採用がうまくいかない本当の理由は、『候補者体験CX』にあった。企業目線では見えない採用課題を発見する
「採用がうまくいかない」
多くの経営者や人事担当者が、この根深い課題に直面しています。しかし、その原因を自社の中だけで探そうとして、視野が狭くなってはいないでしょうか。採用プロセスを改善し、KPIを追い、面接官トレーニングを実施する。これらの内部努力はもちろん重要です。しかし、それだけでは見えてこない、決定的な視点が抜け落ちている可能性があります。
それは、「候補者」の視点です。
採用活動とは、企業が候補者を選ぶだけのプロセスではありません。候補者が数多の企業の中から「この会社で働きたい」と願い、選び、入社を決意するまでの、一連の「旅(ジャーニー)」です。この旅の途中で、候補者が何を感じ、何を考え、どのような体験をするか。その「候補者体験(Candidate Experience)」こそが、現代の採用活動の成否を分ける最大の鍵なのです。
本記事では、従来の「企業目線」の課題発見アプローチから脱却し、「候補者目線」で採用活動の全行程を旅するように追体験することで、これまで見過ごされてきた採用課題をあぶり出す、新しいフレームワークを提案します。認知から入社後まで、6つのステージで候補者が体験する「真実の瞬間(Moment of Truth)」に焦点を当て、貴社の採用活動が抱える本当のボトルネックを特定するための一助となることを目指します。
目次
- ステージ1:認知フェーズ「あなたの会社、知られていますか?」
- ステージ2:興味・関心フェーズ「ここで働きたい、と思わせる魅力はありますか?」
- ステージ3:応募フェーズ「その応募、面倒ではありませんか?」
- ステージ4:選考フェーズ「その面接、心は通っていますか?」
- ステージ5:内定・承諾フェーズ「最後のひと押し、できていますか?」
- ステージ6:入社後フェーズ「その採用、本当に成功でしたか?」
- まとめ:候補者の旅に寄り添い、採用を成功に導く
- 採用課題を「候補者体験」の質で測る、新たな指標
- 候補者体験を向上させるための、組織的な取り組み

ステージ1:認知フェーズ「あなたの会社、知られていますか?」
すべての採用活動は、候補者が貴社の存在を「知る」ことから始まります。しかし、ただ知られているだけでは意味がありません。問題は、「どのように知られているか」です。
候補者の体験
このフェーズの候補者は、まだ転職を具体的に考えていない「転職潜在層」であることがほとんどです。友人・知人からの評判、SNSでの投稿、メディアの記事、あるいは業界内での噂話など、様々な情報接点で貴社の名前やイメージに触れます。「あの会社は働きがいがあるらしい」「最近、面白いプロダクトを出したようだ」「元社員の評判があまり良くない」といった断片的な情報が、無意識のうちに第一印象を形成していきます。
企業が陥りがちな課題
・知名度の欠如:そもそもターゲット層に全く知られていない。
・ネガティブな評判:口コミサイトやSNSで、ネガティブな情報が先行している。
・情報発信の不足:企業の魅力や文化を伝えるコンテンツがなく、候補者が興味を持つきっかけがない。
課題発見のヒント
| 問いかけるべき質問 | 確認すべきデータ・情報 |
| 自社の名前で検索した時、どのような情報が表示されるか? | Google検索結果、サジェストキーワード |
| 口コミサイトでの評価やコメントはどうか? | OpenWork, Glassdoor, Vorkersなどのスコアとコメント内容 |
| SNS上で、自社についてどのように語られているか? | X(旧Twitter)での社名検索、ハッシュタグ検索 |
| 採用広報コンテンツは、ターゲット層に届いているか? | オウンドメディアのPV数、SNSのエンゲージメント率 |
このフェーズでの課題は、採用活動の「入り口」が狭い、あるいは間違った方向を向いていることを意味します。どれだけ優れた選考プロセスを用意しても、候補者が門を叩いてくれなければ意味がありません。
ステージ2:興味・関心フェーズ「ここで働きたい、と思わせる魅力はありますか?」
何らかのきっかけで貴社を認知した候補者は、次に「この会社は、自分にとって魅力的か?」という興味・関心のフェーズへと移行します。彼らはより能動的に情報を収集し始め、貴社が「働く場所」として検討に値するかを判断します。
