『納得感』が違う。期末面談でネガティブな評価を伝える時の伝え方・言葉選び【ケーススタディ付】

最終更新日:2026年2月18日

期末面談は、多くの企業で年に一度、あるいは半期に一度行われる重要な人事イベントです。しかし、その運用次第で、社員の成長を促す絶好の機会にもなれば、逆にモチベーションを著しく低下させ、離職の引き金ともなりかねない、諸刃の剣でもあります。特に、ネガティブな評価を伝えなければならない場面では、その伝え方一つで、社員の受け止め方は大きく変わります。

ここで重要になるのが『納得感』です。納得感とは、単に評価結果に満足することではありません。たとえ厳しい評価であったとしても、その理由や背景を十分に理解し、自身の成長課題として受け入れ、次への行動意欲を持てる状態を指します。ある調査では、評価そのものよりも、評価に至るプロセスの説明の質が、評価の納得度を大きく左右することが示されています 。

納得感のない評価は、社員のエンゲージメントを低下させ、組織への不信感を増大させます。結果として、優秀な人材の流出につながるだけでなく、組織全体の生産性をも蝕んでいくでしょう。本記事では、人事担当者や経営者、そして評価者である管理職の方々に向けて、期末面談でネガティブな評価を伝える際に、いかにして「納得感」を高めるか、その具体的な伝え方と言葉選びを、ケーススタディを交えながら詳しく解説していきます。

目次

期末面談で「納得感」が生まれないのはなぜか

多くの管理職が、ネガティブな評価を伝えることに苦手意識を持っています。その結果、無意識のうちに納得感を損なうコミュニケーションを取ってしまいがちです。ここでは、典型的な失敗例を3つのパターンに分類して見ていきましょう。

評価結果だけを伝える「通告型」面談

最も多い失敗例が、評価結果だけを一方的に通告して終わってしまうケースです。「君の今期の評価はCだ。以上」といった面談では、評価された側は何をどう改善すればよいのか分からず、ただ「評価されなかった」という事実だけが心に残ります。これでは、次への行動変容は期待できません。

人事評価面談でよくある失敗が、評価結果だけを伝えて説明を終えてしまうことです。点数やランクを告げるだけでは、本人が努力や成果を理解してもらえたという実感を得られず、モチベーションを下げる要因になります。また「なぜその評価になったのか」が不明確なままだと、改善に向けた行動もとれません。

評価面談は、単なる「結果通知」の場ではなく、未来の成長に向けた「対話」の場でなければなりません。

評価者が責任を回避する「他責型」面談

次に多いのが、評価者自身が評価の責任を回避しようとするケースです。「本当はもっと高く評価したかったんだけど、会社の方針でね…」といった発言は、一見すると部下に寄り添っているように見えますが、実際には評価者としての責任を放棄し、会社や人事制度に責任を転嫁しているに過ぎません。

このような態度は、部下からの信頼を失うだけでなく、「この上司に相談しても無駄だ」という諦めを生み、建設的な対話を不可能にします。評価者は、会社の評価制度を代弁する立場として、たとえ自身の本意でない評価であったとしても、その決定理由を自身の言葉で誠実に説明する責任があります。

主観と感情に支配された「感情型」面談

「君はもっとやる気を見せるべきだ」「主体性が足りない」といった、主観的で抽象的な指摘も、納得感を著しく損ないます。こうした言葉は、具体的な行動レベルでの改善につながりにくいだけでなく、受け手にとっては人格を否定されたかのような印象を与え、強い反発を招きます。

また、評価者は「評価エラー」と呼ばれる心理的なバイアスの影響を受けやすいことも認識しておく必要があります。例えば、自分と似たタイプの部下を高く評価してしまう「対比誤差」や、一つの目立つ長所や短所に引きずられて全体の評価を歪めてしまう「ハロー効果」などが代表的です 。こうした無意識の偏りを自覚し、客観的な事実に基づいて評価する姿勢が不可欠です。

