【例文付き】面接フィードバックで採用力を高める!目的、5つのメリット、具体的な伝え方を徹底解説

最終更新日:2025年10月29日

近年、採用競争が激化する中で、多くの企業が「面接フィードバック」に注目しています。単に合否を伝えるだけでなく、面接での評価や改善点を候補者にフィードバックすることは、企業の採用力を飛躍的に高める可能性を秘めています。しかし、その重要性を理解しつつも、「具体的に何を伝えれば良いのか」「かえって候補者の心証を損ねてしまわないか」といった不安から、導入に踏み切れていない人事・経営者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、面接フィードバックの目的やメリットといった基本的な知識から、明日からすぐに実践できる具体的な伝え方、さらにはケース別の例文まで、網羅的に解説します。この記事を読めば、面接フィードバックを自社の新たな武器として活用し、採用成功を掴むための具体的な道筋が見えるはずです。

目次

面接フィードバックとは?

まずは、面接フィードバックがなぜ今、これほどまでに重要視されているのか、その基本的な定義と背景から見ていきましょう。

面接フィードバックの基本的な定義と目的

面接フィードバックとは、面接を終えた候補者に対し、企業側がその評価や所感を伝えるコミュニケーション活動全般を指します。具体的には、面接での言動を基に、評価した点(強み)や改善が期待される点(課題)を、合否の結果と合わせて、あるいは結果とは独立して伝えます。

その第一の目的は、候補者の成長を促し、ポジティブな関係性を築くことにあります。たとえ不採用であったとしても、候補者が次のステップに進むための有益な情報を提供することで、自社に対する信頼感や好意的な印象を醸成することができます。合格者に対しては、入社後の活躍イメージを具体的に持たせることで、内定承諾への意思決定を力強く後押しします。

なぜ今、多くの企業が面接フィードバックに注目するのか?

面接フィードバックが注目される背景には、大きく分けて3つの社会的な変化があります。

1.候補者の企業選択における価値観の多様化
現代の求職者は、給与や待遇といった条件面だけでなく、企業のビジョン、文化、そして「自分を正当に評価し、成長させてくれる環境か」という点を厳しく見ています。面接フィードバックは、まさにその姿勢を直接的に示す絶好の機会となります。

2.企業情報の透明化と口コミ文化の浸透
SNSや就職・転職関連の口コミサイトを通じて、個人の就職活動体験が瞬く間に共有される時代において、丁寧で誠実な候補者対応は、企業の採用ブランドイメージを維持・向上させる上で不可欠です。不適切な対応は「ブラック企業」との悪評に繋がりかねません。

3.採用ミスマッチの深刻化
早期離職は企業にとって大きな損失であり、その最大の原因は入社前後の期待値のズレにあります。面接フィードバックを通じて、企業が求める人物像やスキルを具体的に伝えることは、このギャップを埋め、採用のミスマッチを未然に防ぐ効果的な手段となるのです。

面接フィードバック5つのメリット

面接フィードバックは、単なる「親切な対応」に留まりません。企業の採用活動全体にプラスの影響をもたらす、戦略的な一手となり得ます。ここでは、人事・経営者が知るべき5つの具体的なメリットを解説します。

メリット1:候補者の志望度向上と内定辞退の防止

丁寧なフィードバックは、候補者に「自分のことを真剣に見てくれている」という特別感を与え、企業へのエンゲージメントを格段に高めます。特に、評価されたポイントを具体的に伝えることで、候補者は「この会社は自分の強みを理解し、活かせる場所だ」と確信を深めるでしょう。

この「自分ごと化」こそが、数ある選択肢の中から自社を選んでもらうための強力な動機付けとなります。結果として、内定辞退率の低下に直結し、優秀な人材の確保に大きく貢献します。

メリット2:入社後のミスマッチを大幅に低減

早期離職の最大の原因である採用ミスマッチは、企業と候補者間の期待値のズレから生じます。面接フィードバックは、このズレを解消するための絶好の機会です。

例えば、「当社の〇〇という文化には、あなたの△△という価値観が非常にマッチすると感じました。一方で、□□という点については、入社後さらにキャッチアップしていただく必要があります」といった具体的なフィードバックを行うことで、候補者は入社後の働き方をリアルに想像できます。これにより、入社後の「こんなはずではなかった」というギャップを最小限に抑え、定着率の向上と、入社直後からの高いパフォーマンス発揮が期待できるのです。

