスを入れず「とにかく応募数を増やそう」と求人広告に予算を注ぎ続けるのは、コストがかさむだけで根本解決には至らないのです。経営者からすると「採用しても辞める…どこが問題なの?」という苛立ちが募り、人事担当者との間に溝が生まれることもしばしば。

背景別5つのRPOタイプ:自社に合うパートナーを見極める

RPOにはコンサル・人材紹介・求人媒体・アシスタント(BPO)・フリーランスなど、多様なバックグラウンドがあります。自社の課題やフェーズに応じて、どのタイプのRPOがフィットするかを見極めることが重要です。

アシスタント・BPOバックグラウンドのRPO

採用事務の効率化を目指す企業には、オペレーションに特化したBPO型RPOがおすすめです。皆さんがRPOと聞いて、1番最初にイメージするのがこのスタイルかもしれません。日程調整やデータ入力など、どうしても人手が必要な部分を外注化することで、人事が“本来やるべきこと”に専念できる状態を作りやすくなります。ただし、戦略面でのアドバイスは期待しづらい点が注意すべきところです。

  • 強み: 採用事務の外注化により、日々のオペレーション負荷を大幅に削減
  • おすすめシーン: 面接調整や書類対応が膨大で、採用担当者が手一杯
  • 注意点: 戦略策定やクリエイティブ領域のサポートは期待しづらい

求人媒体バックグラウンドのRPO

自社が提供している媒体の母集団形成に強みがあるのが求人媒体出身のRPOです。求人広告の運用効率を高め、できるだけ多くの応募を集めることに注力してくれます。自社が運営している媒体を熟知しているので、特定の媒体をハックしたい場合には効果的です。ただし、自社が提供している媒体以外については支援が難しいケースが多いのと、面接やフォローの体制は別途検討が必要です。

  • 強み: 求人広告運用や媒体選定に強く、母集団形成を効率化できる
  • おすすめシーン: とにかく応募数が足りない、広告費の最適化を図りたい
  • 注意点: 面接官トレーニングや内定後フォローなどの領域は弱め

人材紹介会社バックグラウンドの RPO

中途採用の即戦力人材を素早く確保したい企業は、人材紹介会社のネットワークを活用できるRPOが向いています。候補者データベースが豊富で、キャリアアドバイスも得意。ピンポイントなポジション募集を埋めるスピード感は大きな武器となるでしょう。

  • 強み: 豊富な候補者データベースとスピーディーなマッチング、中途即戦力の確保に強い
  • おすすめシーン: 急いで特定ポジションを埋めたい、中途採用を強化したい
  • 注意点: 採用後の定着策や組織開発はあまりカバーできない

コンサルティングバックグラウンドのRPO

経営や組織の課題にまで踏み込むことができるのが「コンサルティング型RPO」の強みです。採用ブランディングや候補者体験(CX)の向上だけでなく、人事制度やオンボーディング施策、組織改革など長期的な視点も取り入れながら採用を支援してくれます。「とりあえず人を集めたい」ではなく、「自社の採用担当のレベルアップをはかりたい」「自社の採用の仕組みも整えたい」「根本から“採用体制”を変えたい」と考えている企業には最適です。

  • 強み: 経営課題から採用戦略を構築し、組織面やオンボーディングまで踏み込んで支援できる
  • おすすめシーン: 根本的に採用課題を見直したい、経営戦略と連動して採用を変革したい
  • 注意点: コストは高めだが、長期的なリターンを見込む企業には有効

フリーランス人事の活用

ある特定の分野を補強したい、という場合はフリーランス人事の力を借りる方法もあります。例えば、自社の人事はしっかりいるものの知見不足もあり「エンジニア採用を強化したい」「新卒採用のイベント企画を手伝ってほしい」といったスポットニーズを柔軟にカバーできるのがメリットです。また、小規模組織における1人目人事の採用の手段としても有効。一方で、フリーランス人事の知見に依存してしまう部分もあるので、マッチング効率が肝になります。