候補者の体験
候補者はまず、企業の公式サイト、特に採用ページを訪れます。どのような事業を行っているのか、どのような社員が働いているのか、どのような文化なのか。ミッションやビジョンに共感できるか。募集されているポジションは、自分のキャリアプランと合致するか。社員インタビューやブログ記事を読み込み、「ここで働く自分」を具体的にイメージしようと試みます。
企業が陥りがちな課題
・魅力のない求人票
仕事内容が曖昧で、やりがいや得られるスキルが伝わらない。
・情報不足の採用サイト
企業の魅力や文化が画一的な言葉でしか語られておらず、リアルな情報がない。
・分かりにくい情報構造
採用サイトがどこにあるか分かりにくい、情報が整理されておらず知りたいことにたどり着けない。
課題発見のヒント
| 問いかけるべき質問 | 確認すべきデータ・情報 |
| 求人票は、ターゲット人材の心に響く言葉で書かれているか? | 職種ごとの応募率、競合他社の求人票との比較 |
| 採用サイトは、候補者が知りたい情報を提供できているか? | 採用サイトの滞在時間、直帰率、ページビュー数 |
| 社員のリアルな声や働き方が伝わるコンテンツはあるか? | 社員インタビュー記事の閲覧数、SNSでのシェア数 |
| サイトの導線は分かりやすいか? | 実際にスマートフォンで採用サイトを操作してみる |
このフェーズでの離脱は、「認知はされたが、魅力を感じてもらえなかった」という深刻な事態を意味します。候補者は、より魅力的な情報を提供している競合他社へと静かに去っていきます。
ステージ3:応募フェーズ「その応募、面倒ではありませんか?」
貴社に強い興味を持った候補者は、いよいよ「応募」というアクションを起こします。しかし、この応募プロセスが、候補者の熱意を削ぐ最大の障壁となることが少なくありません。
候補者の体験
「いざ応募しよう」と決意した候補者。しかし、クリックした先で待っていたのは、無数の入力項目が並ぶ応募フォーム。何度も同じ情報を入力させられ、煩雑なID・パスワード設定を求められ、挙句の果てにスマートフォンではうまく表示されない。応募完了後も、自動返信メールが届くだけで、次のステップがいつになるのかも分からない。このストレスフルな体験は、「候補者への配慮がない会社だ」というネガティブな印象を与えます。
企業が陥りがちな課題
•煩雑な応募フォーム
入力項目が多すぎる、履歴書・職務経歴書のアップロードが必須など、応募のハードルが高い。
•モバイル非対応
応募フォームがスマートフォンに最適化されておらず、入力しにくい。
•コミュニケーション不足
応募後の自動返信メールがなく、候補者を不安にさせる。
課題発見のヒント
| 問いかけるべき質問 | 確認すべきデータ・情報 |
| 応募フォームの入力にかかる時間はどれくらいか? | 実際に自分で応募フォームを入力し、時間を計測する |
| 応募完了率はどれくらいか? | ATS(採用管理システム)のデータで、応募開始から完了までの離脱率を分析 |
| スマートフォンからの応募はスムーズに行えるか? | 複数のデバイスで応募プロセスをテストする |
| 応募後の連絡フローは適切か? | 応募から書類選考結果の連絡までの平均日数を確認 |
応募フェーズでの離脱率の高さは、採用機会の直接的な損失です。あと一歩で接点を持てたはずの貴重な候補者を、使いにくいシステムが追い返してしまっているのです。
ステージ4:選考フェーズ「その面接、心は通っていますか?」
書類選考を通過した候補者は、面接・面談という「対話」のステージに進みます。ここでの体験は、候補者の入社意欲を決定的に左右します。もはや面接は、企業が候補者を「評価する」だけの場ではありません。候補者が企業を「見極める」場であり、相互理解を深める「コミュニケーション」の場なのです。
候補者の体験
面接官の横柄な態度、こちらの話に耳を傾けない一方的な質問、現場の仕事内容について的確に答えられない人事担当者。面接官によって言うことが違い、評価基準がバラバラだと感じる。あるいは、面接は和やかだったが、結果の連絡がいつまで経っても来ない。こうした体験は、「この会社は人を大切にしない」「組織としての一貫性がない」という強い不信感に繋がります。
企業が陥りがちな課題
•面接官の質のバラつき
面接官によって態度や評価基準が異なり、候補者に不公平感を与える。
