戦わない採用とは?リファラル採用の実践と成功の秘訣

最終更新日:2026年4月9日

現代の日本において、労働人口の減少と人材獲得競争の激化は、多くの企業にとって喫緊の経営課題となっています。少子高齢化が進む中、労働人口は約6,907万人に対して、実際に転職活動を行っている「転職顕在層」はわずか288万人(約4%)に過ぎません。一方で、労働市場の95%以上は、現在は転職活動をしていないものの、魅力的な機会があれば転職を検討する可能性のある「転職潜在層」が占めています。

これまでの採用活動は、求人広告や人材紹介サービスを利用し、このわずか4%の転職顕在層をめぐって他社と激しく競い合う「戦う採用」が主流でした。しかし、この手法だけでは、採用コストは年々上昇し、それでも優秀な人材を安定して獲得することがますます困難になっています。求人媒体への掲載費用は高騰し、人材紹介会社への成功報酬は年収の30〜35%が相場となるなど、採用コストの増大は企業経営に重くのしかかっています。

そこで、抜本的な発想の転換として注目されているのが、採用活動にマーケティングの要素を取り入れ、95%以上の転職潜在層から優秀な人材を獲得する「戦わない採用」への変革です。米国では2013年頃から「Recruiting is Marketing(採用はマーケティングである)」という発想が浸透しており、企業が自社の魅力を積極的に発信し、潜在的な候補者との関係を継続的に構築していく採用マーケティングの概念が広まっています。

この「戦わない採用」を実現するための最も強力な手法の一つが、本記事で詳しく解説する「リファラル採用」です。人事担当者や経営者の方々が、リファラル採用の本質と実践方法を正しく理解し、自社の採用力を飛躍的に高めるための一助となれば幸いです。

目次

戦わない採用の切り札「リファラル採用」とは?

リファラル採用とは、「リファラル(referral:紹介・推薦)」と「リクルーティング(recruiting:採用)」を組み合わせた造語であり、自社の社員から信頼できる友人・知人・元同僚などを紹介してもらう採用手法を指します。単なる「縁故採用」や「コネ採用」とは異なり、採用基準や選考プロセスは通常の採用と同様に公正に行われる点が特徴です。

海外での普及状況と日本の現状

リファラル採用は、海外ではすでに主流の採用手法として確立されています。米国では2012年以降、最も人材獲得数が多い採用チャネルとなっており、企業の約80%がリファラル採用の制度を導入し実践しています。また、生産性が高い企業においては、採用人数の3割近くをリファラル採用で獲得しているというデータもあります。日本国内でも、メルカリをはじめとする先進的な企業では採用の約5割をリファラル採用で賄っており、海外のGAFAなどのBig Tech企業でも同様の傾向が見られます。

日本においては、まだリファラル採用の普及率は海外と比較して低い水準にありますが、近年急速に導入企業が増加しています。人材獲得競争が激化する中、自社採用力の強化を迫られた企業が、リファラル採用に活路を見出すケースが増えているのです。

リファラル採用と企業成長率の相関

米国マッキンゼー・アンド・カンパニーの人材採用に関する調査によれば、社員の採用に対する意識と企業の成長率には明確な相関関係があることが示されています。2022年時点で、世界を代表するグローバル企業のほとんどがリファラル採用に積極的に取り組んでおり、高い成長率を維持しています。これは、リファラル採用が単なる採用コスト削減の手段にとどまらず、組織文化の醸成や社員エンゲージメントの向上を通じて、企業全体の競争力を高めることに貢献しているためと考えられます。

リファラル採用を導入する4つのメリット

リファラル採用を導入することで、企業は従来の採用手法では得られなかった多くのメリットを享受することができます。主なメリットを以下の表で整理した上で、それぞれについて詳しく解説します。

メリット内容
転職潜在層へのアプローチ転職市場に現れない優秀な人材を獲得できる
定着率の向上入社前のミスマッチが少なく、早期離職を防止できる
エンゲージメントの向上社員の当事者意識が高まり、組織力が強化される
採用コストの削減外部チャネルへの依存を減らし、費用対効果を高められる

1. 転職潜在層から優秀な人材を獲得できる

転職市場には現れていない、現在他社で活躍中の優秀な人材(転職潜在層)に対して、社員の個人的なつながりを通じて直接アプローチすることが可能です。現場をよく知る社員からの紹介であるため、自社が求めるスキルや経験にマッチする可能性が非常に高くなります。