納得感を高める伝え方の3つの原則

では、どうすればネガティブな評価を伝えつつ、相手の納得感を高めることができるのでしょうか。ここでは、そのための普遍的な3つの原則を解説します。

原則1:事実ベースで客観的に伝える

納得感の土台となるのは、評価の客観性です。主観的な印象や感情的な言葉を排し、誰が見ても分かる具体的な「事実」に基づいて話すことが、対話の第一歩となります。

NGな伝え方(主観的)OKな伝え方(事実ベース)
「君は最近、どうもやる気が感じられないね」「ここ3ヶ月、月曜の定例会議での発言が一度もなかったね」
「もっと主体的に動いてほしい」「Aプロジェクトにおいて、指示された業務以外の提案がなかった」
「資料の質が低い」「提出された報告書のデータに、根拠となる出典が記載されていなかった」

このように、具体的な行動や成果、あるいは数値データを根拠に示すことで、指摘が単なる「意見」ではなく、客観的な「事実」として受け止められやすくなります。これにより、相手は感情的な反発ではなく、事実を冷静に受け止め、自身の行動を振り返るきっかけを得ることができます 。

原則2:評価プロセスの透明性を確保する

次に重要なのが、評価プロセスの透明性です。「なぜ、その評価になったのか」という判断基準やプロセスを丁寧に説明することで、評価への信頼性が高まります。

面談の場では、まず会社の評価基準を改めて共有し、その基準に照らして、どの行動がどのように評価されたのかを具体的に説明します。特に、本人の自己評価と会社の評価にギャップがある場合は、その差異がどこから生じているのかを、評価期間全体を通した具体的なエピソードを交えながら、すり合わせていく作業が不可欠です。

このプロセスを通じて、社員は「自分の働きぶりをしっかりと見てくれている」「公平に判断しようとしてくれている」と感じることができ、たとえ結果が厳しいものであっても、評価そのものに対する納得感は醸成されやすくなります。

原則3:未来志向で成長支援の姿勢を示す

ネガティブな評価を伝える面談は、過去の行動を断罪する「裁判」の場ではありません。あくまで、未来の成長に向けた課題を共有し、その達成を支援するための「作戦会議」であるべきです。

評価者は、単に問題点を指摘するだけでなく、「どうすればその課題を乗り越えられるか」「そのために、自分や会社としてどのような支援ができるか」をセットで提示する責任があります。例えば、「来期はこのスキルを重点的に強化しよう。そのために、この研修に参加してみないか?」といった具体的な提案が考えられます。

評価を伝える場を「過去の判定」ではなく「未来の成長支援」と位置づけましょう。伝達後に一緒に行動目標を設定し、定期的にフォロー面談や1on1で伝えることで、評価を行動変容の起点にできます。

このような未来志向のコミュニケーションを通じて、社員は「自分は期待されている」「成長を支援してもらえている」と感じ、前向きな気持ちで次のステップに進むことができるのです。

納得感を高める言葉選びのテクニック

3つの原則を実践する上で、具体的な「言葉選び」もまた、相手の受け止め方を大きく左右します。ここでは、すぐに使える3つのテクニックを紹介します。

サンドイッチ型フィードバックの活用

これは、ネガティブな指摘をポジティブな言葉で挟む、古典的でありながら非常に有効なコミュニケーション手法です。いきなり本題に入るのではなく、まず肯定的な言葉で始めることで、相手は心の準備ができ、安心して話を聞く態勢に入れます。

構造

1.(パン)ポジティブなフィードバック:感謝、承認、評価できる点

2.(具)ネガティブなフィードバック:改善を期待する点、具体的な課題

3.(パン)ポジティブなフィードバック:期待、激励、今後の成長への支援

具体例

「いつもAプロジェクトを率先して進めてくれてありがとう。(ポジティブ)ただ一点、今後のさらなる成長のために伝えたいことがあります。クライアントへの提案資料について、もう少し多角的なデータ分析を加えることで、提案の説得力が格段に増すはずです。(ネガティブ)君の分析力には期待しているので、次回の提案ではぜひその視点を取り入れてみてください。必要なサポートは惜しみません。(ポジティブ)」

このように伝えることで、厳しい指摘も「成長を期待してくれているからこそのアドバイス」として、前向きに受け止められやすくなります。

「Iメッセージ」と「Weメッセージ」の使い分け

「Youメッセージ」(「君は~すべきだ」)は、相手を一方的に評価・批判するニュアンスが強くなりがちです。代わりに、「Iメッセージ」(「私は~と感じる」)や「Weメッセージ」(「私たちは~を目指そう」)を活用することで、より対等で協力的な関係性を築くことができます。

