転職フェアとは?|企業側のメリット・デメリットや出展のポイントなど徹底解説

最終更新日:2025年7月28日

人材獲得競争が激化する現代において、優秀な人材の確保は企業の成長を左右する重要な要素となっています。特に中途採用においては、即戦力となる人材を効率的に採用することが求められており、従来の求人広告や人材紹介だけでは十分な成果を得られないケースが増加しています。

そのような状況の中で注目を集めているのが「転職フェア」です。転職フェアは、企業と求職者が直接対面でコミュニケーションを取ることができる貴重な機会であり、短期間で多くの候補者と接点を持つことができる効率的な採用手法として、多くの企業が活用しています。

本記事では、人事責任者や経営者の皆様に向けて、転職フェアの基本的な仕組みから出展のメリット・デメリット、成功のためのポイント、具体的な成功事例まで、転職フェアを活用した採用活動について徹底的に解説いたします。

目次

転職フェアとは?基本的な仕組みと特徴

転職フェアの定義と概要

転職フェアとは、複数の企業が一つの会場に集まり、転職を希望する求職者と直接面談や説明を行うイベントです。合同会社説明会や転職イベントとも呼ばれ、中途採用における重要な採用手法の一つとして位置づけられています。

転職フェアの最大の特徴は、企業と求職者が直接対面でコミュニケーションを取ることができる点にあります。通常の求人広告では文字情報でしか伝えられない企業の魅力や職場の雰囲気を、実際の社員との対話を通じて伝えることができるため、より深い相互理解を促進することが可能です。

一般的な転職フェアでは、各企業が専用のブースを設置し、そこで求職者との個別面談を実施します。面談時間は通常15分から30分程度で設定され、企業側は自社の事業内容や求人情報、職場環境などを説明し、求職者側は疑問点や関心事項について質問することができます。

近年では、従来の対面形式に加えて、オンライン転職フェアも開催されるようになっています。Web会議システムを活用して企業と求職者が面談を行い、地理的な制約を受けることなく参加できるメリットがあります。

転職フェアの種類と特徴

転職フェアは、その規模や対象者によっていくつかの種類に分類されます。

総合型フェアは、業界や職種を問わず様々な企業が出展する大規模な転職フェアです。マイナビ転職フェアやdoda転職フェアなどが代表的で、出展費用は40万円から200万円程度となっています。

特化型フェアは、特定の属性や条件に焦点を当てた転職フェアです。20代の若手層を対象とした「Re就活転職博」、女性の転職に特化した「女の転職type転職フェア」などがあります。自社の採用ターゲットと合致する求職者が集まりやすいため、効率的な採用活動を実現できます。

業界・職種特化型フェアは、IT業界、金融業界、医療・介護業界など、特定の業界や職種に特化した転職フェアです。専門性の高い人材を求める企業にとって、業界知識や専門スキルを持つ求職者と効率的に出会える貴重な機会となります。

転職フェアの市場規模と動向

転職市場における転職フェアの位置づけは、年々重要性を増しています。中途採用を実施している企業の約30%が転職フェアを活用しており、特に従業員数100名以上の企業では活用率が40%を超えています。転職フェア市場全体の規模は年間約200億円に達し、毎年5%程度の成長を続けています。

転職フェアの来場者特徴を見ると、約50%の来場者が3ヵ月以内の転職を希望しており、転職に対する意欲が高い求職者が多く参加しています。また、約50%の来場者がはじめての転職であり、転職活動に関する情報収集を目的として参加するケースも多く見られます。年齢層については、20代から30代前半の若手・中堅層が全体の約70%を占めており、即戦力として期待できる人材が多く参加しています。

職種別の参加状況では、営業職が最も多く全体の約25%を占め、次いでエンジニア職が20%、事務職が15%となっています。業界別では、IT・通信業界の求職者が最も多く、製造業、サービス業が続いています。

近年の転職フェアの動向として、デジタル化の進展が挙げられます。新型コロナウイルス感染症の影響により、オンライン転職フェアが急速に普及し、現在では多くの主催者がオンライン形式での開催を定期的に実施しています。オンライン転職フェアでは、地理的な制約がなくなることで、より広範囲の求職者にアプローチできるメリットがある一方で、対面でのコミュニケーションによる魅力伝達が難しいという課題もあります。

