先日Findyさんが「エンジニア採用の現状および今後の意向調査結果」という資料をお出ししており、その中で「ユーザーが働いてみたい企業20選」というページがありました。
大体は採用強者であり、人事であれば聞いたことはある会社が多くランクインしておりましたが、せっかくなので多くの会社について調べていてとある共通点があったのでそれについてまとめてみたいと思います!
ということで今回のお題は
【エンジニアが求める開発環境と市場価値の関係性】です
※ちなみにFindyさんの資料はベンチマークしている企業などが生々しくてすごく面白かったので、ぜひご覧ください!
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目次
1.共通点
再度画像を掲載しますので、改めて企業名を確認いただきたいです。
ここから魅力のベクトルが違う外資を除くと下記のようなラインナップになります。
atama plus
エムスリー
サイバーエージェント
サイボウズ
SmartHR
ZOZO
ディー・エヌ・エー
10X
任天堂
マネーフォワード
メルカリ
ヤフー
Ubie
ゆめみ
LINE
LayerX
五十音順
名だたる企業が並んでますね。
任天堂さんだけ魅力が違う気がしますけど、会社の規模が大きい小さいは関係なさそうですね。
これらの会社の共通点は下記になります。
1)自社開発or働きやすい労働環境を提供している
2)採用や技術に特化したメディアを持っている
3)開発環境についてこと細かく記載があり、モダンである
1)自社開発or働きやすい労働環境を提供している
やはり自社開発は人気ですね。
それに働きやすい労働環境を提供することも大事だというのがよくわかります。これはなぜを解説する必要もないと思いますので、省きます!
2)採用や技術に特化したメディアを持っている
何度か記事でも取り上げてきましたが、エンジニア採用では情報発信が非常にトレンドとなっております。ですが、現場への多大な負荷がかかることからなかなか取り組めない会社が多いのも事実です。しかも成果が実感できるまですごく時間がかかるため、短期的に成果を上げたいと考えてしまう会社は始めても長続きしないです。
想像ですが、ここにある企業は経営陣が経営課題としてエンジニア採用を掲げ、旗振り役となっているのではないかと思います。
長年コツコツと積み上げてきた差が見えるようになったのではないかと思います。
3)開発環境についてこと細かく記載があり、モダンである
※先に一言だけ触れたいのですが、大まかには全ての会社を調べましたが、全ての会社の全てのエンジニアポジションの求人内容・技術内容を確認したわけではないので、求人内容によってはレガシーな環境での開発もあるかもしれません。
自社開発の会社がモダンを作っていくイメージもあるので、これが採用に直結するかについては絶対は言えませんが、採用できない会社は知っておいても損はないと思いましたので、取り上げております。
この開発環境ってなかなか取り上げられることがないので、深堀を次章からしていきたいと思います。
2.開発環境のモダンとレガシーとは
人事の皆さんはエンジニア採用がミッションになった時に求人票などを作成するために、自社の開発環境を現場にお聞きしたりすると思います。
その開発環境が採用において判断基準の1つになっている可能性について、検討したことはありますでしょうか?
ほかの職種でも考えてみたのですが、これはエンジニア特有の文化かもしれないと思いました。
簡潔に言うと「将来的な錯覚資産とキャリアの選択肢の広げやすさ」に影響を及ぼすのだと思います。
モダンとレガシーな見分け方
大前提として見分けられないといけませんよね!
正直見分け方は一概に言えないので、難しいのですが、モダンな環境をざっくりまとめてみましたので、以下のようなポイントを確認してみてください。
・サーバーレスでクラウドサービスを使用している
・CI/CDを利用してプロセスの自動化をしている
・マイクロサービスアーキテクチャで個々のサービスをAPI連携させている
・COBOLを使っていない
最後のは冗談ですが、このような点を自社の開発環境に照らし合わせてみてください。
当てはまっていればモダンな環境であると言ってよいかと思います。
錯覚資産
ここでは、転職市場においてより採用する側が魅力的だと錯覚するキャリアを錯覚資産と定義します。
他の職種代表として人事と比べながら例えてみますが、
A)銀行で人事3年経験
B)ITベンチャー企業で人事3年経験
錯覚資産なので、仕事の功績や中身は関係なく判断すると、Aのほうがすごく見えますよね?さらに転職する際に、おそらくAのほうが受かりやすい気がします。
これは人事の方ならなんとなく理解いただけるのかなと思います。
ではエンジニアではいかがでしょうか。
C)銀行でエンジニア3年経験
D)ITベンチャー企業でエンジニア3年経験
これだといかがでしょうか?
