採用業務委託(RPO)とフリーランス人事(複業人事)の違いとは?

最終更新日:2025年9月3日

人材不足が深刻化する現代において、企業の人事業務はますます複雑化し、専門性が求められるようになっています。限られた人事リソースの中で、質の高い人事運営を実現するために、多くの企業が外部の専門人材やサービスの活用を検討しています。

しかし、「採用業務委託(RPO)」と「フリーランス人事(複業人事)」という2つの選択肢があることを知っていても、それぞれの違いや自社にとって最適な選択肢が何かを明確に理解している人事責任者や経営者は多くありません。

本記事では、採用業務委託とフリーランス人事の基本的な違いから、それぞれのメリット・デメリット、コスト比較、そして状況に応じた使い分けのポイントまで、人事責任者と経営者が知っておくべき情報を包括的に解説します。

目次

採用業務委託と人事復業者の基本的な違い

採用業務委託(RPO)とは?特徴とメリット

採用業務委託(RPO:Recruitment Process Outsourcing)とは、企業の採用業務を外部の専門業者に委託するサービスです。特に大量採用が必要な企業において、膨大な採用業務を効率的に処理することに特化しています。

採用業務委託(RPO)の主な特徴

採用業務委託では、求人票の作成から応募者管理、書類選考、面接日程調整、内定者フォローまで、採用プロセス全般の実務を外部に任せることができます。特に大量の応募者を効率的に処理し、短期間で多数の採用を実現することに長けています。

採用業務委託(RPO)の主なメリット

大量採用業務の効率的な処理
数十名から数百名規模の採用において、膨大な応募者の管理や選考プロセスを専門チームが効率的に処理します。

採用業務に特化した専門性
採用プロセスの最適化、効果的な求人媒体の選定、応募者対応のノウハウなど、採用に特化した専門知識を活用できます。

短期間での大量採用の実現
事業拡大や新規事業立ち上げなど、短期間で多数の人材が必要な場合に、迅速な採用活動を展開できます。

採用担当者の負荷軽減
煩雑な採用事務作業を外部に委託することで、社内の採用担当者はより戦略的な業務に集中できます。

フリーランス人事(複業人事)とは?特徴とメリット

フリーランス人事とは、人事の専門知識と経験を持つプロフェッショナルが、企業の一社員に近い形で人事業務全般を支援するサービスです。採用業務に限らず、人事制度設計、労務管理、人材育成など、幅広い人事業務をカバーします。

複業人事(フリーランス人事)働き方の種類

フリーランス人事の主な特徴

フリーランス人事は、企業の内部に入り込み、一社員としての動きに近い形で業務を遂行します。採用業務だけでなく、人事制度の構築、評価制度の設計、労務管理、研修企画など、人事業務全般にわたって支援を提供します。

フリーランス人事の主なメリット

人事業務全般への包括的な支援
採用だけでなく、人事制度設計、労務管理、人材育成、組織開発など、人事業務のあらゆる領域をカバーします。

メンバーの一員としての深い関与
外部業者としてではなく、社内の一員として業務に取り組むため、企業文化や組織の実情を深く理解した支援が可能です。

柔軟で継続的なサポート
企業の成長段階や課題の変化に応じて、必要な支援内容を柔軟に調整できます。

人事ノウハウの社内蓄積
復業者との協働を通じて、社内の人事担当者が実践的なノウハウを習得し、将来的な内製化につなげることができます。

両者の違いを比較表で整理

項目採用業務委託(RPO)フリーランス人事(複業人事)
主な目的大量採用業務の効率的な処理人事業務全般の包括的な支援
業務範囲採用プロセスに特化人事業務全般(採用・制度設計・労務・育成等)
関与の仕方外部業者としての業務代行一社員に近い形での業務遂行
適用規模大量採用(数十名〜数百名)企業規模問わず
期間プロジェクト型(短期〜中期)継続型(中期〜長期)
効果の現れ方採用数の確保に即効性人事機能全体の段階的強化
コスト構造月額固定 or 成果報酬月額契約 or 時間単価