•魅力付け(アトラクト)の欠如
候補者の志向やキャリアプランに寄り添わず、自社の魅力を一方的に語るだけ。
•選考スピードの遅さ
面接から結果連絡までの期間が長く、候補者の熱意が冷めてしまう。
課題発見のヒント
| 問いかけるべき質問 | 確認すべきデータ・情報 |
| 選考辞退は、どのタイミングで、どのような理由で発生しているか? | 選考フェーズごとの辞退率と、辞退者へのヒアリング結果 |
| 面接の評価は、面接官によって大きくブレていないか? | 同じ候補者に対する複数の面接官の評価シートを比較分析 |
| 候補者からの評判はどうか? | 選考参加者へのアンケート調査、口コミサイトのコメント |
| 選考プロセス全体のリードタイムはどれくらいか? | 応募から内定までの平均日数、各選考間の平均日数 |
選考フェーズは、候補者と企業が初めて「生身の人間」として向き合う重要な機会です。ここでのネガティブな体験は、たとえ内定を出したとしても、承諾をためらわせる十分な理由となります。
ステージ5:内定・承諾フェーズ「最後のひと押し、できていますか?」
厳しい選考を乗り越え、ついに内定の瞬間を迎えた候補者。しかし、企業の採用活動はここで終わりではありません。むしろ、ここからが本番です。候補者は複数の内定を手に、人生の大きな決断を下そうとしています。その背中をそっと、しかし力強く押すための「最後のひと押し」ができているでしょうか。
候補者の体験
内定通知は受け取ったものの、オファー面談では給与や条件の話ばかり。入社後の具体的な業務内容や、期待される役割についての説明は曖昧。入社を決める前に、現場の社員と話す機会もない。内定後、人事からの連絡は途絶え、本当に入社して大丈夫だろうかと不安が募る。こうした「放置」されている感覚は、他社の手厚いフォローと比べられ、内定辞退の大きな要因となります。
企業が陥りがちな課題
・画一的なオファー
候補者の志向や懸念点を無視した、一方的な条件提示。
・内定後のコミュニケーション不足
内定を出した途端に連絡が減り、候補者を不安にさせる。
・入社前の関係構築の欠如
現場社員との交流の機会がなく、入社後のイメージが湧かない。
課題発見のヒント
| 問いかけるべき質問 | 確認すべきデータ・情報 |
| 内定辞退の主な理由は何か? | 内定辞退者へのヒアリング、競合他社の動向分析 |
| オファー面談は、候補者の不安や疑問を解消する場になっているか? | オファー面談の満足度アンケート |
| 内定者フォローのプランは体系的に組まれているか? | 内定承諾率、内定から入社までの期間のコミュニケーション履歴 |
| 現場社員は、内定者フォローに協力的か? | 現場社員へのヒアリング、協力体制の確認 |
内定はゴールではなく、新たな関係のスタートです。候補者が抱える最後の迷いを取り除き、「この会社に決めてよかった」と心から思ってもらうための丁寧なコミュニケーションが、採用成功の最後のワンピースを埋めるのです。
ステージ6:入社後フェーズ「その採用、本当に成功でしたか?」
採用活動の本当のゴールは、「入社」ではありません。「入社した人材が定着し、活躍する」ことです。入社後の体験、特に最初の90日間(オンボーディング期間)の体験が、その後のパフォーマンスとエンゲージメントを大きく左右します。
候補者(新入社員)の体験
期待に胸を膨らませて出社した初日。しかし、PCやアカウントの準備はされておらず、誰に何を聞けばいいのかも分からない。放置され、孤独を感じる。研修は形式的で、実務との繋がりが見えない。上司や同僚とのコミュニケーションも希薄で、組織に馴染めている感覚がない。このような体験は、「この会社、選んで失敗だったかもしれない」という早期離職の引き金となります。
企業が陥りがちな課題
・場当たり的なオンボーディング
体系的な受け入れ計画がなく、現場任せになっている。
・期待値のズレ
面接で聞いていた話と、入社後の実態が異なり、不信感を生む。
・孤立化の放置
新入社員が組織に溶け込めるようなサポート体制が欠けている。
課題発見のヒント
| 問いかけるべき質問 | 確認すべきデータ・情報 |
| 早期離職率(特に入社1年以内)は高いか? | 離職率データ、退職者へのヒアリング |
| 新入社員は、入社後スムーズに立ち上がれているか? | 新入社員への定期的な1on1、エンゲージメントサーベイの結果 |