Iメッセージ

評価者の主観として伝えることで、断定的な響きを和らげる効果があります。「私は、この部分を改善すれば、君の評価がさらに高まると考えている」

Weメッセージ

上司と部下が一つのチームとして、共通の目標に向かう姿勢を示すことができます。「どうすれば、私たちのチームの目標達成に近づけるか、一緒に考えてみよう」

これらの表現は、評価者と部下の間に心理的な壁を作るのではなく、共に課題解決に取り組むパートナーとしての関係性を構築するのに役立ちます。

クッション言葉で心理的安全性を確保

フィードバックの前に「少し話しにくいことなのだけど」「あなたの成長を思ってのことなので、率直に伝えるね」といったクッション言葉を置くことも有効です。これは、相手に心の準備を促し、これから話す内容が攻撃や非難ではないことを示すシグナルとなります。

また、「もしよかったら、あなたの考えも聞かせてほしい」「これはあくまで私の見方なのだけど、どう思う?」といった質問形式の表現を多用することで、一方的な通告ではなく、双方向の対話であるというメッセージを伝えることができます。これにより、部下は自身の意見や感情を安心して表明できる「心理的安全性」が確保され、より本質的な対話へとつながっていきます。

【ケーススタディ1】営業成績未達成のベテラン社員への伝え方

状況
営業一筋20年のベテラン社員Aさん。経験は豊富で顧客からの信頼も厚いが、今期は新規顧客開拓が進まず、個人目標を2期連続で未達成。プライドが高く、自身のやり方へのこだわりが強い側面もある。

NG例:納得感を損なう伝え方

評価者

「Aさん、今期の評価だけど、C評価ということになった。2期連続の未達はちょっと厳しいと言わざるを得ないね。昔はもっとガツガツやっていたじゃないか。最近、少しやり方が古くなっているんじゃないか?若手も見習っているんだから、もう少し頑張ってくれないと困るよ」

Aさん

「…(不満げに黙り込む)…市況が厳しい中で、既存顧客の維持だけでも大変なんですよ。若手とは時代が違います」

この伝え方の問題点

対比誤差と過去との比較

「昔はもっと」「若手は」といった比較は、本人のプライドを傷つけ、反発を招きます。「やり方が古い」という指摘も、具体的な根拠に欠ける主観的な決めつけです 。

人格への言及

「頑張ってくれないと困る」という表現は、Aさんの努力不足を責めているように聞こえ、人格への非難と受け取られかねません。

一方的な通告

Aさんの意見を聞く前に、一方的に評価と問題点を突きつけており、対話の姿勢が見られません。

OK例:納得感を高める伝え方

評価者

「Aさん、今期もお疲れ様でした。まずは、長年担当しているB社との関係をさらに深化させ、大型契約の継続につなげてくれたこと、本当に感謝しています。Aさんの顧客との関係構築力は、チームの大きな財産です。(ポジティブ)その上で、来期のさらなる活躍を期待して、一緒に考えたいことがあります。今期の評価としては、新規開拓件数が目標に届かなかった点が影響し、C評価となります。(事実と評価結果)この点について、Aさん自身はどのように振り返っていますか?」(対話を促す質問)

Aさん

「はい、新規開拓が課題であることは認識しています。ただ、既存顧客のフォローに時間がかかり、なかなか新しいアプローチに時間を割けていないのが実情でして…」

評価者

「なるほど、既存顧客の維持に大きく貢献してくれているからこその課題なのですね。では、その状況を踏まえて、来期、新規開拓の時間を確保するために、我々として何ができるか一緒に考えてみませんか?例えば、一部の既存顧客のフォローを若手のB君に任せて、Aさんには育成指導を兼ねて同行してもらうというのはどうでしょう?Aさんの交渉術を若手に継承する良い機会にもなると思います」(未来志向の具体的な提案)

