フォローアップ面談とは?
目的や適切な実施時期、質問例を解説

最終更新日:2025年8月6日

新入社員の早期離職は、多くの企業が直面する深刻な課題です。厚生労働省の調査によると、大学卒業者の約3割が入社から3年以内に離職しているという現実があります。採用にかけた時間、コスト、そして期待を考えると、この数字は企業経営にとって看過できない問題といえるでしょう。

こうした状況を改善するために注目されているのが「フォローアップ面談」です。単なる評価面談とは異なり、新入社員に寄り添いながら現状を把握し、適切な支援を提供することで、定着率の向上と成長促進を図る取り組みです。

本記事では、人事責任者や経営者の皆様に向けて、フォローアップ面談の基本的な概念から実践的な実施方法まで、包括的に解説いたします。適切な実施時期の設定方法、効果的な質問例、そして成功に導くためのポイントまで、実務に直結する知識をお伝えします。

フォローアップ面談とは何か

フォローアップ面談の基本定義

フォローアップ面談とは、新入社員の入社後に定期的に実施される面談の一種です。この面談の最大の特徴は、社員に寄り添いながら現状や課題、今後の展望などをヒアリングすることにあります。新入社員が職場や仕事、人間関係で抱えている悩みを上司や人事担当者などが把握し、必要に応じて改善点や目標を一緒に考える場として機能します。

実施者については、直属の上司ではなく、人事担当者など普段直接関わりが少ない第三者が担当することが一般的です。これにより、新入社員は日常的な業務上の関係性に縛られることなく、より率直に自分の状況や悩みを話すことができます。

通常の面談との違い

フォローアップ面談を理解する上で重要なのは、通常の評価面談との違いを明確に認識することです。一般的な評価面談は、社員の成果や能力を査定することが主な目的となります。一方、フォローアップ面談は評価ではなく、状況の把握や課題解決に重点を置いているところに大きな違いがあります。

フォローアップ面談では心理的安全性の確保が極めて重要です。新入社員が安心して自分の悩みや課題を話せる環境を作ることで、本音を引き出し、真に必要な支援を提供することが可能になります。

フォローアップ面談の目的と効果

フォローアップ面談の目的

主要な4つの目的

1. 新入社員の定着率向上
入社後の早い段階から定期的に面談を実施し、新入社員が抱える不安や悩みを早期に発見することで、適切なサポートを提供できます。これにより、職場環境への適応を促進し、離職リスクを大幅に軽減することが可能になります。

2. 成長度合いの確認
業務の習熟度、職場への適応状況、スキルの向上などを定期的に把握することで、個々の新入社員の成長プロセスを可視化できます。この確認結果をもとに適切な指導やサポートを提供し、新入社員のさらなる成長を促進することが可能になります。

3. フィードバックによるモチベーション向上
新入社員の日々の取り組みに対して具体的で建設的なフィードバックを行います。良い点を適切に評価し、改善点を建設的に伝えることで、新入社員のモチベーション向上に直結します。

4. キャリアステップの明確化
面談を通じて、新入社員の適性、興味、将来の希望などを深く理解し、それに基づいた具体的なキャリアパスを提示することができます。

企業・従業員が得られる効果

企業側は、離職リスクの軽減、人材投資の最適化、組織のコミュニケーション文化の醸成、早期の課題発見と解決といった効果を得ることができます。

従業員側は、安心感の向上、キャリアパスの明確化、スキルアップ機会の提供、職場適応の促進といったメリットを享受できます。

適切な実施時期とタイミング

フォローアップ面談の実施時期とポイント

基本的な実施スケジュール

フォローアップ面談の効果を最大化するためには、適切なタイミングで複数回実施することが重要です。一般的に推奨される基本的な実施スケジュールは、入社1か月目、入社3か月目、入社半年後、入社1年後の4つのタイミングです。

入社1か月目のフォローアップ面談

この時期の新入社員は、新しい環境に慣れようと懸命に努力している一方で、まだ具体的な悩みや課題を明確に言語化できない状態にあることが多いのが特徴です。

主にコミュニケーションを重視し、新入社員の不安や疑問を丁寧に聞き出すことが重要です。業務内容や部署の役割について理解を深めるサポートを行い、今後の目標設定の基礎を作ることに重点を置きます。

入社3か月目のフォローアップ面談

新入社員が業務や職場環境にある程度慣れてきている一方で、具体的な悩みや課題を認識し始める重要な時期です。人間関係でのストレスや業務上の問題も顕在化しやすく、適切な対応が求められます。

これらの課題を丁寧に聞き取り、必要に応じて上司や人事担当者も協力して解決策を検討します。また、入社1か月目で設定した目標の進捗状況を確認し、必要に応じて目標の修正を行います。

入社半年後のフォローアップ面談

新入社員が職場に馴染み、ある程度の業務スキルを身につけた時期です。より具体的な業務上の課題や人間関係に関する悩みが明確になってくることが多く、これまでの成長を評価するとともに、今後の目標設定や能力開発の方向性について話し合うことが重要になります。