また、転職フェアの開催頻度も増加傾向にあり、主要都市では月に複数回の転職フェアが開催されています。これにより、企業側は自社の採用スケジュールに合わせて最適なタイミングで出展することが可能になっています。

企業が転職フェアに出展するメリット

直接的なコミュニケーションによる効果

転職フェア最大のメリットは、企業と求職者が直接対面でコミュニケーションを取ることができる点です。求人広告や人材紹介では、媒体やコーディネーターを介した間接的な情報伝達となりますが、転職フェアでは採用担当者や現場社員が直接求職者と対話することで、文字情報だけでは伝えきれない企業の魅力を効果的にアピールできます。

直接的なコミュニケーションによって、求職者が抱く疑問や不安に対してリアルタイムで回答することができます。また、対話を通じて求職者の人間性や価値観、コミュニケーション能力を直接確認でき、書類選考だけでは判断できない人物像を把握することが可能です。

効率的な採用活動の実現

転職フェアは、短期間で多くの求職者と接点を持つことができる非常に効率的な採用手法です。1日の出展で数十名の求職者と面談することが可能で、ある人材サービス企業では転職フェアに出展した結果、求人サイトでの応募が10名以下だったところ、転職フェアでは61名の求職者と面談することができました。

転職フェアのもう一つの特徴は、その場で選考を実施できることです。面談の結果、自社の求める人材と判断した場合、その場で次の選考ステップに進むことを提案したり、場合によっては即日で内定を出すことも可能です。

企業ブランディング効果

転職フェアへの出展は、採用活動だけでなく企業ブランディングの観点からも大きなメリットをもたらします。特に知名度の低い中小企業やベンチャー企業にとって、転職フェアは自社の存在を多くの求職者に知ってもらう貴重な機会となります。

魅力的なブースデザインや印象的な展示物は、求職者の記憶に残りやすく、たとえその場で採用に至らなかったとしても、将来的な転職検討時に候補企業として想起される可能性が高まります。

コストパフォーマンスの観点

転職フェアの出展費用は、一般的に75万円から160万円程度となっていますが、他の採用手法と比較した場合のコストパフォーマンスは非常に優秀です。人材紹介を利用した場合、1名の採用につき年収の30%から35%程度の紹介手数料が発生しますが、転職フェアでは1回の出展で複数名の採用が可能であり、1名あたりの採用コストを大幅に削減できます。

転職フェア出展時の注意点とデメリット

人的リソースの負担

転職フェアへの出展は相当な人的リソースの負担を伴います。転職フェアは通常、土日祝日に開催されることが多く、採用担当者だけでなく現場社員も休日出勤が必要となる場合があります。当日運営には最低でも4名前後の人員確保が必要で、事前準備にも相当な工数が発生します。

採用ターゲット以外への対応

転職フェアには様々な業界、職種、年齢層の求職者が参加するため、自社の採用ターゲットに該当しない求職者がブースを訪れることも頻繁にあります。これらの求職者に対しても丁寧な対応を行う必要があるため、本来の採用ターゲットとの面談時間が制限される可能性があります。

転職フェア出展を成功させるポイント

事前準備のポイント

転職フェアの成功は、事前準備の質によって大きく左右されます。まず最も重要なのは、明確な目標設定とKPIの設定です。「営業職3名の採用」「面談数50名以上」「次回選考進出者20名以上」といった具体的で測定可能な目標を設定することが必要です。

採用ターゲットの明確化も欠かせません。求める人材の年齢層、経験年数、スキルレベル、志向性などを詳細に定義し、参加スタッフ全員が共通認識を持てるようにしておくことが重要です。また、採用ターゲットに合致する求職者を効率的に見極めるための質問項目や評価基準を事前に準備しておくことで、当日の面談をより効果的に進めることができます。

必要な資料とツールの準備も成功の鍵となります。企業パンフレット、求人票、職場環境を紹介する写真や動画、社員インタビュー資料など、自社の魅力を多角的に伝えられる資料を用意しましょう。また、求職者の連絡先を効率的に収集するためのエントリーシートや、面談内容を記録するための評価シートも事前に準備しておく必要があります。