求人媒体を通じた応募では、応募者は自ら求人票を検索し、企業に興味を持って応募するというプロセスをたどります。一方、リファラル採用では、社員が「この人なら自社に合う」と確信を持って紹介するため、採用候補者の質が高く、選考の効率も向上します。また、社員が自社の文化や仕事の魅力を直接伝えることで、候補者の入社意欲を高める効果も期待できます。

2. 社員の定着率が高くなる

応募者は、紹介者である社員から事前に社風や業務内容、職場のリアルな雰囲気について詳しい情報を得た上で選考に進みます。そのため、入社後の「思っていたのと違った」というギャップ(ミスマッチ)が少なくなり、結果として早期離職を防ぎ、高い定着率を実現することができます。

人材の早期離職は、採用コストの無駄遣いだけでなく、残された社員への負担増加や、チームの士気低下など、組織全体に多大な悪影響を及ぼします。定着率の向上は、採用コストの削減だけでなく、組織の安定性と生産性の維持という観点からも、経営上の重要な課題です。

3. 社員のエンゲージメントが高くなる

社員自身が自社の魅力を語り、知人に紹介するという体験を通じて、組織に対する当事者意識や愛社精神が醸成されます。「自分の会社を友人に自信を持って勧められる」という行動は、社員が自社を誇りに思っている証であり、その体験がさらなるエンゲージメントの向上につながるという好循環を生み出します。

また、全社員で仲間集めを行うという一体感が生まれ、採用活動が人事部門だけの仕事ではなく、会社全体の取り組みとして根付いていきます。入社後も、紹介者が自然とメンターのような役割を果たすため、スムーズなオンボーディングが期待でき、入社者のエンゲージメントも高い水準から始まります。

4. 採用コストの大幅な削減

求人広告の掲載費や人材紹介会社への成功報酬といった外部コストを大幅に削減することができます。社員への紹介報酬(インセンティブ)を支払う場合でも、外部サービスを利用するコストと比較すると安価に抑えられるケースがほとんどです。

実際に、リファラル採用を積極的に活用している企業では、採用コストを従来比で50〜80%削減できたという事例も報告されています。さらに、定着率の向上により、新たな人材の採用・育成にかかる追加コストも削減でき、中長期的な視点での費用対効果は非常に高いと言えます。

リファラル採用のデメリットと注意点

多くのメリットがある一方で、リファラル採用にはいくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。導入にあたっては、これらを正確に理解し、適切な対策を講じることが重要です。

1. 人間関係と人材配置への配慮

紹介された候補者が不採用となった場合、紹介者である社員と候補者の人間関係に悪影響を及ぼすリスクがあります。社員が「自分の紹介で不採用になった」という気まずさを感じ、今後の紹介活動に消極的になってしまう可能性もあります。

また、採用された場合でも、配属先や評価において「紹介者の知人だから」という特別扱いをしていると周囲に誤解されないよう、公平かつ透明性のある配置・評価を行う配慮が必要です。不採用時のフォロー体制や、紹介者・被紹介者双方へのケアを事前に設計しておくことが、制度を健全に運用するための重要な要素となります。

2. 社員の理解と認知の必要性

制度を作っただけでは、社員は自発的に紹介してくれません。多くの社員は「採用活動は人事部門の仕事」という意識を持っており、自分が積極的に関与すべきことだとは思っていないケースが多いのが現実です。

リファラル採用の目的や重要性、具体的な紹介手順について、社内への継続的な周知と啓蒙活動が不可欠です。また、社員が「自社をおすすめしたい」と思えるような企業文化の醸成も同時に求められます。採用担当者自身が自社のファンになり、従業員が「おすすめしたくなる会社」のディレクターとなることが、リファラル採用成功の根幹にあります。

3. 成果が出るまでの工数と時間

リファラル採用は、導入してすぐに大量の応募が集まる即効性のある手法ではありません。制度の設計から社内への浸透、そして実際に紹介が生まれて採用に至るまでには、一定の工数と時間が必要です。

また、紹介数や採用数などのデータが可視化しにくいという側面もあり、PDCAを回すための情報収集に工夫が必要です。中長期的な視点でPDCAサイクルを継続的に回し、地道な取り組みを積み重ねることが成功の鍵となります。「すぐに結果が出ない」という焦りから途中で取り組みをやめてしまうことが、最も避けるべき失敗パターンです。