この伝え方のポイント

承認と感謝から入る
まず、Aさんの貢献を具体的に認め、感謝を伝えることで、心理的安全性を確保し、話を聞く姿勢を作っています。

事実と評価を明確に区別
評価結果(C評価)と、その根拠となる事実(新規開拓件数の未達)をセットで、客観的に伝えています。

相手の自己認識を尋ねる
一方的に指摘するのではなく、まず本人の考えを尋ねることで、内省を促し、当事者意識を引き出しています。

未来志向の協調的な解決策
課題をAさん個人の問題とせず、「我々として何ができるか」というスタンスで、具体的かつ双方にメリットのある解決策を提案しています。

ベテラン社員に対しては、その経験とプライドに敬意を払いつつ、具体的な事実に基づいて対話し、共に解決策を探る「パートナー」としての姿勢を示すことが、納得感を高める鍵となります。

【ケーススタディ2】期待値に届かなかった若手社員への伝え方

状況
入社3年目の若手社員Bさん。ポテンシャルは高く評価されているが、今期はいくつかの重要な業務でミスが目立ち、期待されたほどの成果を上げられなかった。本人もそのことは自覚しており、自信を失いかけている様子が見られる。

NG例:納得感を損なう伝え方

評価者

「Bさん、今期の評価はDだ。正直、期待外れだったな。もっとできると思っていたんだけど。特にあのプロジェクトのミスは痛かった。来期はもっとしっかりやってもらわないと困る。何か質問は?」

Bさん

「…いえ、特にありません。申し訳ありませんでした…(俯いてしまう)」

この伝え方の問題点

抽象的で感情的な表現
「期待外れ」「しっかりやれ」といった言葉は、具体的な改善行動につながりにくく、ただ本人を追い詰めるだけです。

失敗の深掘り
すでに本人が気にしているであろうミスを改めて指摘することは、自信をさらに喪失させ、萎縮させてしまうリスクがあります。

一方的な通告と突き放し
「何か質問は?」という形式的な問いかけは、対話を促すものではなく、面談を早く終わらせたいという意図が透けて見えてしまいます。

OK例:納得感を高める伝え方

評価者

「Bさん、今期もお疲れ様。まずは、期初に比べて格段に議事録作成のスピードと正確性が上がったね。日々の努力の成果が出ていると思う。(具体的な成長点を承認)その上で、今期の評価について話をさせてください。いくつかの重要な業務で目標に届かなかった点が影響し、評価はDとなります。(事実と評価結果)この結果について、少し厳しいと感じるかもしれないけれど、Bさん自身はどう受け止めているかな?」(相手の気持ちに配慮しつつ、意見を求める)

Bさん

「はい…自分でも、特にAプロジェクトでのミスが響いたと反省しています。期待に応えられず、申し訳ありません…」

評価者

「結果については真摯に受け止める必要があるけれど、私は今回の経験を次に活かすことの方がずっと重要だと考えているよ。Aプロジェクトの件、もしよかったら、あの時どうしてミスが起きてしまったのか、Bさんなりの分析を聞かせてもらえるかな?一緒に振り返ることで、次への学びが見つかるはずだ。(失敗を学びの機会と位置づける)そして、来期はBさんの強みである『粘り強さ』を活かして、この領域でリベンジしてみないか?具体的なアクションプランを一緒に立てていこう」(強みを承認し、未来志向の行動計画を促す)

この伝え方のポイント

具体的な成長点の承認
まず、小さなことでも具体的な成長点を褒めることで、本人の自己肯定感を支え、対話の土台を築いています。

気持ちへの配慮
「厳しいと感じるかもしれない」というクッション言葉を使い、本人の感情に寄り添う姿勢を示しています。

失敗の「原因分析」への誘導
単にミスを責めるのではなく、その原因を共に分析する姿勢を示すことで、失敗を客観的な学びの材料へと転換しています。

強みを活かした未来志向の提案
本人の強みを再認識させた上で、具体的な次の挑戦を提示することで、失いかけた自信とモチベーションを回復させようと働きかけています。

若手社員に対しては、結果だけでなくその成長プロセスを承認し、失敗を学びの機会として捉えさせることが重要です。自信を失わせるのではなく、「次こそは」という前向きなエネルギーを引き出すような、丁寧な関わりが求められます。