転職フェアの選定も重要な事前準備の一つです。自社の採用ターゲットが多く参加する転職フェアを選択することで、効率的な採用活動を実現できます。過去の来場者データや参加企業の傾向を分析し、最適な転職フェアを選定しましょう。

ブース設計と装飾のコツ

転職フェア会場では多くの企業が出展しているため、求職者の注意を引くブースデザインが不可欠です。遠くからでも自社ブースを認識できるよう、企業ロゴやキャッチフレーズを大きく表示し、統一感のあるカラーリングでブース全体をデザインすることが重要です。

効果的なブース装飾のポイントとして、自社の商品やサービスを具体的に紹介するパネルや展示物を設置することが挙げられます。特にBtoB企業の場合、一般的には知名度が低い場合が多いため、「どのような事業を行っている会社なのか」を視覚的に理解できる展示を行うことで、求職者の関心を引くことができます。

職場環境や社員の様子を伝える写真の展示も効果的です。オフィスの様子、社員旅行やイベントの写真、チームワークを感じられる業務風景などを展示することで、求職者に「働きやすそうな会社」という印象を与えることができます。実際の成功事例では、社員同士の飲み会や旅行の写真をポスターにして掲載することで、活気がある会社・楽しそうな会社というイメージを効果的に伝えた企業もあります。

ブースのレイアウトは、求職者が気軽に立ち寄りやすい開放的な設計にすることが重要です。閉鎖的な印象を与えるレイアウトは、求職者の足を遠ざける原因となります。また、面談スペースは適度なプライバシーを確保しつつ、圧迫感を与えないよう配慮する必要があります。

配布資料のデザインにも注意を払いましょう。他社の資料に埋もれないよう、オリジナリティのあるデザインや、ブース装飾と連動したデザインにすることで、求職者の記憶に残りやすくなります。また、QRコードを活用して詳細情報にアクセスできるようにするなど、デジタル技術を活用した工夫も効果的です。

当日の運営ノウハウ

転職フェア当日の運営において最も重要なのは、積極的な呼び込み活動です。ブースで待っているだけでは、多くの求職者との接点を持つことはできません。通路を歩く求職者に対して積極的に声をかけ、自社ブースへの誘導を行うことが必要です。

効果的な呼び込みのポイントは、求職者の属性を瞬時に判断し、適切なアプローチを行うことです。年齢層、服装、持参している資料などから求職者の志向性を推測し、それに合わせたトークで関心を引くことが重要です。例えば、若手層には成長機会やキャリアアップの可能性を、経験豊富な層には専門性を活かせる環境や裁量権の大きさをアピールするなど、ターゲットに応じたアプローチを行いましょう。

面談・面接の進め方も成功の鍵となります。限られた時間の中で効率的に情報交換を行うため、事前に面談の流れを設計しておくことが重要です。一般的には、自己紹介(2分)、企業説明(5分)、求職者からの質疑応答(5分)、求職者の経験・志向の確認(3分)といった流れで進めることが推奨されます。

求職者の見極めポイントとしては、転職理由の妥当性、自社への志望度、コミュニケーション能力、専門スキルのレベルなどを短時間で評価する必要があります。事前に準備した質問項目を活用し、効率的に求職者の適性を判断しましょう。また、面談中の求職者の反応や質問内容から、自社への関心度を測ることも重要です。

参加スタッフの選定と役割分担

転職フェアの成功には、適切なスタッフの選定と役割分担が不可欠です。採用ターゲットに近い年齢の社員を参加させることで、求職者との親近感を醸成できます。配属予定先の部署の社員や中途採用で入社した社員の参加も効果的です。

フォローアップの重要性

転職フェアの成果を最大化するためには、当日の活動だけでなく、その後のフォローアップが極めて重要です。可能な限り当日中に次のステップを設定し、転職フェア当日に次のステップを設定できなかった求職者に対しては、可能な限り早期に連絡を取ることが必要です。

転職フェアの費用と選び方

出展費用の相場と内訳

転職フェアの出展費用は、開催地域、会場規模、出展日数、ブースサイズなどによって大きく変動しますが、一般的な相場は75万円から160万円程度です。主要な転職フェアの費用相場は以下の通りです。