リファラル採用を成功に導く「ゴルフ(G・R・F)」設計

リファラル採用を形骸化させず、持続可能な仕組みとして定着させるためには、事前の丁寧な制度設計が不可欠です。そのためのフレームワークとして、「ゴール(Goal)」「ルール(Rule)」「フロー(Flow)」の頭文字を取った「ゴルフ設計」が提唱されています。

ゴール(Goal)設計:中長期的な採用目標の明確化

まずは、リファラル採用を通じて達成したい中長期的な採用目標を明確に設定します。具体的には、「今期中にリファラル採用で○名採用する」「採用チャネル全体のうちリファラル採用の比率を○%に高める」「採用コストを○%削減する」といった定量的な目標を設定することが重要です。

経営戦略や事業計画と連動した目標を立てることで、リファラル採用が単なる人事施策ではなく、経営課題の解決手段として全社的に位置づけられます。また、目標を明確にすることで、取り組みの優先順位が明確になり、PDCAを回しやすくなります。

ルール(Rule)設計:公正で透明性のある制度の構築

社員が安心して紹介活動を行えるよう、明確なルールを定めます。設計すべき主なルールは以下の通りです。

まず、紹介報酬(インセンティブ)の設計です。報酬の金額や支給タイミング(内定時・入社時・試用期間終了時など)、支給条件を明確に定めます。報酬額は、社員が「紹介しようかな」と思える動機づけになる水準に設定することが重要ですが、過度に高額にすると「お金のために紹介する」という歪んだ動機を生む可能性があるため、バランスを考慮する必要があります。

次に、倫理的ルールの整備です。競合他社の社員を紹介してはいけない場合のルールや、紹介者と被紹介者が同じ部署に配属されることを避けるための配置ルールなどを事前に定めておきます。

さらに、不採用時のフォロー体制も重要です。不採用となった場合の紹介者へのフォロー方法や、被紹介者へのフィードバック方針を定めておくことで、社員が安心して紹介活動に参加できる環境を整えます。

フロー(Flow)設計:紹介から採用までのプロセスの整備

社員が知人に声をかけてから、実際に選考に進み、採用に至るまでのプロセス(フロー)を設計します。社員が紹介しやすいよう、紹介の手間を最小限に抑える仕組みを構築することが重要です。

具体的には、専用のリファラル採用ツールやアプリを導入することで、社員がSNSやメッセージアプリを通じて簡単に求人情報を共有・紹介できる環境を整えます。また、紹介から選考・採用に至るまでの進捗状況を紹介者がリアルタイムで確認できる仕組みを設けることで、紹介者の関与意識を高めることができます。

さらに、人事部門と現場部門の連携体制を構築することも欠かせません。現場のマネージャーや社員が「どんな人材を求めているか」を人事部門と共有し、社員が具体的なイメージを持って紹介活動を行えるよう支援することが、紹介の質と量を高める鍵となります。

【書籍紹介】リファラル採用を深く学ぶための一冊

リファラル採用の概念から具体的な実践方法まで、より体系的に学びたい人事担当者や経営者の方には、以下の書籍をおすすめします。

『人材獲得競争時代の 戦わない採用 「リファラル採用」のすべて』

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本書は、リファラル採用の第一人者であり、日本最大のリファラル採用サービス「MyTalent Refer」を提供する株式会社TalentXの創業者・鈴木貴史氏が執筆した実践書です。全国800社以上の豊富な支援実績と具体的なノウハウをもとに、「戦わない採用」を実現するリファラル採用の成功法則が体系的に解説されています。

本書の最大の特徴は、どの業界・規模の企業にも通用する再現性の高いメソッドが示されている点です。リファラル採用が求められる時代背景から始まり、制度設計の具体的な方法、社員を動機づけるフレームワーク、そして実際の企業事例まで、実践に直結する内容が網羅されています。丸善・日本橋店のビジネス書部門で週間販売ランキング1位を獲得するなど、多くのビジネスパーソンから高い支持を得ています。

「人材獲得競争が叫ばれる昨今、多くの採用ノウハウが流通されるようになりましたが、Web上にあるリファラル採用の情報は一般論が多く、体系化されたメソッドがまだ存在していません。そこで、どの業界にも通用するリファラル採用のメソッドを体系化し、成功の方程式として展開することが、市場全体の活性化につながると考えました。」

― 著者・鈴木貴史氏

リファラル採用の導入を検討している、あるいはすでに取り組んでいるものの成果が出ていないとお悩みの人事担当者・経営者の方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