| オンボーディングプログラムは、効果的に機能しているか? | プログラム参加者へのアンケート、上司へのヒアリング |
| 採用時の魅力付けと、入社後の現実にギャップはないか? | 新入社員と採用担当者、現場マネージャー間での三者面談 |
採用の成功は、入社後の活躍によって初めて証明されます。候補者体験の旅は、入社後も続いています。この最後のステージまで責任を持つことこそが、真の採用力と言えるでしょう。
まとめ:候補者の旅に寄り添い、採用を成功に導く
本記事では、候補者の視点から採用活動を6つのステージに分解し、それぞれの「真実の瞬間」に潜む課題を発見するためのフレームワークを解説しました。
認知:そもそも知られていない、悪い噂が立っている
興味・関心:働く場所としての魅力が伝わっていない
応募:応募プロセスが煩雑で、候補者を追い返している
選考:面接官の対応が悪く、不信感を与えている
内定・承諾:内定後のフォローが手薄で、最後のひと押しができていない
入社後:受け入れ体制が整っておらず、早期離職を招いている
これらの課題は、企業内部の視点だけでは決して見えてきません。候補者の旅路に寄り添い、彼らが何を感じ、何を求めているのかを真摯に理解しようと努めること。その姿勢こそが、あらゆる採用課題の発見と解決に繋がるのです。
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「記事を読んで、自社の課題がどこにあるか、ぼんやりと見えてきた」 「しかし、具体的にどこから手をつければいいのか分からない」
そうお考えの経営者・人事担当者の皆様へ。
今回ご紹介した「候補者体験」の視点に加え、従来の「企業視点」での診断も組み合わせることで、採用課題はより立体的に、そして正確に浮かび上がってきます。
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採用課題を「候補者体験」の質で測る、新たな指標
これまで見てきたように、候補者体験は採用活動のあらゆる側面に影響を及ぼします。では、この目に見えない「体験」の質を、どのように測定し、改善していけばよいのでしょうか。ここでは、候補者体験を定量・定性の両面から評価するための、いくつかの具体的な指標と考え方を紹介します。
定量的に測る:候補者体験のKPI
感覚的な「体験」も、データとして可視化することで、客観的な評価と改善が可能になります。
| 指標(KPI) | 計測方法 | なぜ重要か |
| 応募完了率 | (応募完了数 ÷ 応募開始数)× 100 | 応募フォームの使いやすさ、入力の煩雑さを示す直接的な指標。低い場合は、応募の入り口で機会損失が発生している可能性が高い。 |
| 選考フェーズ別辞退率 | (各フェーズでの辞退者数 ÷ 当該フェーズの候補者数)× 100 | どの選考段階で候補者の熱意が下がっているかを特定できる。特定のフェーズで辞退率が急増している場合、面接官の質や選考内容に問題がある可能性。 |
| 選考リードタイム | 応募から内定までの平均日数、各選考間の平均日数 | 選考スピードを示す指標。他社との競争において、スピードは極めて重要な要素。リードタイムが長いほど、候補者が他社に流れるリスクが高まる。 |
| 内定承諾率 | (内定承諾者数 ÷ 内定者数)× 100 | 企業の最終的な魅力度、オファーの妥当性、内定者フォローの質を示す総合的な成績表。 |
| eNPS (Employee Net Promoter Score) | 選考参加者へのアンケートで「この会社の選考を友人や知人にどの程度勧めたいですか?」と質問 | 候補者が選考プロセス全体をどのように評価したかを測る指標。スコアが低い場合、ネガティブな口コミが広がるリスクがある。 |
これらのKPIを定期的に計測し、時系列での変化や、募集職種ごとの違いを分析することで、改善すべきポイントがより明確になります。
定性的に探る:候補者の「生の声」を集める
データだけでは見えてこない、候補者の感情やインサイトを掴むためには、彼らの「生の声」に耳を傾けることが不可欠です。
選考参加者アンケート
選考の各フェーズ終了後に、匿名のアンケートを実施します。「面接官の態度はどうでしたか?」「選考スピードは適切でしたか?」「当社の魅力は伝わりましたか?」といった具体的な質問を用意し、フリーコメント欄で自由な意見を求めます。