【ケーススタディ3】態度や姿勢に課題がある中堅社員への伝え方

状況
技術部門の中堅社員Cさん。専門スキルは高いが、チーム内の情報共有に非協力的であったり、他部署からの依頼に否定的な態度を取ったりすることがあり、周囲から不満の声が上がっている。本人は「自分の仕事はきっちりやっている」という自負がある。

NG例:納得感を損なう伝え方

評価者

「Cさん、君の技術力は評価しているんだが、チームで働く上での協調性に問題があるという声が上がっている。もっと周りと協力してくれないか。そのせいで、全体の評価もBに留まっている。わかるだろ?」

Cさん

「協調性と言われましても、具体的に何が問題なのでしょうか。私は自分のタスクは期限内に完璧にこなしているつもりですが。他人の仕事まで手伝う余裕はありません」

この伝え方の問題点

指摘が曖昧で主観的
「協調性に問題がある」という指摘は非常に曖昧で、受け手は何を改善すればよいのか分かりません。Cさんの反論を招く原因となっています。

伝聞形式
「~という声が上がっている」という伝え方は、評価者自身の意見ではないという逃げの姿勢に見え、無責任な印象を与えます。

人格への言及
協調性といった個人の特性に言及することは、人格への批判と受け取られやすく、強い抵抗感を生みます。

OK例:納得感を高める伝え方

評価者

「Cさん、今期もお疲れ様でした。特に、先日発生したシステム障害の際には、Cさんの迅速な原因特定と復旧対応のおかげで、被害を最小限に食い止めることができました。その高い専門性には、チーム全員が助けられています。(具体的な貢献への感謝)その上で、チーム全体のパフォーマンスをさらに向上させるために、Cさんにもう一段階、力を貸してほしいと考えています。今期の評価はBとなりますが、その背景として、いくつかの具体的な行動について一緒に振り返りたいと思います。(評価結果と対話の目的を提示)」

Cさん

「…はい」

評価者

「例えば、先月のDプロジェクトで、営業部から技術的な仕様について問い合わせがあった際、『それは私の担当範囲ではない』と回答したと記録に残っています。このCさんの行動によって、営業担当者は別の担当者を探すのに半日を要し、結果的にお客様への回答が1日遅れてしまいました。(具体的な行動事実と影響を提示)Cさんには担当範囲外のことだったかもしれませんが、チームとしては、この遅延を防ぎたかった。この状況を、Cさんならどう改善できると思いますか?」(行動レベルでの指摘と、改善策を問う質問)

Cさん

「…確かに、そうでした。当時は自分の作業に集中していたもので…。一次窓口として、まずは私が話を聞いて、適切な担当者につなぐべきでした」

評価者

「ありがとう。そうですね。Cさんのようなベテランが一次窓口になってくれると、チーム全体の業務効率が格段に上がります。来期は、その点を意識して行動してもらうことを、期待目標の一つに設定させてもらえないでしょうか」(内省を促し、未来の行動目標を共有)

この伝え方のポイント

具体的な「行動」に焦点を当てる
「協調性」といった曖昧な言葉を使わず、「営業からの問い合わせにどう対応したか」という具体的な「行動」と、それがもたらした「影響」を客観的な事実として提示しています。

評価者自身の言葉で伝える
「声が上がっている」ではなく、評価者自身の観察と判断として、責任を持って伝えています。

行動変容を促す質問
一方的に改善を命じるのではなく、「どうすれば改善できるか」を問いかけることで、本人に考えさせ、自発的な行動変容を促しています。

期待を込めて目標設定
改善点を「期待目標」として設定することで、それが本人の成長とチームへの貢献につながるポジティブなものであると伝えています。

態度や姿勢といった「情意評価」は、客観的な指摘が難しい領域です。だからこそ、主観的な人物評に陥らず、あくまで具体的な「行動」のレベルに落とし込み、その行動が組織や他者にどのような影響を与えたのかをセットで伝えることが、納得感を得るための鉄則です。

評価者が身につけるべき3つのスキル

納得感のある評価面談を実現するためには、評価者自身のスキルアップも欠かせません。ここでは、特に重要となる3つのスキルを紹介します。

スキル1:傾聴力と共感力

面談は、評価者が一方的に話す場ではありません。部下の言葉に真摯に耳を傾け、その背景にある感情や考えを理解しようと努める「傾聴力」が不可欠です。たとえ部下の意見に同意できない場合でも、「そう感じたんだね」「そのように考える理由をもう少し詳しく教えてもらえるかな」と、まずは相手の感情や意見を一度受け止める「共感力」を示すことで、心理的安全性が確保され、本音の対話が生まれやすくなります。

