人事の年間スケジュール完全ガイド|採用・給与労務・人材育成の月別スケジュールと業務改善のコツを人事のプロが解説

最終更新日:2025年9月12日

人事担当者の皆様、年間を通じて多岐にわたる業務に追われ、計画的なスケジュール管理に課題を感じていませんか?本記事では、人事年間スケジュールを網羅的に解説し、業務の種類や効率的な計画立案のポイントを徹底的にご紹介します。この記事を読めば、重複なく簡潔に年間業務を整理し、戦略的な人事活動を推進するためのヒントが得られるはずです。

目次

人事業務年間スケジュール一覧表

以下の表は、人事部門が年間を通じて実施する主要業務をまとめたものです。各月の重要業務を一目で把握できるよう整理しています。

採用業務給与・労務業務人材開発・人材育成業務その他重要業務
1月新卒採用選考継続年末調整完了・源泉徴収票発行新入社員研修準備人事評価結果確定
2月新卒採用選考・内々定給与計算・勤怠管理管理職研修実施昇格・昇進発令準備
3月新卒採用内定式・中途採用強化退職手続き・離職票発行新入社員研修最終準備人事異動発令・引継ぎ
4月新卒入社式・オンボーディング社会保険資格取得手続き新入社員研修実施新年度人事制度説明会
5月中途採用継続算定基礎届準備開始新入社員フォローアップゴールデンウィーク勤務調整
6月インターンシップ企画開始算定基礎届提出・労働保険年度更新階層別研修実施夏季賞与査定・支給
7月夏季インターンシップ実施労働保険料申告・納付中堅社員研修健康診断実施
8月インターンシップ継続給与計算・勤怠管理夏季休暇中の研修動画配信夏季休暇取得促進
9月秋季採用活動・内定者フォロー社会保険料改定反映下半期研修計画策定人事評価中間面談
10月新卒採用広報解禁・説明会開始最低賃金改定対応新入社員半年研修冬季賞与査定開始
11月新卒採用説明会継続年末調整準備・書類回収管理職向けマネジメント研修年次有給休暇取得状況確認
12月新卒採用選考準備年末調整実施・冬季賞与支給来年度研修計画策定年末年始勤務調整・人事評価準備

この表を参考に、自社の事業年度や業界特性に合わせてスケジュールを調整し、効率的な人事業務運営を実現してください。

人事・労務担当者の主な業務

人事の年間スケジュールを紹介する前に、まずは人事労務の主な業務内容を整理しておきましょう。人事・労務の業務は、大きく分けると「人事管理業務」と「労務管理業務」の2つに分けられます。人事管理業務は、採用や人材育成など、社員と直接かかわる仕事が中心です。一方、労務管理業務は、給与計算や社会保険の手続きなど、社員を支える間接的な仕事が主になります。

主な人事管理業務

人事管理業務は、採用や人材育成など、社員と直接かかわる仕事が中心です。企業の経営戦略を実現するために、どのような人材を確保し、どのように育成していくのかを計画・実行する、まさに人事の中核をなす業務です。

人事管理の主な仕事には、以下のようなものがあります

たとえば、採用では新卒・中途それぞれの計画立案や選考、インターンシップの運営、採用イベントの企画を実施します。評価制度の運用や目標管理、面談を通じて、キャリア形成を支援するのも重要な役割です。さらに、昇進や異動の調整、人材配置の計画も人事担当の大切な仕事です。教育・研修活動や自己啓発支援など、従業員の成長を促す取り組みも欠かせません。

主な労務管理業務

労務管理業務は、社員を支える間接的な業務が中心です。給与計算や勤怠管理、社会保険の手続き、福利厚生の運用、安全衛生管理など、法律や社内規程に基づいて正確かつ滞りなく処理することが求められる業務です。

労務管理の主な仕事には、以下のようなものがあります

・給与・賞与計算
・勤怠管理
・社会保険手続き
・安全衛生管理
・年末調整

たとえば、給与計算では毎月の基本給や各種手当、退職金などを正しく計算し、期日までに支給します。勤怠管理では、残業や休日出勤の把握、年次有給休暇などの休暇管理を行います。入退社にともなう加入・喪失などの社会保険手続きや年末調整では、法律で定められた業務を期限内に進めることが必要です。また、安全衛生管理を通じて、従業員の健康維持や安心して働ける職場環境づくりも担います。

人事の年間スケジュールで押さえたい業務

人事の年間スケジュールを効率的に管理するためには、主要な業務領域を理解し、それぞれの特性に応じた計画を立てることが重要です。ここでは、人事業務の中でも特に重要な3つの領域について解説します。