エンジニアとして転職するなら錯覚資産はどっこいどっこいになると思います。
それでは少し条件を変えて、BとDのITベンチャー企業をITメガベンチャー企業にしましょう。
こうするとAとBは転職先次第で錯覚資産に影響されると思います。
ですが、CとDについては転職先に関係なく錯覚資産は確実にDが高くなると思いませんか?
その錯覚における理由は後述できればと思いますが、事実先の働いてみたい企業ランキングにメガベンチャーは多くランクインしていますが、銀行系は一切入っていませんよね。
キャリアの選択肢の広げやすさ
次にキャリアの選択肢の広げやすさです。
昨今は人生100年時代とも言われ、少なからず将来を考えている方は多いと思います。
年収やリモートワークなどの働き方などだけでなく、転職や副業だけでなくフリーランスなどの雇用形態まで多様化しております。
それではどうしたらキャリアの選択肢を広げることができるかについて考えていきましょう。
すごく重要なポイントして「トレンドを押さえることができるか」という点は大事だと考えています。
またまた人事で例えると、
・採用広報
・採用CX
・人的資本の開示
・ジョブ型雇用
・外部人材活用
この辺が最近のトレンドでしょうか?
実際に求められているのは事実だと思いますが、求められるのはこれだけではないですよね。
変わらず求められ続けるスキルがあります。
・採用戦略の設計
・エンジニア採用
・マネジメント
・制度設計
・人材育成
・労務管理
などがあります。
人事のトレンドは「変わらず求められ続けるスキル」に+αの要素として求められることが多く、「変わらず求められ続けるスキル」の方が優先されがちです。
また、上記のスキルはAの会社でもBの会社でも変わらず求められるという点も面白いですね。
こういうのができると人事として働き方や雇用形態などを選ぶ側に回れる可能性が増えていきます。
ちなみにCrepeではトレンドも変わらず求められ続けるスキルも全て網羅してご支援しておりますので、困った時はご連絡お待ちしております!
Crepeでは国内唯一の認証機関HCプロデュース社に、高いクオリティでの支援が可能である、という認定を受けておりますので、ぜひお目通しいただけますと幸いです。
以上営業でした!
それではエンジニアはどうでしょう?
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ということでまったく思いつきませんでした(笑)
技術以外であれば
・web3
・メタバース
この辺は熱い気がしますけど、技術のトレンドではないので、エンジニアに求められるというよりは事業にどう組み込むか?の方に注目されます。
技術に関しては少し前であればFlutterというフレームワークが話題になっていましたね。
クロスプラットフォーム対応としては汎用性が高く将来性を感じるフレームワークで、Dartという言語を使うのですが、TypeScriptに似ている印象で触りやすかったです。
うろ覚えですが、Flutterが話題になったのはサイバーエージェントさんがFlutterを使ってサービス開発した記事を出してからだったと記憶しています。※違っていたらすみません…
エンジニアで重要なのは「どの企業でどういう技術がどのように活用されているか」ということであり、けっして「最新技術を取り入れているか?」ではないからです。そもそも最新技術が汎用性が高くなり、開発環境に組み込むことができるまでに時間がかかるという点もあると思います。
ここで本題である開発環境が絡んできます。
開発環境はここ10~15年程度で激しく移り変わりがあります。
分かりやすい例えですと、オンプレミス環境での開発からクラウド環境での開発に移行している。などはすごく分かりやすいと思います。
実際にオンプレミスでサーバーの調達からするとなると、すごくお金がかかりスタートアップには初期投資で払うことができません。
このように新しい技術を使用して開発を行っている会社と変わらず昔の技術を使用し続けている会社の二極化している印象を受けています。
最近台頭してきたITメガベンチャー企業は積極的に新しい技術を取り入れて、より効率的な開発をしています。
また、ベンチャー・スタートアップもモダンな環境で開発を進めている会社が多く、副業やフリーランスの案件もモダンな環境を求められることが多い。