リファラル採用の実践をサポートする強力なパートナー

リファラル採用の重要性は理解できても、「自社単独で制度を設計し、運用していくのは難しい」と感じる人事担当者や経営者の方も多いでしょう。実際、リファラル採用を立ち上げ、継続的に成果を出すためには、専門的なノウハウと継続的な運用支援が不可欠です。そこで、専門的なサポートを提供する外部パートナーの力を借りることが、成功への近道となります。

リファラル採用シェアNo.1「MyTalent Refer」

株式会社TalentXが提供する「MyTalent Refer」は、日本初のリファラル採用サービスであり、矢野経済研究所の調査において国内シェアNo.1を誇ります。累計1,000社以上の企業が導入しており、中小企業・ベンチャーから大企業まで幅広く活用されています。

MyTalent Referの特徴は、システム機能とコンサルティング支援を組み合わせた一体型のサービス設計にあります。社員が最短30秒で簡単に紹介できるシステムに加え、制度設計から社内浸透、データ分析、定着化支援まで、専任のコンサルタントが伴走します。

主な機能と支援内容:

社員が自社の求人情報や会社のニュースをSNSで簡単にシェアできる機能を提供し、紹介のハードルを最大限に下げます。また、ソーシャルギフトと連携したキャンペーン機能で社員の紹介意欲を継続的に高め、自社ニュースや社員のおすすめポイントを社内外に届けるブランディング機能も備えています。さらに、社員・求人・時系列別に紹介活動データを可視化し、「ファンスコア」として数値化することで、PDCAを回しやすい環境を整えます。

導入企業の成果:

MyTalent Referを導入した企業では、社員のリファラル協力率が6倍に向上し、採用コストを80%削減、人事の運用工数を3分の1に削減するといった圧倒的な成果が報告されています。

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レンタルプロ人事「すごい人事」(株式会社Crepe)

TalentXのグループ会社である株式会社Crepeが展開する「すごい人事」シリーズは、「人事が変われば、組織が変わる」をビジョンに掲げ、成長企業向けの人事支援サービスを提供しています。リピート率98%という驚異的な顧客満足度を誇り、多くの企業から信頼を獲得しています。

すごい人事シリーズでは、企業の人事課題に合わせた複数のサービスを提供しています。「すごい人事パートナー」は、成長率20%以上の拡大組織のプロジェクトに、成長志向のレンタルプロ人事をマッチングするサービスです。採用戦略の立案から実行まで、即戦力となる人事のプロフェッショナルを柔軟に活用することができます。

「すごい人事採用おまかせパック」は、採用業務を丸ごと委託できる採用代行サービスです。1日2時間から社外に採用の専門チーム(3〜5名体制)を持つことができ、採用担当者が不在の企業や、採用業務の負荷を軽減したい企業に最適です。

また、「すごい人事コンサルティング」では、採用戦略の設計から採用ブランディング、採用コンテンツの制作まで、総合的な採用支援を提供しています。リファラル採用を含めた、自社の状況に合った採用戦略の立案と実行を強力にサポートします。

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おわりに

人材獲得競争が激化する中、外部チャネルに依存し続ける「戦う採用」には明確な限界が来ています。これからの企業に求められるのは、自社の魅力を高め、社員をアンバサダーとして巻き込みながら、転職潜在層にアプローチする「戦わない採用」へのシフトです。

リファラル採用は、単なる採用手法の一つではありません。組織のエンゲージメントを高め、採用コストを削減し、定着率を向上させ、そして企業の競争力を底上げする「経営戦略そのもの」です。本記事で紹介した「ゴルフ設計(ゴール・ルール・フロー)」のフレームワークを活用し、丁寧な制度設計と継続的な取り組みを積み重ねることで、リファラル採用は必ず機能する採用チャネルへと育っていきます。

一方で、「どこから手をつければいいかわからない」「社内リソースが不足している」という課題を抱える企業も多いでしょう。そのような場合には、専門的なノウハウと豊富な支援実績を持つ外部パートナーの力を積極的に活用することをおすすめします。

自社採用力を高め、持続可能な組織づくりを実現するための第一歩として、ぜひ本記事を参考にリファラル採用への取り組みを始めてみてください。

【お問い合わせ・資料ダウンロード】

リファラル採用の導入や、人事課題の解決について具体的なご相談をご希望の方は、以下のリンクよりお気軽にお問い合わせください。

MyTalent Refer(株式会社TalentX)

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