採用業務

採用業務は、企業の将来を左右する重要な戦略的業務です。新卒採用と中途採用では、それぞれ異なるスケジュールと手法が必要となります。新卒採用は長期的な計画に基づいて実施され、通常1年以上の期間をかけて進められます。一方、中途採用は事業ニーズに応じて随時実施され、より迅速な対応が求められます。

採用業務を成功させるためには、採用計画の策定、母集団形成、選考プロセスの設計、内定者フォローまでを一貫して管理する必要があります。また、採用ブランディングや候補者体験の向上にも注力し、優秀な人材を惹きつける魅力的な採用活動を展開することが重要です。

給与・労務

給与・労務業務は、従業員の生活を支える基盤となる重要な業務です。毎月の給与計算から年末調整まで、正確性と期限遵守が絶対的に求められます。また、労働関連法規の改正に迅速に対応し、コンプライアンスを維持することも重要な責務です。

特に、社会保険の定時決定や労働保険の年度更新など、年に一度の重要な手続きは、事前の準備と計画的な実施が不可欠です。これらの業務を効率的に進めるためには、システムの活用や業務プロセスの標準化を図ることが有効です。

人材開発・人材育成

人材開発・人材育成は、従業員の成長と企業の競争力向上を両立させる重要な投資です。新入社員研修から管理職研修まで、階層別・職種別の多様な研修プログラムを年間を通じて計画的に実施する必要があります。

効果的な人材育成を実現するためには、個々の従業員のキャリア目標と企業の戦略目標を整合させ、体系的な育成プログラムを構築することが重要です。また、研修の効果測定と継続的な改善を通じて、投資対効果を最大化することも求められます。

【採用】人事の年間スケジュール

採用業務は企業の成長を支える重要な戦略的活動です。新卒採用と中途採用では、それぞれ異なるスケジュールと手法が必要となります。ここでは、それぞれの年間スケジュールと重要なポイントを詳しく解説します。

新卒採用

新卒採用は、長期的な視点での人材育成を目的とした重要な投資です。一般的に、1年以上の長期的なスパンで計画的に進められます。政府が定める採用選考に関する指針に従い、以下のスケジュールで実施されます。

4月~6月
採用計画の策定 前年度の採用活動を振り返り、次年度の採用目標人数、求める人物像、採用コンセプトなどを明確にします。経営層や各部門との連携を密にし、全社的なコンセンサスを得ることが重要です。採用予算の確保や採用チームの体制構築も、この時期に行います。

6月~9月
広報活動・インターンシップ 採用サイトのオープン、会社説明会の企画・実施、インターンシップの募集・開催などを通じて、学生への認知度向上と魅力付けを図ります。早期から学生との接点を持ち、自社への理解を深めてもらうことが、後の選考プロセスをスムーズに進める鍵となります。

10月~3月
選考活動・内定出し エントリーシートによる書類選考、複数回の面接、適性検査などを通じて、候補者を多角的に評価します。選考プロセスにおいては、公平性と透明性を保ち、学生一人ひとりに丁寧に対応することが、企業のブランドイメージ向上にも繋がります。

4月
入社・研修 内定者を入社式で迎え入れ、新入社員研修を実施します。社会人としての基礎知識やビジネスマナー、企業文化への理解を深め、スムーズな職場への適応をサポートします。

中途採用

中途採用は、欠員補充や事業拡大に伴う専門人材の確保など、企業の即戦力となる人材を獲得するために行われます。年間を通じて随時発生しますが、特に異動や退職が増える時期(4月、10月など)に活発化する傾向があります。

通年
求人ニーズの把握と募集 各部門からの求人ニーズを常に把握し、適切なタイミングで募集を開始します。求人媒体の選定、人材紹介会社の活用、ダイレクトリクルーティングなど、多様な採用チャネルを駆使して、ターゲットとなる人材層にアプローチします。

随時
選考・面接 応募があり次第、迅速に書類選考、面接を実施します。中途採用では、候補者のスキルや経験、カルチャーフィットを重視した評価が求められます。現場の管理職と連携し、実践的なスキルを見極めるための質問や課題を用意することも有効です。

随時
内定・入社 内定後は、入社条件の調整や入社手続きをスムーズに進めます。入社後のオンボーディングプログラムを整備し、即戦力として早期に活躍できる環境を整えることが重要です。