入社1年後のフォローアップ面談

新入社員が一通りの業務サイクルを経験し、組織の一員として定着した段階で実施される重要な節目の面談です。1年間の成長を包括的に振り返り、達成した目標や克服した課題を確認することが主要な目的となります。

今後のキャリアパスや中長期的な目標設定について本格的に話し合い、組織への貢献度や今後の役割拡大についても議論します。

効果的な面談の進め方

面談前の準備

面談の目的と流れの事前説明、適切な環境の設定、必要な資料の準備が重要です。面談が評価ではなく支援を目的としていることを明確に伝え、プライバシーが確保された静かな場所を選びます。

面談の基本的な流れ

1.面談の目的を伝える: 評価ではなく支援が目的であることを明確に伝える

2.新入社員の状況を確認する: 業務の進捗状況や職場環境への適応度を包括的に質問

3.本人の希望を確認する: キャリア目標、スキルアップの希望などを詳しく聞き取る

4.希望に沿った方法を一緒に考える: 具体的な解決策や行動計画を策定

5.モチベーションを確認する: 前向きに取り組める内容かを確認

面談時の注意点

評価ではなく支援の姿勢を一貫して維持し、傾聴の重要性を意識します。プライバシーの保護を徹底し、具体的なアクションプランを設定することで、面談の成果を実際の行動につなげることが重要です。

実践的な質問例集

仕事・業務に関する質問例

業務状況の確認

・仕事の量は適切だと感じていますか?

・業務に慣れてきましたか?

・業務中に特に難しいと感じることはありますか?

・前回の面談以降、新たに取り組んだことは何かありますか?

・職場環境について気になることはありますか?

・業務のなかでとくにやりがいを感じることや、反対に負担と感じることは何ですか?

・業務で困ったとき、誰によく相談していますか?

業務改善に関する質問

・効率的に仕事を進めるために改善したいことはありますか?

・もっとサポートが欲しいと感じる部分はありますか?

・業務の中で特にやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

人間関係に関する質問例

・職場の雰囲気について、どのように感じていますか?

・職場で安心して相談できる相手はいますか?

・チームメンバーや上司とのコミュニケーションは円滑に取れていますか?

・人間関係で改善したいと感じる点はありますか?

・上司とのコミュニケーションで困っていることはありますか?

・相談しやすい人や頼りにしている人はいますか?

・チーム内での連携や情報共有はスムーズですか?

キャリア・成長に関する質問例

・現在の業務内容は、自分のキャリアプランに合っていると感じますか?

・ほかの職種や部署に興味を持つことはありますか?

・今後どういったスキルを伸ばしていきたいですか?

・将来的にどのような役割を担いたいと考えていますか?

・数年後に達成したい目標や、理想とするキャリアの方向性はありますか?

・現在の業務がキャリア目標を実現するためにどのように役立っていると感じますか?

・会社として提供できる研修や成長機会について、希望するものはありますか?

・1年後、3年後にどのような役割を担いたいと考えていますか?

面談を深掘りする質問テクニック

情報を整理する質問: 「つまり、○○ということでしょうか?」「具体的には、どのような状況ですか?」 気づきを促す質問: 「その時、どのような気持ちでしたか?」「なぜそう思うのでしょうか?」 具体的な行動につなげる質問: 「それを改善するために、どのような行動を取りたいですか?」「私たちはどのようなサポートができるでしょうか?」

フォローアップ面談を成功させるポイント

面談担当者に求められるスキル

傾聴力: 新入社員の話を最後まで聞き、相手の感情や背景にある課題を理解する能力 共感力: 新入社員が抱える不安や悩みに対して理解を示し、信頼関係を築く能力 問題解決能力: 課題に対して具体的で実行可能な解決策を提示する能力 コーチング的アプローチ: 答えを直接教えるのではなく、適切な質問を通じて新入社員自身が答えを見つけられるよう支援する能力

組織として取り組むべき事項

面談制度の体系化: 面談の目的、実施時期、担当者の選定基準、面談記録の管理方法などを明文化 担当者の研修: 傾聴スキル、コーチング技術、問題解決手法などの研修を定期的に実施 フォローアップ体制の構築: 面談後の継続的な支援を確保するための体制整備 継続的な改善: 面談の効果を定期的に評価し、制度の見直しを行う仕組みの構築

よくある失敗例と対策

評価面談との混同: 面談の開始時に必ず「この面談は評価ではなく支援が目的である」ことを明確に伝える 一方的な指導: 面談時間の7割程度は新入社員の話を聞くことに充てる プライバシーへの配慮不足: 面談内容の機密性を確保し、必要最小限の関係者以外には共有しない フォローアップ不足: 面談後の具体的なアクションプランを明確にし、責任者と期限を設定して確実に実行

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