  • 強み: 特定の分野に強いプロをスポットで活用できる。契約期間や工数を柔軟に調整可能
  • おすすめシーン: ピンポイントで不足スキルを補いたい、社内人事を補完する形で活用
  • 注意点: マッチング次第による変数がある

事例紹介:実際に導入した企業の成功ストーリー

ITベンチャー:組織変革と採用ブランディングで内定承諾率UP

  • 企業プロフィール: 社員数50名のITベンチャー。年内にエンジニア30名増が目標
  • 課題: 内定承諾率が20%前後と低迷し、応募者の質にもバラつきがあった
  • 導入RPO: コンサル+BPO型(戦略立案+オペレーション支援)
  • 成果: 経営陣のビジョンや事業ストーリーを徹底言語化し、採用ブランディングを刷新 → 内定承諾率が50%超に

こちらのITベンチャーは、年内にエンジニアを30名ほど採らなければならないIT系ベンチャー企業でした。内定承諾率が低く、募集をかけてもマッチ度の低い候補者が多いという課題を抱えていましたが、コンサルティング型RPOを導入し、経営陣が目指すビジョンを整理してオウンドメディアやSNSで発信する体制を構築。候補者に対する情報発信の質が上がった結果、内定承諾率は以前の20%台から50%超へと大幅に改善しました。オペレーション部分ではBPOを組み合わせるハイブリッド型にしたことで、応募者管理や面接調整は外注し、人事が応募者との面接や定着施策に集中できたのも成功の大きな要因となりました。

コンサル会社:新卒・中途採用の並行運用をRPOでスムーズに

  • 企業プロフィール: 外資系コンサルファーム、日本法人で約1000名
  • 課題: 新卒・中途を毎年多数採用するが、工数が膨大で他の人事業務に支障
  • 導入RPO: 人材紹介バックグラウンド+BPO型のハイブリッド
  • 成果: 中途採用で即戦力人材を大量獲得、新卒採用の面接調整もアウトソース → 社内人事は研修企画や評価制度のブラッシュアップに注力

世界的に展開する外資系コンサルティングファームでは、新卒採用と中途採用を同時に進めなければならないという事情がありました。応募数も膨大で、社内人事が手いっぱいだったため、RPOを活用して中途採用は人材紹介のネットワークを強みとするパートナーに任せ、新卒については面接調整や事務作業をBPO型の仕組みで効率化。結果として、即戦力採用も新卒の大量採用もどちらも高い水準で成功させ、人事部門は研修や評価制度の改善など戦略的業務に集中できるようになりました。

老舗メーカー:大量採用シーズンにBPO型を導入し離職率改善

  • 企業プロフィール: 老舗メーカー、製造スタッフを毎年50~100名採用
  • 課題: 大量採用時期に事務作業が爆発 → 面接品質が下がり、入社後ミスマッチも増加
  • 導入RPO: アシスタント・BPOバックグラウンド
  • 成果: 採用事務を外注し、面接・面談の質を向上 → 離職率が15%減

老舗メーカーでは製造スタッフを毎年50~100名単位で採用する必要があり、人事が繁忙期に一気に疲弊してしまう状態でした。そこで、アシスタント・BPOバックグラウンドのRPO会社と契約し、応募者対応やスケジュール管理を外部に委託。すると、面接前の準備や候補者のフォローにしっかり時間をかけられるようになり、入社後の定着率が15%も改善。さらに、現場チームが求める人物像を人事がきちんと把握できるようになり、ミスマッチの減少にもつながりました。

本質的な課題に踏み込む「コンサルティング型RPO」:すごい人事の取り組み

すごい人事採用おまかせパック」は、コンサルティングバックグラウンドを強みとするRPOサービスです。従来のように「欠員が出たから埋める」という場当たり的な採用だけでなく、経営や組織の根本課題を可視化し、長期的な視点で採用をデザインします。

単に事務作業を委託するだけならBPO型やフリーランス人事の方がコストを抑えやすいのは事実です。しかし、多くの企業が悩む「内定承諾率の低迷」や「早期離職」「採用ブランディングの不在」など、根の深い課題を解決したい場合は、経営視点・組織戦略の両面から採用を再定義できるコンサルティング型RPOが有効になります。