【給与・労務】人事の年間スケジュール

給与・労務業務は、従業員の生活を支え、企業のコンプライアンスを維持するために不可欠な業務です。法定期限が設けられている業務が多いため、計画的かつ正確な実施が求められます。

【毎月】入社

毎月発生する入社手続きは、新入社員が安心して業務を開始できるよう、迅速かつ正確に処理する必要があります。

入社手続きの主な内容

・雇用契約書の締結
・社会保険(健康保険・厚生年金保険)の資格取得手続き
・雇用保険の資格取得手続き
・労働保険の加入手続き
・給与振込口座の登録
・身元保証書の提出
・税務関係書類(扶養控除等申告書)の回収

これらの手続きは、入社日から5日以内に完了させる必要があるものが多いため、事前の準備と効率的な処理体制の構築が重要です。

【毎月、4月~6月】社会保険定時改定

社会保険の定時決定(算定基礎届)は、毎年4月、5月、6月の給与支払額を基に、全従業員の標準報酬月額を見直し、社会保険料を再計算する重要な手続きです。

実施スケジュール

4月~6月:対象期間の給与データ収集
6月下旬:算定基礎届の作成
7月10日まで:年金事務所への提出
9月分給与から:新しい保険料の適用開始

この手続きにより決定された標準報酬月額は、翌年の定時決定まで1年間適用されるため、正確な計算と期限内の提出が不可欠です。

【6月〜7月】労働保険料

労働保険の年度更新は、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を計算し、申告・納付する手続きです。

実施内容

・前年度の賃金総額の確定と保険料の精算
・当年度の賃金総額の見込みと概算保険料の計算
・申告書の作成と提出(6月1日~7月10日)
・保険料の納付

労働保険料の計算には、雇用保険料と労災保険料が含まれ、業種によって保険料率が異なるため、正確な業種分類と料率の適用が重要です。

【会社の規定による】賞与

賞与の支給は、会社の業績や個人の評価に応じて実施されます。多くの企業では、夏季(6月~7月)と冬季(12月)の年2回支給が一般的です。

賞与支給の流れ

・査定期間の設定と評価の実施
・賞与原資の決定と配分の検討
・個人別賞与額の決定
・賞与明細の作成と支給
・社会保険料・所得税の計算と控除
・被保険者賞与支払届の提出(支給後5日以内)

賞与支給時には、通常の給与とは異なる税率や社会保険料の計算方法が適用されるため、正確な計算が求められます。

【12月】年末調整

年末調整は、従業員の1年間の所得税を精算するための重要な手続きです。毎年11月頃から準備を開始し、翌年1月末日までに完了させる必要があります。

年末調整の流れ

11月:各種申告書の配布と回収
12月:年末調整計算の実施
12月給与支給時:過不足税額の精算
翌年1月:源泉徴収票の交付
翌年1月末:法定調書の税務署提出

年末調整では、生命保険料控除や住宅借入金等特別控除など、様々な所得控除を適用するため、従業員からの申告書類の正確な回収と処理が重要です。

【人材開発・人材育成】人事の年間スケジュール

人材開発・人材育成は、従業員の成長と企業の競争力向上を両立させる重要な投資です。階層別・職種別の多様な研修プログラムを年間を通じて計画的に実施し、組織全体のパフォーマンス向上を図ります。

新入社員教育

新入社員教育は、社会人としての基礎力と企業文化への理解を深めるための重要なプログラムです。入社直後の4月に集中的に実施されるのが一般的ですが、その効果を最大化するためには、長期的な視点での設計が必要です。

実施スケジュール

10月~3月:次年度新入社員研修の企画・準備
4月:新入社員研修の実施(2週間~1ヶ月程度)
5月~6月:配属後のフォローアップ研修
10月:半年後振り返り研修
翌年3月:1年間の総括研修

新入社員研修では、ビジネスマナーやPCスキルといった基礎的な内容から、企業理念の浸透、各部門の業務理解を深めるためのプログラムまで、バランス良く構成することが重要です。また、同期との絆を深めるためのチームビルディング要素も取り入れることで、早期離職の防止にも効果があります。

中途社員教育

中途採用者は即戦力として期待される一方で、企業文化や業務プロセスへの適応支援が必要です。入社時期が不定期であるため、柔軟な研修体制の構築が求められます。

実施内容

入社時:オリエンテーション研修(企業理念、組織体制、業務プロセス)
入社1ヶ月後:フォローアップ面談と追加研修
入社3ヶ月後:定着状況の確認と課題解決支援
入社6ヶ月後:成果確認と今後のキャリア相談