・マイナビ転職フェア:40万円〜130万円

・doda転職フェア:50万円〜210万円

・転職博:40万円〜200万円

・女の転職type転職フェア:85万円〜150万円

転職フェアの選定基準

自社にとって最適な転職フェアを選定するためには、自社の採用ターゲットとの適合性が最も重要な基準となります。20代の若手層を採用したい場合は「Re就活転職博」、30代以上の経験豊富な人材を求める場合は「doda転職フェア」や「マイナビ転職フェア」が適しています。

費用対効果を高める方法

転職フェアの費用対効果を最大化するためには、適切な転職フェアの選択、複数回の出展による効果、他の採用手法との組み合わせが重要です。また、転職フェア出展の効果測定を行い、改善点を特定することで、次回出展時の成果向上につなげることができます。

転職フェア出展の成功事例

中小企業の成功事例

従業員数48名の人材サービス企業では、営業職5名の緊急採用が必要となりましたが、大手求人サイトでは応募者が10名以下という状況でした。「Re就活転職博」に出展した結果、以下の成果を実現しました。

・転職フェアでの着座数:61名

・面談実施:42名

・二次選考率:70%以上

・最終採用:5名(正社員4名・契約社員1名)

・1名あたりの採用コスト:約10万円

成功要因は、呼び込みスタッフを全員20代に限定し、カジュアルな服装で親しみやすさを演出したこと、社員旅行や飲み会の写真をポスターに掲載して活気ある企業イメージを創出したことでした。

業界別の活用事例

IT業界では、転職フェアのブースにプログラミング体験コーナーを設置し、求職者に実際のコーディング作業を体験してもらう取り組みが効果的です。

製造業では、転職フェアで工場見学ツアーの案内を行い、実際の製造現場を見学してもらうことで、求職者の入社意欲向上と内定承諾率の向上を実現しています。

サービス業では、転職フェアのブースで自社サービスの体験機会を提供し、求職者に企業の商品に対するこだわりや品質管理への姿勢を実感してもらっています。

転職フェア出展の今後の展望

デジタル化の進展

転職フェア業界は現在、急速なデジタル化の波に直面しています。オンライン転職フェアの普及により、地理的な制約を超えて全国の求職者にアプローチできるようになりました。また、ハイブリッド開催では、オンラインでの初回面談後、関心度の高い求職者に対して対面での詳細面談を提案するなど、両形式のメリットを組み合わせたアプローチが可能になっています。

VR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術を活用した転職フェアも実験的に開催されており、より革新的な企業アピールが可能になっています。

採用手法としての進化

AI技術を活用した求職者マッチングシステムにより、企業の求める人材と求職者の希望条件を高精度でマッチングし、より効率的な面談を実現する取り組みが始まっています。また、過去の転職フェアでの面談データ、採用実績、入社後のパフォーマンスデータなどを統合的に分析することで、より効果的な採用戦略を策定できるようになります。

まとめ

転職フェアは、現代の人材獲得競争において企業が優秀な人材を効率的に採用するための重要な手法として確立されています。転職フェアは単なる採用イベントではなく、企業ブランディング、直接的なコミュニケーション、効率的な選考プロセスの実現など、多面的な価値を提供する戦略的な採用ツールです。

転職フェア出展の成功には、事前の綿密な準備、効果的なブース設計、当日の戦略的な運営、そして継続的なフォローアップが不可欠です。特に重要なのは、自社の採用ターゲットを明確に定義し、そのターゲットが多く参加する転職フェアを選択することです。

費用対効果の観点からも、転職フェアは他の採用手法と比較して優れた投資効率を示しています。1回の出展で複数名の採用が可能であり、1名あたりの採用コストを大幅に削減できる可能性があります。

人事責任者や経営者の皆様には、転職フェアを単発のイベントとして捉えるのではなく、継続的な採用戦略の重要な構成要素として位置づけることをお勧めします。定期的な出展により企業認知度を向上させ、採用ノウハウを蓄積し、長期的な採用成果の向上を実現することが可能です。

優秀な人材の確保が企業の成長を左右する現代において、転職フェアは企業の未来を支える重要な投資です。本記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ転職フェアを活用した効果的な採用活動を実践していただければと思います。

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