主には下記のような支援もハンズオンで提供してくれます。

戦略の共有:経営課題を起点に採用設計

  • 経営陣や事業責任者とのヒアリングで、組織像・事業計画も確認
  • 必要となる人材像・求めるスキルセットを明確化し、それに基づく選考フローや面接評価項目を設計

実務の一気通貫支援:採用ブランディング~オンボーディング

  • 面接プロセスの最適化:面接官トレーニングや候補者体験(CX)の向上
  • 内定後フォロー&オンボーディング:早期離職を防ぎ、長期的な成長を促す施策

チーム体制と現場浸透:定期レビュー×柔軟な改善

  • プロジェクトマネージャーが定期的な進捗共有・レビュー会を実施
  • 現場リーダーや担当者の声を吸い上げ、都度施策をアップデート
  • RPO導入後も社内で活用できるナレッジや仕組みを蓄積し、企業独自の採用力を高めていく

コンサルティング型RPOの最大の特徴は、採用枠の充足だけでなく、企業のビジョンや戦略、カルチャーまで踏まえたうえで採用プロセスを設計してくれることです。さらに採用後のオンボーディング計画や、現場マネージャーへの教育・支援にも関わり、組織を活性化させる仕組みづくりまで視野に入れるため、採用が“経営の武器”として機能するようになるのです。

具体的な導入プロセス:現場目線で見るRPO活用の流れ

RPOは外部パートナーであるため、社内だけで完結していた採用活動とは進め方が少し異なります。導入の流れを簡単にイメージすると、まず自社の採用課題をしっかり言語化し、それをもとにRPO会社と導入範囲や目標をすり合わせるのが第一歩です。その際、経営トップや事業責任者、人事担当が同じテーブルで議論し、「どんなゴールを達成したいか」「どんな人材を何人、いつまでに採りたいか」を明確に共有することが大切です。

もし上記について社内で言語化でき、リソースとして活用するのであればアシスタント型、それ自体もプロと共に整理を進めていきたければコンサルティング型のRPOがおすすめです。

ステップ1|自社課題の洗い出し・言語化

  • “なぜ採用がうまくいっていないのか?”を議論
  • 数字で見える課題(内定承諾率、離職率、応募数)+定性的な課題(現場と人事の温度差、経営層のビジョン未共有など)を可視化
  • 「課題感が共有されていない」場合は経営・人事・各部門を巻き込みワークショップを実施するのも有効

ステップ2|RPOパートナー候補とのすり合わせ

  • 自社の課題と要望(例えば「母集団形成」「コスト削減」「即戦力採用」「戦略的アドバイス」など)を提示
  • 相手の得意領域・実績・料金体系を確認
  • ここでコミュニケーションの“肌感”をチェックし、パートナーとして信頼できるかを見極める

ステップ3|導入スコープの確定・契約

  • どの部分をRPOに任せるか(事務作業だけか、戦略からか、内定後フォローまでか)を明確化
  • 費用形態(定額型or成果報酬型orミックス)や契約期間を調整

ステップ4|キックオフミーティング・担当者間の役割分担

  • 担当者が一堂に会して共通認識を整える
  • プロジェクトマネージャー、面接官、現場リーダーなど各自の役割を具体的に定義し、連絡フローを固める

ステップ5|運用開始・定期的な振り返りと改善

  • 実際の採用プロセスが回り始めたら、週次or月次でデータを振り返る
  • 当初のKPIとの比較や、候補者・面接官の声を集めて問題点を洗い出す
  • 必要に応じて、面接フローの見直しや求人媒体の切り替えなど柔軟に改善

RPO導入が始まった後は、週次や月次の定期ミーティングで進捗を振り返り、各種データを分析しながら改善策を講じていきます。はじめは時間がかかるかもしれませんが、適切なモニタリングと改善を繰り返すことで、採用活動が徐々に“仕組み化”され、最終的には会社の大きな強みとなっていくでしょう。