中途社員教育では、個々の経験やスキルレベルに応じたカスタマイズが重要です。メンター制度の活用や、部門別の専門研修の提供により、早期戦力化を図ります。

階層別教育

階層別教育は、職位や経験年数に応じて必要なスキルや知識を体系的に習得するためのプログラムです。キャリアステップに合わせた計画的な実施により、組織全体の底上げを図ります。

主な階層別研修

若手社員研修(入社2~3年目):自律性とプロフェッショナル意識の向上
中堅社員研修(入社5~10年目):リーダーシップとマネジメント基礎
管理職研修(課長・部長クラス):組織運営と人材育成スキル
経営幹部研修(役員クラス):戦略思考と組織変革リーダーシップ

各階層の研修は、年間を通じて計画的に実施し、受講者の業務スケジュールとの調整を図りながら進めます。

昇格者教育

昇格者教育は、新たな職位に就く従業員が、その役割と責任を適切に果たすために必要な知識とスキルを習得するためのプログラムです。昇格のタイミングに合わせて実施されます。

実施タイミング

4月:定期昇格者向け研修
10月:中間昇格者向け研修
随時:個別昇格者向け研修

昇格者研修では、新しい職位に求められる役割理解、部下指導の方法、目標管理の手法、コンプライアンス意識の向上などを重点的に扱います。また、昇格後のフォローアップとして、定期的な面談や相談機会を設けることも重要です。

人事年間スケジュールを改善させるポイント

効率的で効果的な人事年間スケジュールを構築するためには、計画段階での工夫と継続的な改善が重要です。ここでは、スケジュール改善のための3つの重要なポイントを解説します。

スケジュール作成をする際の基準を設定する

人事年間スケジュールの作成にあたっては、明確な基準と優先順位の設定が不可欠です。これにより、限られたリソースを効果的に配分し、重要な業務を確実に実行することができます。

基準設定のポイント

・法的義務のある業務を最優先に配置
・経営戦略との整合性を重視した業務の優先順位付け
・業務の相互関係と依存性の明確化
・各業務の所要時間と必要リソースの見積もり
・リスク評価と対応策の検討

具体的には、年末調整や社会保険の定時決定など、法定期限のある業務を基軸として、その他の業務を配置していきます。また、採用活動や人材育成など、中長期的な効果が期待される戦略的業務についても、適切な時期と期間を確保することが重要です。

柔軟に対応できるスケジューリングシステムを導入する

人事業務は、組織の変化や外部環境の影響を受けやすいため、柔軟性を持ったスケジューリングシステムの構築が重要です。予期せぬ事態にも迅速に対応できる体制を整えることで、業務の継続性を確保します。

柔軟なシステム構築のポイント

・バッファ時間の確保と余裕を持ったスケジューリング
・業務の標準化とマニュアル化による属人化の解消
・クロストレーニングによる業務の複数担当制
・外部リソース(アウトソーシング、システム化)の活用
・定期的なスケジュール見直しと調整の仕組み

また、人事管理システムやタレントマネジメントシステムの導入により、データの一元管理と業務の自動化を図ることで、効率性と正確性の向上を実現できます。

従業員への理解を高めてコミュニケーションの強化をはかる

人事業務の多くは、従業員の協力なしには成り立ちません。年間スケジュールや各種手続きについて、従業員の理解と協力を得ることで、スムーズな業務運営が可能になります。

コミュニケーション強化の方法

・年間スケジュールの社内共有と説明会の実施
・各種手続きの目的と重要性の周知
・提出期限や必要書類の事前案内
・質問や相談に対する迅速な対応体制の構築
・フィードバックの収集と改善への反映

特に、年末調整や健康診断など、従業員の積極的な参加が必要な業務については、早期からの案内と丁寧な説明により、理解と協力を促進することが重要です。また、人事制度の変更や新しい取り組みについては、説明会やワークショップを通じて、従業員の不安を解消し、円滑な導入を図ります。

まとめ

人事の年間スケジュールは、企業の持続的な成長と従業員の働きがいを支える重要な基盤です。本記事では、採用、給与・労務、人材開発・人材育成の3つの主要領域における年間スケジュールと、効率的な計画立案のポイントを詳しく解説しました。

人事担当者の皆様には、本記事で紹介した年間スケジュールとポイントを参考に、自社の特性に合わせたオリジナルの計画を策定していただければと思います。計画的で戦略的な人事活動を通じて、従業員と企業の双方が成長できる組織づくりを実現してください。

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