採用業務委託を選ぶべき企業の特徴

大量採用が必要な企業

採用業務委託(RPO)が最も威力を発揮するのは、短期間で大量の人材を採用する必要がある企業です。事業の急拡大、新規事業の立ち上げ、季節性のある事業での繁忙期対応など、数十名から数百名規模の採用が必要な場合に最適です。

具体的な適用場面例

・新規店舗の大量出店に伴う店舗スタッフの一括採用

・IT企業の急成長期におけるエンジニアの大量採用

・製造業の生産拡大に伴う工場作業員の採用

・コールセンターの新設に伴うオペレーターの大量採用

このような場面では、社内の人事担当者だけでは処理しきれない膨大な応募者管理や選考プロセスを、専門チームが効率的に代行します。

採用業務の処理能力が不足している企業

人事部門の人員が限られており、通常業務と並行して大量の採用業務を処理することが困難な企業にとって、採用業務委託は強力なソリューションとなります。

よくある課題

・人事担当者が1〜2名しかおらず、採用業務に十分な時間を割けない

・応募者数が予想を上回り、選考プロセスが滞っている

・採用業務の経験が浅く、効率的な処理方法がわからない

・他の人事業務(労務管理、給与計算等)との兼任で採用に集中できない

採用業務委託により、これらの処理能力不足を補完し、採用目標の達成と既存業務の継続を両立できます。

採用プロセスの標準化と効率化を求める企業

採用業務委託業者は、多数の企業での採用支援経験を通じて蓄積したベストプラクティスを持っています。自社の採用プロセスを標準化し、効率化を図りたい企業にとって、これらのノウハウは貴重な資産となります。

期待できる効果

・応募者管理システムの導入による業務効率化

・選考基準の明確化と選考プロセスの標準化

・効果的な求人媒体の選定と運用

・応募者対応の品質向上

フリーランス人事を選ぶべき企業の特徴

人事のポジションに欠員が生じた企業

人事部長や人事マネージャーなどの重要なポジションに欠員が生じ、急遽人事機能を補完する必要がある企業にとって、フリーランス人事は理想的なソリューションです。正社員の採用には時間がかかるため、その間の人事機能を維持するために活用されます。

具体的な活用場面

・人事部長の急な退職に伴う後任確保までの期間

・人事担当者の産休・育休期間中の代替要員

・組織再編に伴う人事体制の見直し期間

・新任の人事責任者のサポート役

復業人事は即戦力として機能し、企業の人事業務を滞りなく継続させることができます。

人事部を新たに立ち上げる企業

創業期のスタートアップや、これまで人事部門がなかった中小企業が人事部を新設する際、フリーランス人事のノウハウは不可欠です。人事制度の設計から運用まで、ゼロから人事機能を構築する支援を受けることができます。

人事部立ち上げ時の支援内容

・人事制度の基本設計(就業規則、給与制度、評価制度)

・採用プロセスの構築

・労務管理体制の整備

・人事システムの導入支援

・社内研修制度の企画・実施

フリーランス人事との協働を通じて、社内に人事ノウハウを蓄積し、将来的な内製化の基盤を築くことができます。

人事業務全般の専門性向上を図りたい企業

人事担当者はいるものの、専門性や経験が不足しており、人事業務全般のレベルアップを図りたい企業にとって、フリーランス人事は優秀なメンター役となります。

専門性向上の対象領域

・戦略的な人事企画の立案

・労働法に準拠した労務管理

・効果的な人材育成プログラムの設計

・組織開発と企業文化の醸成

・人事データ分析と改善施策の立案

経験豊富なフリーランス人事と協働することで、社内の人事担当者のスキルアップと組織全体の人事機能強化を同時に実現できます。

採用業務委託とフリーランス人事の費用感

採用業務委託の費用感

採用業務委託のコスト構造は、主に月額固定型と成果報酬型の2つに分類されます。大量採用の場合、月額固定型が一般的です。

月額固定型の費用相場

新卒採用(大量採用):月額30万円〜100万円

中途採用(大量採用):月額50万円〜150万円

アルバイト・パート採用:月額20万円〜80万円

成果報酬型の費用相場

採用成功1名あたり:30万円〜80万円(職種・レベルにより変動)