導入後につまずきやすいポイントと対策

RPOは万能ではありません。上手く使いこなすためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。まず一つは、社内の理解を得ること。外部パートナーに採用を委託することに抵抗を感じる社員や、現場のマネージャーが「うちのカルチャーをわかってもらえるのか?」と不安を抱くケースも珍しくありません。この問題を解消するためには、RPO導入の目的や期待されるメリットを丁寧に説明し、小規模な範囲からテスト的に導入して成果を示すステップを踏むと良いでしょう。

社内の理解不足・抵抗感への対処

  • 「採用を外部に任せるなんて、うちのやり方に合わない」という抵抗感がある場合
    • 経営層やキーパーソンが意図を丁寧に説明する
    • 小規模な範囲からトライアル導入をして成果を示す

外部委託への依存度合いのバランス

  • 全てを丸投げすると、社内にノウハウが蓄積されない懸念がある
    • 「戦略面は共同で検討し、事務作業やスクリーニングをRPOに任せる」などハイブリッドな運用を検討する
    • 定期的にナレッジ共有会を行い、社内に落とし込む仕組みを作る

企業文化のギャップを埋めるコミュニケーション

  • RPOは外部の存在なので、自社の価値観や採用候補者に求める人柄をどこまで理解してもらえるかがカギ
    • 初期段階で対話を重ね、文化の共有を進める
    • 候補者とのコミュニケーション内容をこまめに情報交換し、ミスマッチを防ぐ

全ての採用業務をRPOに“丸投げ”すると、最初は楽に感じるかもしれませんが、自社にノウハウが蓄積されず、RPO契約が終わった後に元の状態へ逆戻りする可能性もあります。対策としては、戦略部分は共同で検討し、日程調整などの事務作業のみ外注するなど、適切なバランスを保つことが重要です。

コンサルティング型RPOの導入事例

弊社では、「すごい人事」というコンサル型RPOを提供しています。「人事が変われば、組織が変わる」という理念のもと、組織をヨリヨクするためのハンズオン型パートナーとしての支援を大事にしています。

内定承諾率30%→65%へ躍進した舞台裏

  • 企業概要: 急成長ITベンチャー、社員数100名→200名超へ拡大予定
  • 悩み: 応募数は集まるが内定承諾率が低く、入社後のギャップも大きい
  • すごい人事のアプローチ
    • 経営陣と現場リーダーの合同ワークショップで「求める人材像」を明確化
    • 面接官トレーニングを実施し、候補者への魅力訴求ポイントと質問設計を再構築
    • 内定後フォローとオンボーディングプランを整え、早期離職リスクを低減
  • 成果: 内定承諾率が30%→65%に向上。離職率も大きく低下し、採用コスト削減にも寄与

こちらのITスタートアップでは、応募数こそ多かったものの内定承諾率が30%を下回る状態が続いていました。そこで「すごい人事」が経営陣や現場リーダーと一緒に採用要件を徹底定義し、面接での魅力訴求ポイントや面接官のトレーニング手法を作り直したところ、内定承諾率は65%にまで跳ね上がり、早期離職も激減することができました。

地方企業がDX推進と組織風土改革を同時実現

  • 企業概要: 地方都市拠点のIT企業、社員数300名。新規事業でDX案件に参入
  • 悩み: 地域でのIT人材確保が難しく、広告を出しても応募がほとんど来ない。加えて社内のモチベーションも停滞
  • すごい人事のアプローチ
    • 経営レベルでDX人材採用の位置づけとメリットを整理し、地元のITコミュニティと連携したイベントを企画
    • 社員インタビューを中心にしたオウンドメディアを立ち上げ、地方企業ならではの魅力を発信
    • 入社後の研修・リーダー育成プランを整備し、既存社員のモチベーションアップも狙う
  • 成果: 地方創生やリモートワーク希望のIT人材から応募が増加。DX案件を回せる人材が確保でき、離職率も30%削減。社内の一体感が高まり、経営陣が描くビジョンと現場の認識が合致するようになった