メリット3:「候補者に選ばれる企業」になるためのブランドイメージ向上

現代の採用市場は、企業が候補者を選ぶだけでなく、候補者が企業を選ぶ「選ばれる時代」です。SNSや口コミサイトの影響力が増す中、採用活動における候補者体験(Candidate Experience)の重要性は日に日に高まっています。

合否にかかわらず、一人ひとりの候補者に対して誠実なフィードバックを行う企業は、「人を大切にする企業」としてポジティブな評判を獲得します。その評判は、まだ見ぬ未来の優秀な候補者を引き寄せる無形の資産となり、長期的な採用力の強化に繋がります。

メリット4:採用プロセス全体の質的改善

面接フィードバックを制度として導入する過程は、自社の採用基準や評価項目を改めて見直し、言語化・体系化する良い機会となります。

「なぜこの候補者を評価したのか」「どのような点が物足りなかったのか」を突き詰めて考えることで、これまで曖昧だった評価基準が明確になります。これにより、面接官ごとの評価のブレが少なくなり、採用プロセス全体の公平性と納得感が高まります。また、フィードバックの内容を蓄積・分析することで、「どのような質問が効果的か」「どのような候補者が活躍する傾向にあるか」といったデータに基づいた採用戦略の改善も可能になります。

メリット5:面接官の育成とスキルアップに貢献

フィードバックを行うためには、面接官自身が候補者を深く観察し、その本質を見抜く力が求められます。つまり、フィードバックを前提とした面接は、面接官にとって絶好のトレーニングの機会となるのです。

候補者に納得感のあるフィードバックをするためには、より鋭い質問を投げかけ、多角的な視点から評価する必要があります。このプロセスを繰り返すことで、面接官の質問力、傾聴力、そして評価能力が自然と磨かれ、組織全体の面接スキルが向上していきます。

押さえておくべきデメリットと3つの注意点

多くのメリットがある一方で、面接フィードバックの導入にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。これらを事前に理解し、対策を講じることが成功の鍵となります。

デメリット1:面接官の業務負担が増加する可能性

質の高いフィードバックを提供するためには、相応の時間と労力が必要です。面接官は、通常の面接業務に加えて、フィードバック内容の整理や伝達方法の検討といったタスクを担うことになります。

特に導入初期は、面接官がフィードバックに慣れていないため、負担が大きくなりがちです。この課題に対しては、後述する「面接評価シート」の活用や、フィードバックのテンプレートを用意するなど、業務を効率化する仕組みづくりが有効です。

デメリット2:企業の採用基準が外部に漏れるリスク

詳細なフィードバックは、裏を返せば、自社の採用基準や選考のポイントを外部に公開することに繋がります。これが就活情報サイトなどで共有されると、後続の候補者が表面的な対策を講じるようになり、かえって本質的な評価が難しくなる可能性があります。

このリスクを完全に排除することは困難ですが、伝える情報の粒度を調整することでコントロールは可能です。例えば、具体的な評価基準そのものではなく、「その基準に対して、あなたのどのような経験・スキルが評価されたか(あるいは不足していたか)」という個別の事実に焦点を当てて伝えることが重要です。

注意点1:フィードバックスキルの重要性

フィードバックは、伝え方一つで「薬」にも「毒」にもなります。特に、改善点を指摘するネガティブフィードバックは、候補者のプライドを傷つけたり、反発心を招いたりするリスクを伴います。面接官には、相手への配慮と高度なコミュニケーションスキルが求められます。

注意点2:候補者の心証を損ねないポジティブな伝え方

たとえ改善点を伝える場合でも、否定的な表現は避けるべきです。「〇〇ができていない」ではなく、「〇〇ができるようになると、さらに活躍の場が広がる」といったように、候補者の未来の成長に繋がるポジティブな言葉選びを徹底しましょう。あくまで目的は、候補者の成長を支援し、自社への好意的な印象を形成することにある、という基本を忘れてはなりません。

注意点3:画一的でない、候補者一人ひとりに合わせた対応

候補者の性格やキャリア、自己評価の度合いは様々です。自信に満ち溢れた候補者と、自分の強みに気づけていない控えめな候補者とでは、響く言葉も適切なアプローチも異なります。

全員に同じ内容を伝える画一的なフィードバックは、かえって不信感を与えかねません。一人ひとりの個性や状況を注意深く観察し、その人に最も適した言葉で伝える「個別最適化」の視点が不可欠です。