フリーランス人事の費用感

フリーランス人事のコスト構造は、主に月額契約型と時間単価型があります。継続的な支援を前提とした月額契約が一般的です。

月額契約型の費用相場

フルタイム相当(週5日):月額60万円〜120万円

パートタイム(週2〜3日):月額30万円〜70万円

スポット相談(月数回):月額10万円〜30万円

時間単価型の費用相場

シニアレベル:時給8,000円〜15,000円

マネージャーレベル:時給5,000円〜10,000円

ミドルレベル:時給3,500円〜5,000円

ジュニアレベル:時給2,500円〜3,000円

成功事例から学ぶ活用パターン

採用業務委託(RPO)で成功した企業事例

フリーランス人事で成功した企業事例

導入時の注意点とリスク回避策

採用業務委託導入時の注意点

企業文化の伝達不足リスク

採用業務委託では、外部業者が企業の代わりに候補者と接触するため、企業文化や価値観の伝達が不十分になるリスクがあります。

リスク回避策

・企業文化を体現する社員の面接参加

・企業紹介動画や資料の充実

・定期的な情報共有会議の開催

大量処理による選考品質の低下

効率性を重視するあまり、候補者一人ひとりへの対応が機械的になり、優秀な人材を見逃すリスクがあります。

リスク回避策

・選考基準の明確化と共有

・重要なポジションでは社内担当者も選考に参加

・定期的な選考品質のレビュー

内製化能力の低下

採用業務を完全に外部依存すると、社内の採用ノウハウが蓄積されないリスクがあります。

リスク回避策

・社内担当者の同行による学習機会の創出

・業務プロセスの文書化と共有

・段階的な内製化計画の策定

フリーランス人事導入時の注意点

情報セキュリティリスク

フリーランス人事は機密性の高い人事情報にアクセスするため、適切なセキュリティ対策が必要です。

リスク回避策

・秘密保持契約(NDA)の締結

・アクセス権限の適切な管理

・セキュアな情報共有システムの利用

社内との調整不足による混乱

フリーランス人事が提案する改革案が社内の既存システムや慣習と衝突するリスクがあります。

リスク回避策

・事前の社内説明と合意形成

・社内キーパーソンとの密な連携

・変更管理プロセスの確立

継続性の確保困難

個人との契約のため、フリーランス人事の都合により継続的な支援が受けられなくなるリスクがあります。

リスク回避策

・知識の文書化と社内への移転

・バックアップ体制の整備

・長期契約の検討

状況別の使い分けガイド

企業規模別の選択指針

◾️スタートアップ・小規模企業(従業員数1〜50名)

採用業務委託が適している場合

・創業期で急速な人員拡大が必要(10名以上の一括採用)

・人事担当者が不在で採用業務を処理できない

・特定の専門職の大量採用が必要

フリーランス人事が適している場合

・人事制度の基盤構築が必要

・人事担当者の欠員補充が急務

・経営陣の人事マネジメントスキル向上が必要

◾️中堅企業(従業員数51〜300名)

採用業務委託が適している場合

・事業拡大期で大量採用が必要(30名以上)

・新規事業立ち上げに伴う専門人材の大量確保

・季節性のある事業での繁忙期採用

フリーランス人事が適している場合

・人事部長等の重要ポジションの欠員補充

・人事制度の見直しや高度化が必要

・組織変革プロジェクトの推進

◾️大企業(従業員数301名以上)

採用業務委託が適している場合

・特定部門での大量採用(50名以上)