地方の中堅IT企業では、地元に優秀なIT人材が少なく、都会に流出してしまうという悩みを抱えていました。「すごい人事」は企業が目指すDX領域の強化を前提に、社内の研修制度から入社後の定着施策、さらには地域コミュニティとの連携まで提案。地方企業ならではの魅力を対外的に発信する仕組みを作った結果、東京のIT企業で経験を積んだ人材がUターン就職するケースも増え、数年後にはDX事業の柱を確立するまでに至りました。

RPOは決して“魔法”ではないが、最強のパートナーになる

RPOは、ただ作業量を減らすための外注サービスではなく、採用という“経営課題”を根本から改善するためのパートナーになり得る存在です。もちろん、導入にあたっては初期費用や社内調整といったハードルがあります。しかし、一度採用戦略が正しい形で整うと、企業はその成果を長期的に享受できます。結果的に採用コストの大幅な削減だけでなく、経営陣と現場が一体となり、“採用”を通じて組織力を高めることが可能なのです。

結局のところ、採用は「人事だけの問題」ではありません。経営者や事業部長が求める人材像を明確化し、人事がそれを実現する戦略を立案・運用できる体制を整えなければ、優秀な人材は組織に根付かず、貴重なリソースが浪費されてしまいます。そうした構造的な問題を解消し、採用活動そのものを“経営の武器”に変えたいのであれば、コンサルティング型RPOの力を借りる価値は十分にあるでしょう。

最後にお伝えしたいのは、RPOは「魔法」ではないということです。導入さえすれば何もかも解決するわけではありません。しかし、自社のビジョンやカルチャー、そして採用課題をしっかりと共有し合い、二人三脚で走る覚悟がある企業にとっては、RPOほど心強いパートナーはありません。ぜひ、この記事をきっかけに、あなたの企業が“攻めの採用”へと舵を切り、さらなる成長につなげていただければ幸いです。

「外注に出す=丸投げ」ではなく、自社内でしか持てない情報や判断軸と、RPOの専門知識を融合させることで、採用活動は飛躍的に質を高められます。

まとめ:RPOを味方につけ、採用を経営の武器に変える

ここまで見てきたように、採用代行(RPO)は単に事務作業をアウトソースするだけではありません。自社の本質的な課題を見極め、それに合ったRPOを選び、二人三脚で採用プロセスを変革していくことで、採用は組織力や経営戦略そのものを強化する“武器”となり得ます。

  1. まずは自社の課題を丁寧に洗い出す
  2. 各RPOの特徴を理解し、自社に合うパートナーを検討する
  3. 導入の範囲と目的を明確化し、コミュニケーション体制を整える
  4. 定期的な振り返りと改善で、RPOの成果を最大化する

「根本的に採用を見直したいが、何から始めればいいかわからない」――そう感じている方ほど、すごい人事採用おまかせパックを検討してみてください。費用は高めかもしれませんが、長期的に見れば採用成功による企業成長で大きなリターンを得られる可能性が高まります。

もし、この記事を読んで「もっと具体的なイメージがほしい」「自社のケースではどうなるんだろう?」と疑問や興味が湧いたら、ぜひ気軽にすごい人事に相談してみてください。自社内だけでは見えなかった新たな視点が得られるはずです。採用の失敗が続いて疲弊している方、これから攻めの採用に踏み出そうとしている方、どんな企業でもRPOは強力な味方になり得ます。あなたの企業がこれからのビジネス環境で勝ち残るために、“採用代行”を超えた戦略的パートナーとしてのRPOを、ぜひ上手に活用してみてください。

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe
Crepeでは、「人事が変われば、組織が変わる」というコンセプトのもと、

すごい人事パートナー

⚫︎各種業界1300名の人事が在籍。工数・知見を補う「即戦力」レンタルプロ人事マッチングサービス

すごい人事採用おまかせパック

⚫︎1日2時間〜使えるマネージャークラスのレンタル採用チーム。オンライン採用代行RPOサービス

すごい人事コンサルティング

⚫︎人事にまつわる課題を解決へ導く、伴走型人事コンサルティングサービス


などのサービスを通して、人事課題を解決する支援を行っています。

サービスについてのご相談・お問い合わせはこちら
◆お打ち合わせご予約はこちら

資料ダウンロード /
ご相談・お問い合わせ