【例文付き】明日から使える!効果的な面接フィードバックの伝え方

ここからは、面接フィードバックを実践する上での具体的なノウハウを、豊富な例文とともに解説します。理論だけでなく、すぐに使える「型」を身につけましょう。

まずはコレ!フィードバックで伝えるべき4つの基本要素

効果的なフィードバックは、以下の4つの要素で構成されます。これらを意識することで、構造的で分かりやすいフィードバックが可能になります。

要素説明
1. 候補者の強み面接を通じて評価した、候補者の優れた点やスキル。「〇〇様が主体となってプロジェクトを推進したご経験は、当社の求めるリーダーシップ像と合致しており、大変魅力的に感じました。」
2. 改善が期待される点今後の成長のために、より伸ばしていくと良いと思われる要素。「プレゼンテーションの構成は非常に論理的でしたが、もう少し具体的な事例を交えることで、さらに説得力が増すと思います。」
3. 求める人物像との関連性候補者の強みや課題が、自社の求めるスキルや文化とどう関連しているか。「当社のスピード感のある開発スタイルにおいて、〇〇様の迅速な課題解決能力は大きな武器になると確信しています。」
4. 合否判断の根拠(伝える場合)最終的に合否を判断するに至った客観的な理由。「総合的に判断した結果、今回は〇〇のスキルを持つ他の候補者の方にご縁を感じましたが、〇〇様のポテンシャルは高く評価しております。」

状況に応じて使い分ける、4つのフィードバック手法

次に、フィードバックの代表的な手法を4つ紹介します。候補者のタイプや伝えたい内容に応じて、これらの手法を柔軟に使い分けることが重要です。

ポジティブフィードバック:強みを引き出し、自信を促す

候補者の良かった点、評価した点を具体的に伝え、自信を促す手法です。特に、自己評価が低い傾向にある候補者や、選考の初期段階で有効です。

例文: 「本日の面接では、〇〇さんの物事を多角的に捉える分析力の高さに大変感銘を受けました。特に、弊社の事業課題について、私たちも気づかなかった新たな視点をご提示いただけたことには驚きました。その力は、入社後、企画部門で大いに発揮していただけると感じています。」

ネガティブフィードバック:成長課題を的確に伝える

改善が期待される点を具体的に指摘し、今後の成長を促す手法です。伝え方には細心の注意が必要ですが、候補者の成長に真摯に向き合う姿勢を示すことができます。

例文: 「〇〇様のご経験は大変素晴らしいものですが、チームでの協業経験についてお伺いした際、ご自身の役割や貢献度について、もう少し具体的にご説明いただけると、我々も〇〇様の強みをより深く理解できたかと感じました。次の選考では、ぜひその点を意識していただけると幸いです。」

サンドイッチ方式:ネガティブな内容も受け入れやすくする工夫

「ポジティブな点 → 改善点 → ポジティブな点」の順で伝えることで、ネガティブな内容を緩和し、候補者が前向きに受け入れられるように配慮した手法です。

例文: 「まず、〇〇様のコミュニケーション能力の高さは、弊社のどの部署でも活かせる素晴らしい強みだと感じました。(ポジティブ) 一方で、専門知識について少し物足りなさを感じたのも事実です。もしご縁があれば、入社までに〇〇の資格取得を目指していただけると、よりスムーズに業務に馴染めるかと思います。(ネガティブ) とはいえ、学習意欲の高さは十分に伝わってきましたので、今後の成長を非常に楽しみに感じております。(ポジティブ)」

ブリッジング:自社との関連性を示し、入社意欲を高める

候補者の経験やスキルが、自社の事業やポジションで「どのように活かせるか」という橋渡し(ブリッジ)を行うことで、入社意欲を醸成する手法です。

例文: 「前職で〇〇という困難なプロジェクトを成功に導いたご経験は、まさに今、弊社が直面している△△という課題を解決するために必要な力だと確信しました。〇〇様がチームに加わってくださることで、プロジェクトが大きく前進するイメージが湧いています。」

【ケース別】具体的なフィードバック例文集

最後に、様々なシチュエーションで使えるフィードバックの例文を紹介します。

合格者へのフィードバック(強みを評価し、期待を伝える)

「この度は、最終選考お疲れ様でした。〇〇様の論理的思考力と、困難な課題にも粘り強く取り組む姿勢を高く評価し、ぜひ弊社の一員としてお迎えしたいと考えております。特に、面接でお話しいただいた〇〇のご経験は、当社の△△部門で即戦力としてご活躍いただけると確信しております。入社後は、〇〇様ならではの視点で、チームに新しい風を吹き込んでくださることを期待しています。」

不採用者へのフィードバック(丁寧な不採用理由と今後の期待)