辞退者へのヒアリング
内定辞退者や選考辞退者に対して、可能であれば電話やWeb会議で直接ヒアリングの機会を設けます。辞退の本当の理由、他社と比較して何が劣っていたのか、改善すべき点は何か、といった貴重なフィードバックを得ることができます。
口コミサイトの分析
OpenWorkやGlassdoorなどの口コミサイトには、元社員や選考参加者からの赤裸々な意見が投稿されています。個別のコメントに一喜一憂するのではなく、全体的な傾向として、自社の候補者体験がどのように評価されているかを把握します。
これらの「声」は、時に耳の痛い内容を含むかもしれません。しかし、それこそが自社の弱点を映し出す貴重な鏡であり、真の改善に向けた最大のヒントとなるのです。
候補者体験を向上させるための、組織的な取り組み
候補者体験の向上は、人事部門だけの努力で成し遂げられるものではありません。経営層から現場の社員まで、全社が一丸となって取り組むべき経営課題です。
1. 経営層のコミットメント
まず最も重要なのは、経営層が「候補者体験の重要性」を深く理解し、その向上を全社的な優先課題として位置づけることです。経営トップが自らの言葉で、採用が未来を創る重要な投資であること、そして候補者一人ひとりを尊重し、最高の体験を提供することの重要性を社内に向けて発信し続ける必要があります。採用活動をコストセンターではなく、未来への投資と捉える意識改革が、すべての出発点となります。
2. 採用担当者の役割再定義
採用担当者は、単なる「オペレーター」ではありません。候補者という「顧客」に対して、最高のブランド体験を提供する「マーケター」であり「エバンジェリスト」です。候補者の旅路のあらゆる接点において、企業の顔として、一貫したポジティブなメッセージを発信し、候補者に寄り添い、不安を解消し、魅力を伝えきる。そのためには、採用担当者自身が、自社の事業や文化に深い愛情と誇りを持ち、それを自分の言葉で語れることが不可欠です。
3. 現場社員の巻き込み
候補者が最も信頼するのは、実際に現場で働く社員の「生の声」です。面接官はもちろんのこと、リファラル採用の推薦者、あるいは内定者フォローの面談担当者として、現場社員の協力は欠かせません。彼らが「採用は自分ごとである」と認識し、候補者に対して魅力を語り、誠実に対応してくれるかどうかが、候補者の入社意欲を大きく左右します。
現場社員を巻き込むためには、
・採用活動への貢献を正当に評価する仕組み(インセンティブや人事評価への反映)
・候補者に何をどのように伝えればよいかを学ぶ機会(面接官トレーニングや説明会)
・採用の成功が、自分たちのチームや事業にどのような好影響をもたらすかを共有する場
などを設けることが有効です。
4. 全社で共有する「Candidate-First」の文化
究極的には、候補者体験は、その企業の「文化」そのものを映し出します。日常的に社員同士が互いを尊重し、オープンにコミュニケーションを取り、顧客に対して誠実であろうとする文化が根付いている企業は、特別なことを意識しなくても、自然と候補者に対しても同じように振る舞うことができます。
「候補者を大切にすること」が、特別な採用テクニックではなく、組織のDNAとして組み込まれている状態。それこそが、持続的に採用力を強化し、優秀な人材を惹きつけ続けるための、最も強力な基盤となるのです。
候補者体験の向上は、一朝一夕に実現するものではありません。しかし、候補者一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、組織全体で改善を積み重ねていく地道な努力こそが、企業の未来を創る「採用」という名の競争において、他社には真似できない、確固たる競争優位性を築く唯一の道なのです。
「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe
Crepeでは、「人事が変われば、組織が変わる」というコンセプトのもと、⚫︎各種業界2,000名の人事が在籍。工数・知見を補う「即戦力」レンタルプロ人事マッチングサービス
⚫︎1日2時間〜使えるマネージャークラスのレンタル採用チーム。オンライン採用代行RPOサービス
⚫︎人事にまつわる課題を解決へ導く、伴走型人事コンサルティングサービス
などのサービスを通して、人事課題を解決する支援を行っています。