それに対して先ほどの銀行などに代表される所謂大企業は、昔に構築したレガシーシステムを使い続けており、学べることもそのプロダクトに依存した知識や経験になることが多いです。新しい技術を使用しての開発に携わるチャンスが限りなく低いというのも事実です。
また、働き方という観点でもモダンな環境で開発を行っているベンチャー・スタートアップは効率的な開発を目指している会社ですので、柔軟に対応している会社が多い印象です。
少しまとめていきますが、
・錯覚資産はITメガベンチャーの方が高く見える。
・ITメガベンチャーはモダンな開発環境で仕事をしている。
・働き方が柔軟なのはモダンな開発環境の会社が多い。
簡潔に言うと、エンジニアの求職者からみると、モダンな環境はこれからの時代に汎用性が高い!汎用性が高ければキャリアを描いていきやすい!という印象を持つということです。
また、人事などと違って、「汎用性が高いスキルの不変的な割合が少なく、時代によって変わってしまう比重が高い」
こうなると未来のことを考えて「モダンな開発環境で実績を積んでITメガベンチャーへの転職をしたい」というのがエンジニアの本音になるのは致し方ないという考察ができます。
そうなると、
・レガシーな環境での開発をする、超安定老舗IT企業
・モダンな環境での開発をする、知名度もないスタートアップ
という選択肢でスタートアップ側を選ぶ若手が増えてしまうのも仕方がない状況になります。
3.レガシーな開発環境の会社での採用
最後にレガシーな会社はどうやって採用していくのか?です。
ここまでお読みいただくと「ウチの会社採用できないじゃん..」と絶望される方もいらっしゃるかと思いますが、まだ何とかなります!
まず前提としてレガシーな環境がいけないわけではありません。
その当時の最適解として構築されたシステムであり、今なおビジネスを支えている素晴らしい技術であるということは知っておいていただきたいです。
縄文時代にタイムスリップしたら、コンロの知識はあったとしても作れないので、石で火起こしすることになりますよね?
それと同じように今の現役エンジニアが当時に飛ばされたとしたら、まず間違いなく同じような今レガシーと言われるシステム構築をします。
なので会社の人や先人達を責めるのはお門違いです。
研修に振り切る
レガシーな環境で開発をしている会社は比較的安定しているケースが多いです。その安定力を活かして、求職者への訴求ポイントを教育に振り切っていくのが一つ目の解決方法です。
特に現在のエンジニア採用市場では、まだまだ未経験に世知辛い世の中ですので、そういう方々をOff-JT・OJTをしていく選択肢は考えてもよいのかなと思います。
成長に疲れた層の採用
レガシーな環境での開発の良い点って技術革新が少ないことです。
そのため、一度できるようになってくればある程度その現場では仕事ができます。
世の中にはそういう環境を求める方は結構います。※個人の肌感覚です。
表向きには成長だスキルアップだと奇麗な言葉を言っている方でも、実情は違うケースは多くあります。成長に疲れた方、というのは失礼かもしれませんが、いい意味で淡々と目の前のことをこなしていくことが好きな方をペルソナに設定して長期で働いていただきましょう。
離職率も下がる傾向にあるので、事業モデルやカルチャーにフィットする場合は結構お勧めです。
まとめ
今回は開発環境が採用に及ぼす影響について記載をさせていただきました。
人事からすると採用の打ち出しを考える際に確認することは少ないと思いますが、実は採用できるかに影響を与える重要な指標だと思っています。もしエンジニア採用が中々上手くいかなくて、原因すら分からないことがあれば、ぜひ一度Crepeにお声がけください。
ライター:ポペヌ
エンジニア歴約10年、人事歴約3年。中学時代からエンジニアとしてお小遣い稼ぎを始め、エンジニア経験を活かしながら、大手IT企業にて人事に転身。「プログラミングができる人事」として、主に経営陣をカウンターパートに経営視点の人事戦略設計〜実行、検証まで従事。即戦力エンジニアをオフライン・オンライン施策をベースに採用単価0円で採用実現するなど、特に新卒採用、およびエンジニア採用に強みを持つ。
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