「先日は、最終面接にお越しいただき、誠にありがとうございました。社内で慎重に検討を重ねました結果、誠に残念ながら、今回はご期待に沿いかねる結果となりました。 〇〇様の〇〇というご経験は大変魅力的でしたが、今回募集しておりますポジションでは、より△△の分野での実務経験が豊富な方を優先させていただく結果となりました。何卒ご了承いただけますと幸いです。 末筆ではございますが、〇〇様の今後のご健勝と、より一層のご活躍を心よりお祈り申し上げます。」

経験が浅い候補者へのフィードバック(ポテンシャルを評価)

【GOOD例】 「実務経験こそまだ浅いものの、学習意欲の高さと、物事の本質を捉えようとする姿勢に、大きなポテンシャルを感じました。特に、〇〇について独学で学ばれた知識は、面接官一同、感心しておりました。入社後は、研修制度も充実しておりますので、スポンジのように知識を吸収し、大きく成長していただけることを期待しています。」

【NG例】 「経験が浅いため、今回のポジションでは力不足だと感じました。」

内向的・控えめな候補者へのフィードバック(良さを引き出す)

【GOOD例】 「面接では少し緊張されているご様子でしたが、一つひとつの質問に対して、じっくりと考え、誠実に言葉を選んでお話しいただく姿が印象的でした。その思慮深さと丁寧な仕事ぶりは、弊社の品質管理部門で必ず活かせると感じています。もう少しご自身の考えに自信を持って、積極的にアピールできると、さらに魅力が伝わると思います。」

【NG例】 「積極性が足りず、何を考えているか分かりにくい印象でした。」

面接フィードバックの効果を最大化する2つのポイント

最後に、面接フィードバックの効果をさらに高め、形骸化させないための重要なポイントを2つ紹介します。これらの仕組みを取り入れることで、フィードバックはより戦略的かつ効果的な人事施策へと進化します。

ポイント1:客観的で公平な評価を実現する「面接評価シート」の活用

面接官の主観だけに頼ったフィードバックは、評価のブレや不公平感を生む原因となります。これを防ぐために、「面接評価シート」を導入し、評価項目や基準を標準化することが極めて重要です。

評価シートには、「論理的思考力」「協調性」「主体性」といった評価項目を設け、それぞれについて「5:非常に優れている」「4:優れている」「3:標準」「2:要改善」「1:不十分」といった段階的な評価基準を定義します。面接官は、このシートに基づいて面接を進め、具体的なエピソードとともに評価を記録します。

これにより、フィードバックの内容が客観的な根拠に基づいたものになり、候補者の納得感を高めることができます。また、社内に評価データが蓄積されることで、採用活動全体の分析や改善にも繋がります。厚生労働省が提供している職業能力評価シートなども参考に、自社独自の評価シートを作成すると良いでしょう。

ポイント2:「会社としての評価」ではなく「面接官個人の視点」で伝える

フィードバックを伝える際、「会社としてこう評価しました」という画一的な伝え方は、候補者に冷たい印象や一方的な評価を押し付けられている感覚を与えがちです。そこで意識したいのが、「私(面接官)は、こう感じました」という個人の視点を主語にすることです。

【GOOD例】 「今回の採用では、〇〇のスキルを特に重視しています。私のこれまでの経験から見ても、〇〇様のこの分野におけるご経験は、チームにとって大きな力になると感じました。」

【NG例】 「会社として、あなたの〇〇の経験を評価しました。」

面接官個人の言葉として伝えることで、フィードバックに血が通い、候補者は「一人の人間として向き合ってくれている」と感じることができます。この小さな工夫が、候補者の心を開き、企業への信頼感を醸成する上で大きな差を生むのです。

まとめ

本記事では、面接フィードバックがなぜ現代の採用活動において重要なのか、そのメリットや具体的な実践方法、そして豊富な例文を交えながら多角的に解説しました。

面接フィードバックは、単なる候補者への「おもてなし」ではありません。候補者の志望度を高め、採用のミスマッチを防ぎ、ひいては企業のブランドイメージをも向上させる、極めて戦略的な採用手法です。確かに、導入には面接官の負担増やスキル習得といった課題も伴いますが、それを乗り越えた先には、採用力の飛躍的な向上が待っています。

重要なのは、完璧を目指すことではなく、まずはできる範囲から始めることです。今回紹介した例文や手法を参考に、まずは次の面接から、候補者一人ひとりと真摯に向き合い、あなたの言葉でフィードバックを伝えてみてください。その小さな一歩が、未来の優秀な人材との出会いを引き寄せ、企業の成長を加速させる原動力となるはずです。

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe
Crepeでは、「人事が変われば、組織が変わる」というコンセプトのもと、

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