スキル2:質問力で内省を促す

優れた評価者は、答えを与えるのではなく、巧みな質問によって相手に「気づき」を与え、自発的な内省を促します。単に「なぜできなかったのか」と詰問するのではなく、「この経験から何を学んだか」「もしもう一度やるとしたら、どこをどう変えるか」といった、未来志向で建設的な質問を投げかけることが重要です。こうした質問は、部下が自身の課題を「自分ごと」として捉え、主体的に改善に取り組むきっかけとなります。

スキル3:評価エラーを自覚し回避する

前述の通り、人は誰でも無意識の心理的バイアス(評価エラー)を持っています。自分自身の思考の癖を理解し、客観性を保つ努力を怠らないことが、公平な評価者であるための前提条件です。例えば、以下のようなチェックリストを用いて、評価前に自己点検する習慣をつけることが有効です。

評価エラー・チェックリストの例

□ 特定の部下に対して、好き嫌いの感情で評価を歪めていないか?

□ 目立つ成功や失敗の印象だけで、全体の評価を決めていないか?(ハロー効果)

□ 自分自身の過去の経験や価値観を基準に、相手を評価していないか?(対比誤差)

□ 評価期間全体のパフォーマンスを、満遍なく考慮できているか?(期末評価)

組織として納得感のある評価文化を築くために

個々の評価者のスキル向上と同時に、会社全体として納得感のある評価文化を醸成していくための仕組みづくりも不可欠です。人事・経営者は、以下の4つの観点から制度や風土の改革に取り組むべきです。

評価制度の透明性を高める

評価基準や評価プロセスがブラックボックス化している状態では、社員の納得感は得られません。評価項目、評価基準、評価者、評価プロセスといった評価制度の全体像を全社員に明文化し、共有することが第一歩です。誰が、いつ、何を、どのように評価するのかが明確になることで、評価への信頼性が向上します。

日常的なフィードバック文化の醸成

年に一度の期末面談の場で、初めてネガティブなフィードバックを受けるのは、社員にとって大きなストレスです。日頃から1on1ミーティングなどを通じて、タイムリーで継続的なフィードバックを行う文化を醸成することが重要です。日常的な対話が積み重なっていれば、期末面談はそれまでの対話の「総括」の場となり、評価結果もスムーズに受け入れられやすくなります。

評価者研修の充実

本記事で解説したような伝え方の原則やテクニックは、知識として知っているだけでは実践できません。評価者(主に管理職)を対象とした研修を定期的に実施し、ロールプレイングなどを通じて実践的なスキルを磨く機会を提供することが不可欠です。特に、ケーススタディを用いた実践的なトレーニングは、評価者ごとのスキルのばらつきをなくし、組織全体の面談品質を底上げする上で非常に効果的です。

多面評価の導入で納得感を強化

上司から部下への一方的な評価だけでは、どうしても納得感に限界が生じる場合があります。同僚や他部署のメンバー、場合によっては部下からも評価を受ける「360度評価(多面評価)」を導入することも、客観性と納得感を高める有効な手段です。多角的な視点からのフィードバックは、上司だけでは気づかなかった強みや課題を可視化し、本人の自己認識を深めることにもつながります。

まとめ

期末面談におけるネガティブな評価の伝達は、評価者にとっても、受ける側にとっても、決して簡単なことではありません。しかし、その伝え方を少し変えるだけで、面談は単なる「評価の通告」の場から、社員一人ひとりの成長を促す「未来への投資」の場へと生まれ変わります。

重要なのは、納得感は「何を伝えるか」以上に「どう伝えるか」で決まるという事実です。客観的な事実に基づき、透明性のあるプロセスで、未来志向の成長支援の姿勢を示すこと。そして、評価者個人のスキル向上と、組織全体の文化醸成の両輪で取り組むこと。これらを通じて、厳しいフィードバックさえも社員の成長の糧に変える「納得感」のある評価文化を、ぜひ貴社でも築いていってください。

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