・新規事業や海外展開に伴う大量採用

・既存人事部門の業務負荷軽減

フリーランス人事が適している場合

・人事戦略の高度化や革新

・特定領域の専門性強化

・新しい人事制度の導入支援

業務内容別の選択指針

採用業務が中心の場合

大量採用(20名以上)→ 採用業務委託

少数精鋭採用(10名未満)→フリーランス人事

人事制度構築が中心の場合

制度設計から運用まで → フリーランス人事

緊急性の観点

即座に大量採用が必要 → 採用業務委託

人事機能の欠員補充が急務 → フリーランス人事

サービス導入から運用までのステップ

採用業務委託の導入プロセス

ステップ1:採用計画の策定と要件定義

採用業務委託の導入前に、明確な採用計画と委託要件を定義することが重要です。

実施内容

・採用目標人数と期間の設定

・職種別の採用要件定義

・予算の設定

・委託範囲の明確化

・成功指標(KPI)の設定

重要ポイント

・採用人数が20名以上の場合に委託効果が高い

・職種や勤務地が多岐にわたる場合は複雑性を考慮

・内製で継続したい業務の明確化

ステップ2:業者選定と契約

採用業務委託業者の選定は、プロジェクト成功の鍵となります。

選定基準

・同業界・同規模での大量採用実績

・対象職種の採用ノウハウ

・チーム体制と対応力

・コストパフォーマンス

契約時の注意点

・業務範囲の詳細な定義

・品質基準と改善プロセスの設定

・情報セキュリティ対策の確認

・緊急時の対応体制

ステップ3:キックオフと運用開始

スムーズな業務開始のための準備を行います。

実施内容

・キックオフミーティングの開催

・企業情報・採用要件の詳細共有

・採用プロセスの設計と確認

・進捗管理システムの構築

・初期運用テストの実施

ステップ4:運用管理と改善(継続)

定期的なモニタリングと改善を行います。

管理項目

・応募者数と質の推移

・選考通過率と内定承諾率

・採用スケジュールの進捗

・候補者満足度

・コスト効率性

フリーランス人事の導入プロセス

ステップ1:人事課題の整理と要件定義

人事復業者の導入では、包括的な人事課題の把握が重要です。

実施内容

・現在の人事体制と業務の棚卸し

・人事課題の洗い出しと優先順位付け

・必要なスキルと経験の明確化

・勤務条件と契約形態の検討

・期待する成果の設定

分析観点

・人事業務の網羅性(採用・労務・育成・制度等)

・緊急性と重要性のマトリックス

・内製化と外部依存の方針

・予算制約と期間設定

ステップ2:フリーランス人事の選定とマッチング

企業の課題に最適な専門性を持つ人事復業者を選定します。

選定基準

•対象業務領域での豊富な経験

•同業界・同規模企業での実績

•課題解決アプローチの妥当性

•コミュニケーション能力

•長期的なコミット意向

面接・選考プロセス

・書類選考(経歴・実績の確認)

・面談(課題認識・解決策の議論)

・実務テスト(必要に応じて)

・リファレンスチェック

・条件交渉と契約締結

ステップ3:オンボーディングと業務開始

フリーランス人事が効果的に業務を開始できるよう、適切なオンボーディングを実施します。

実施内容

・会社概要・組織体制の説明

・現状の人事制度・業務フローの共有

・社内システムへのアクセス権付与

・関係者への紹介と役割分担の明確化

・初期業務計画の策定

ステップ4:継続的な協働と成果評価

定期的な振り返りと改善を通じて、効果的な協働関係を維持します。

管理項目

・業務進捗と成果の評価

・社内関係者からのフィードバック

・課題の早期発見と対応

・知識移転の進捗

・契約継続・終了の判断

人事課題を解決する専門サービス

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まとめ

採用業務委託(RPO)とフリーランス人事は、それぞれ異なる特徴と強みを持つ人事支援サービスです。どちらを選択するかは、企業の現状、課題、目標によって決まります。

人材不足が深刻化する現代において、外部の専門人材やサービスを戦略的に活用することは、企業の競争力向上に不可欠です。本記事で紹介した知識とノウハウを活用し、自社に最適な人事支援サービスを選択することで、人事運営の効率化と組織力の強化を実現してください。

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe
Crepeでは、「人事が変われば、組織が変わる」というコンセプトのもと、

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